PRESSRELEASE プレスリリース
菓子類・フリーズドライみそ汁などスープ類の市場を調査
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、各個人においてもシーンや時間などによって価値基準が多様化するなか、より個別の消費スタイルへの対応が進む加工食品市場の27カテゴリー414品目について現状を調査し、将来を予想する。そのうち、菓子31品目、スナック菓子9品目、スープ類13品目、育児用食品3品目、合計4カテゴリー56品目の結果を「2019年 食品マーケティング便覧 No.1」にまとめた。
◆注目市場
菓子の注目3品目(ガム、ハードキャンディ、グミキャンディ)
グミキャンディは、フレーバー展開の広がりや多様な食感の商品の開発などにより、オフィスで女性が食べるケースも増えたことで市場の伸びが続いており、2016年、2017年と2年連続で前年比二桁増となった。2018年は前年ほどの伸びはないものの、需要も猛暑の影響などは受けておらず、メーカー各社は新商品の開発意欲も旺盛であるため、引き続き拡大が見込まれる。
上位メーカーが設備増強を行う一方で、下位メーカーでは商品を終売させるなど競合が激しくなっているが、今後も拡大は続くとみられることから、2020年には500億円突破が予測される。
ガムは、顎がつかれるなどの理由による若者のガム離れ、主要ユーザーだった団塊世代の離職、他の菓子への需要流出などにより2000年代半ばから縮小が続き、2013年には1,000億円を割り込んだ。
今後も縮小が予想されるものの、2017年には「歯につきにくいガム<記憶力を維持するタイプ>」(ロッテ)が“記憶力”というキーワードで一度ガムから離れていった団塊世代など高齢者の需要を獲得しヒットした。ガムに親しんできた世代である層のニーズを掘り起こすことが市場の活性化につながるとみられ、高齢者向け商品の開発が相次いでいる。
覚醒効果といった観点ではエナジードリンク、暇つぶし需要という観点ではスマートフォンなどに取って代わられており、食べた後に捨てる必要がないことからグミなどほかの菓子への需要流出は続くとみられ、今後も市場縮小が予想され、2023年には674億円が予測される。
ハードキャンディは、ガムと同じくグミなどへの需要流出により、緩やかながら縮小が続いていた。のど飴を中心として、冬季のみならず花粉症対策、夏のお祭りやスポーツ観戦での声がれなど、通年での使用提案や、インバウンド需要の獲得などもあり、2017年に拡大に転じ700億円台まで回復した。2018年には猛暑の影響もあり塩系・梅系の商品の需要が急増しており、前年比3.3%増の728億円が見込まれる。
のど飴でより機能を訴求した商品の好調、熱中症対策としての需要の増加などから、緩やかながらも市場は拡大を続けるとみられ、2020年にはガムの市場を上回り、2023年には752億円が予測される。
1.スナック菓子の注目4品目の伸長率
(ポテトチップス、ファブリケートポテト、コーン系スナック、ライス系スナック)
ポテトチップスは、2014年に1,000億円を突破したが、原料となる馬鈴薯の不足により2016年、2017年と2年連続縮小が続いた。2018年は原料不足も解消され、大手メーカーは増量セールなどによる販促も強化しており、再び拡大し前年比は5.1%増が見込まれる。
ポテトチップスの商品不足時に、ポテトチップスに代わる商品として特に引き合いが強まったものとして、ファブリケートポテト、コーン系スナック、ライス系スナックなどが挙げられ、2017年はそれぞれ大きく拡大した。2018年はポテトチップスの販売強化により一転縮小が見込まれるものも多いが、ポテトチップスの商品不足時に採用されたことで改めてブランド認知が高まり、好調が続くブランドもある。
ファブリケートポテトは、原料の馬鈴薯をつぶして加工した成型ポテトチップスであるが、原料の馬鈴薯が「生」である必要がないことから、原料不足の影響は少なかった。ただ、これまで市場をけん引してきた「じゃがりこ」(カルビー)は生の馬鈴薯を使用しており、原料不足となって以降伸びが止まったことから今後の市場の伸びは小幅に留まるとみられる。
コーン系スナックは、2012年以降縮小が続いていた。2018年は前年の反動に加え、「カール」(明治)の販売エリア縮小などから、市場は前年比が7.5%減と大きく縮小が見込まれる。一方でコーン系スナックはロングセラー商品が多く、改めてブランド認知が進んだことで、上位ブランドを中心に堅調な需要が続いている。
ライス系スナックは、市場規模が小さいこともあり、2017年は前年比で12.9%増と大きく拡大した。新たに売場定着を果たしたブランドもあり、2018年も拡大が見込まれる。
2.スープ類の注目品目(フリーズドライみそ汁)
2018年見込 |
2017年比 |
2023年予測 |
2017年比 |
|
市場規模 |
195億円 |
118.9% |
284億円 |
173.2% |
フリーズドライみそ汁は、即席みそ汁(生みそ、フリーズドライ、粉末など対象)が簡便性の高さによって伸びる中、具材感のある野菜が入った本格的なみそ汁が食べられる点や、個包装による個食需要の取り込みなどから消費者の支持を集め、市場は2016年、2017年と2年連続で前年比二桁増となり、2018年も好調が続くとみられる。
メインユーザーは高齢者であり、高齢化が進むことでみそ汁の調理を控える消費者が増え始めているため、今後も拡大が予想される。一方で、ほかの即席みそ汁と比較し一食あたりの単価が高いことから、高齢者層以外へいかに商品価値を浸透させていくかが課題となっている。
◆カテゴリー別動向
2018年見込 |
2017年比 |
2023年予測 |
2017年比 |
|
菓子 |
1兆2,759億円 |
101.1% |
1兆3,083億円 |
103.6% |
スナック菓子 |
3,109億円 |
99.4% |
3,167億円 |
101.3% |
スープ類 |
2,085億円 |
104.1% |
2,366億円 |
118.2% |
育児用食品 |
761億円 |
101.7% |
788億円 |
105.3% |
1.2018年拡大が見込まれるカテゴリー
菓子
チョコレートやキャンディ類が堅調なことに加えて、健康需要の獲得によるナッツ類の好調もあり、今後も拡大が予想される。一方、ビスケット・クッキーやガムは他の菓子へ需要が流出し苦戦している。
スープ類
簡便化や個食化の流れから好調であり、特に品質の高さで支持を集めるフリーズドライ商品がけん引している。
育児用食品
出生数の減少、インバウンド需要の伸びが鈍化する一方で、女性の就業率の高まりやライフスタイルの変化により育児用調製粉乳は増加している。なお、2019年、2020年にかけて発売が予想される液体ミルク(本カテゴリー対象外)へ需要がシフトする可能性はあるものの、単価が育児用調製粉乳より高いことから一気に市場が拡大する可能性は低いとみられる。
2.2018年縮小が見込まれるカテゴリー
スナック菓子
ポテトチップスが商品供給不足の解消とその後の増量セールの実施などにより拡大する一方、ほかのスナック菓子が反動で縮小しており、カテゴリーとしても縮小が予想される。
◆調査対象
菓子 | 米菓、豆菓子、ミックス菓子、ナッツ類(テーブルナッツ)、かりんとう、甘納豆、ゼリー菓子、スナック梅、素材菓子 、.ドライフルーツ、ビスケット・クッキー、クラッカー、.プレッツェル、ウエハース菓子、マシュマロ、菓子パイ、半生ケーキ、チョコレート、チョコレート菓子、ガム、機能ガム、キャンディ類、.ハードキャンディ、のど飴、ソフトキャンディ 、グミキャンディ、キャラメル、口中清涼菓子、手作り菓子、惣菜菓子、玩具・雑貨菓子 |
スナック菓子 | ポテトチップス、ファブリケートポテト、ポテトシューストリング、小麦系スナック、コーン系スナック、ポップコーン、ライス系スナック、野菜・その他スナック、.カップ入りスナック菓子 |
スープ類 | 粉末クッキングスープ、インスタントスープ、カップ入りスープ、フリーズドライスープ、わかめスープ、レトルトスープ、.中華スープ、缶詰スープ、缶入りスープ、チルドスープ、冷凍スープ、即席みそ汁 、フリーズドライみそ汁 |
育児用食品 | 育児用調製粉乳、ベビーフード、ベビーフード菓子 |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。