PRESSRELEASE プレスリリース
ビタミン剤637億円、ミニドリンク剤358億円、排卵日検査薬16億円
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、一般用医薬品(市販薬・OTC) 17カテゴリー・76品目の市場を調査する。第一回目は、ドリンク剤、ビタミン剤、滋養強壮保健薬、検査薬、女性関連薬、神経用薬、胃腸・消化器官用薬、オーラル関連用薬、漢方・生薬製剤の9カテゴリー40品目の調査結果を「2018 一般用医薬品データブック No.1」にまとめた。
◆注目カテゴリー市場
1.ビタミン剤
ビタミンB1主薬製剤、ビタミンB2主薬製剤、ビタミンB1B6B12主薬製剤、しみ改善薬、ビタミンE主薬製剤、総合ビタミン剤、ビタミンA・D主薬製剤のビタミン含有保健薬を対象とした。市場は2016年に縮小したものの、2017年は新製品発売の効果やインバウンド需要の取り込みにより前年比3.1%増の624億円となった。
ビタミンB1B6B12主薬製剤としみ改善薬が伸びている。ビタミンB1B6B12主薬製剤は、神経痛や筋肉痛・関節痛等の緩和を効能・効果としており、2015年にインバウンド需要により大きく伸びて200億円を突破した。2016年は前年の反動でやや縮小したものの、2017年は「アリナミンEXプラスα」(武田コンシューマーヘルスケア)の発売や、「ナボリン」(エーザイ)の好調などが寄与して伸びた。今後もインバウンド需要や、中高年層人口の増加により緩やかな伸びが予想される。
しみ改善薬は、しみ・そばかすの緩和など美白効果を訴求した製品を対象とした。2016年はインバウンド需要の減少により縮小したが、2017年は参入企業各社のプロモーション強化や、再びインバウンド需要の取り込みに成功したことにより前年比9.6%増となった。高齢化の進展により潜在需要は高いとみられ、医薬品による効果・効能を更に訴求することでユーザーの獲得が進むと予想される。
一方、ビタミンB2主薬製剤や総合ビタミン剤は、上位ブランドの構成比が高いため他参入企業が注力度を下げているため、また、ビタミンE主薬製剤は、健康食品のサプリメント類やその他ビタミン剤との競合が激しいため、縮小している。
2018年は、ビタミンB1B6B12主薬製剤やしみ改善薬がけん引し、ビタミン剤の市場は前年比2.1%増の637億円が見込まれる。
2.ドリンク剤
滋養強壮や肉体疲労・病中病後などの場合の栄養補給を効果・効能とした液剤で、飲みきりタイプのものを対象とする。容量が100mlのものをドリンク剤、100ml未満のものをミニドリンク剤とした。
ミニドリンク剤は、2013年頃から高価格帯製品がけん引し伸びが続いていたが、高価格帯製品の好調が落ち着きをみせたため、2016年には減少に転じた。ターゲットが明確な製品は堅調なものの、苦戦しているブランドが多いため、2017年の市場は前年比1.1%減の360億円となった。ミニドリンク剤は、効果感を訴求した製品が多くエナジードリンクなどの清涼飲料との競合は少ないものの、製品特徴を際立たせた差別化と露出度アップの重要性が増しており、今後プロモーション施策や使用シーン提案も含めた販売戦略が必要とみられる。
ドリンク剤は、エナジードリンクや機能性表示食品の飲料などとの競合により縮小が続いており、2017年の市場は前年比5.1%減の56億円となった。2018年の市場は新製品の発売が寄与し微増が見込まれるものの、エナジードリンクなどとの差別化が図れていないことや、ヘビーユーザーの高齢化に伴う服用頻度の低下、若年層の新規ユーザーの獲得が進んでいないことなどが課題である。
なお、医薬部外品の市場も大きく、一般用医薬品と医薬部外品を合計すると、2017年の市場規模はミニドリンク剤で631億円、ドリンク剤で847億円となっている。
◆注目市場
1.歯槽膿漏治療剤、口内炎治療剤
2017年 |
2018年見込 |
前年比 |
|
歯槽膿漏治療剤 |
88億円 |
91億円 |
103.4% |
口内炎治療剤 |
44億円 |
46億円 |
104.5% |
歯槽膿漏治療剤は、2015年以降、日用品を含めたオーラルケア製品の活発な需要喚起が図られたことにより、市場は堅調に推移している。2017年は上位ブランドがプロモーション強化により売上を伸ばしたことから、市場は前年比15.8%増となった。今後は、高齢化社会の進行に加えて高齢者の残歯率の増加、また、生活者のオーラルケアに対するセルフメディケーション意識の高まりによりニーズの増加が期待されるが、顕在化させるためには一般用医薬品を使用した歯槽膿漏治療についての認知度を向上させることが重要になる。
口内炎治療剤は、上位ブランドの積極的なプロモーション活動により薬効認知が高まり、ユーザーの掘り起しが進んだことで伸びている。
2.排卵日検査薬
2017年 |
2018年見込 |
前年比 |
|
排卵日検査薬 |
12億円 |
16億円 |
133.3% |
排卵日検査薬は、従来薬局医薬品として販売されてきたが、2016年の規制緩和により一般用医薬品への転用が可能となった。ここでは2016年以降に一般用医薬品として販売されている製品の市場を対象とした。2017年は一般用医薬品への移行が進み、新規参入企業からの製品発売もみられ、市場が本格的に立ち上がった。
一般用医薬品への転用により、店頭での露出拡大および広告宣伝が解禁されたことで、認知度が急速に高まっている。今後、晩婚化による出産年齢の高齢化に伴い妊娠しやすい状態を的確に捉えるニーズに対応する製品として、需要増加が予想される。
◆調査対象
ドリンク剤 | ドリンク剤、ミニドリンク剤 |
ビタミン剤 | ビタミンB1主薬製剤、ビタミンB2主薬製剤、ビタミンB1B6B12主薬製剤、しみ改善薬、ビタミンE主薬製剤、総合ビタミン剤、ビタミンA・D主薬製剤 |
滋養強壮保健薬 | 滋養強壮剤(強精剤含)、薬用酒、強肝解毒栄養剤、カルシウム剤、造血剤、関節痛治療薬 |
検査薬 | 妊娠検査薬、排卵日検査薬、尿糖・尿蛋白検査薬 |
女性関連薬 | 女性保健薬、月経前症候群治療薬、膣カンジダ治療薬 |
神経用薬 | 鎮暈剤、小児五疳薬 |
胃腸・消化器官用薬 | 総合胃腸薬、健胃・消化薬、制酸薬 、鎮痛鎮痙胃腸薬、過敏性腸症候群改善薬、胃腸内服液、整腸薬、止瀉薬、便秘薬、駆虫薬、痔疾用薬 |
オーラル関連用薬 | 歯槽膿漏治療剤、外用歯痛剤、むし歯予防薬、口内炎治療剤 |
漢方・生薬製剤 | 漢方処方エキス製剤、物忘れ改善薬 |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。