PRESSRELEASE プレスリリース
おつまみ需要獲得が進む調理済食品市場を調査
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、炭酸割り人気などにより家飲み需要が好調なアルコール飲料と、市販用では夕食やおつまみ需要獲得が進み、業務用では人手不足などから堅調な調理済食品の市場を調査・分析した。
この調査では、アルコール飲料33品目、冷凍調理済食品24品目、チルド調理済食品6品目、その他調理済食品5品目、合計4カテゴリー68品目の結果を「2019年 食品マーケティング便覧 No.2」をまとめた。
◆注目市場
1.家飲み需要で好調なアルコール飲料(低アルコール飲料、ウイスキーなど)
低アルコール飲料は、アルコール度数10%未満のRTD(Ready To Drink)タイプを対象とし、チューハイ、カクテルドリンク、水割り洋酒・ハイボールなどが含まれる。食事中の飲用が一般的となりビール類から食中酒としての需要が移行し、市場は拡大を続けている。
市場の中心であるチューハイは、アルコール度数7%以上のストロングタイプ、果汁分を高めたプレミアムタイプがけん引している。2018年はチューハイ全体で2,980億円が見込まれ、その内ストロングタイプが1,360億円(前年比17.5%増)と半数近くを占めるとみられる。水割り洋酒・ハイボールは規模が小さいもののチューハイと共にけん引しており、2018年には300億円突破が見込まれる。
酒税法改正によって新ジャンルビール風味アルコール飲料は増税が予定されていることや、他のビール類と比較しても酒税が低く低アルコール飲料の価格優位は揺るがないことから、今後も拡大を続け2023年には5,000億円に迫ると予測される。
ウイスキーは、1980年代後半をピークにダウントレンドが続いていたが、“ハイボール”で低アルコール志向の強い若年層需要の取り込みに成功し、2009年以降拡大を続けている。2014年のNHK連続TV小説放送により国産ウイスキーへの注目度が高まったことで2015年以降熟成期間の長い国産ブランドは原酒不足に陥っている。しかし、ノンエイジブランドやブレンデット商品、輸入ブランド品が需要に対応し市場は拡大を続けており、2018年には3,000億円突破が見込まれる。
このほかスピリッツも好調である。スピリッツはもともとカクテルベースとして使用されており、2009年頃の“モヒート”提案とこれに端を発したカクテルメニューの人気再燃で2013年まで拡大を続けた。以降モヒートメニューの需要一巡で縮小したが、ウイスキーを炭酸で割ったハイボールのように、スピリッツの炭酸割りが2016年頃より人気となり、拡大に転じた。ジンやウォッカを使った炭酸割りは気軽に本格的な味が楽しめることから、家飲みの新規ユーザーの獲得につながったことで2017年は前年比8.5%増と例年にない伸びとなった。2018年も市販用・業務用ともに食中酒としての需要増加や新規ユーザーの獲得もあり引き続き拡大し、市場は214億円が見込まれる。
2.業務用が中心の冷凍ハンバーグと市販用が中心のチルドハンバーグ
2018年見込 |
2017年比 |
2023年予測 |
2017年比 |
|
冷凍ハンバーグ |
823億円 |
100.9% |
873億円 |
107.0% |
チルドハンバーグ |
601億円 |
101.9% |
630億円 |
106.8% |
冷凍ハンバーグは、ハンバーガー用のパティなども含まれることから、業務用が中心の市場である。人手不足を背景にバックヤードでの作業の簡易化と安全性が求められており、焼く・煮るといった手間のかからないボイルやレンジ調理商品の需要が高まっている。一方、市販用では弁当向けが少子化などにより需要が低迷し、食卓での夕食のおかずとして需要を広げようとしているが、チルド商品が露出を高めていることから苦戦している(2018年見込:217億円)。
チルドハンバーグは市販用が9割以上を占める(2018年見込:585億円)。特に夕食のメインディッシュとして需要が高く、ボイルや電子レンジで簡単に調理可能で、チーズインハンバーグなどのように本格的な商品が人気となっている。
3.大粒がトレンド、夕食需要・おつまみ需要獲得が進むシューマイ
冷凍シューマイは横ばいが続いていたが、2016年末に発売された味の素冷凍食品「ザ・シュウマイ」が夕食需要を獲得しヒットしたことから、2017年の市場は前年比12.9%増と大きく拡大した。2018年は「ザ・シュウマイ」を中心に、各社がボリューム感を訴求し食卓向けの獲得を図っていることから、引き続き拡大が見込まれる。
チルドシューマイは縮小が続いていたが、2016年に大粒商品が投入され夕食需要を獲得しプラスに転じた。2017年には変わり種シューマイによるおつまみ需要獲得などもあり、拡大が続いた。保存期間の観点から冷凍シューマイに強みがあり、チルド商品としては価格や品質における明確な差別化が課題であり、消費者の食シーンや嗜好に合致した商品の開発が進められている。
◆カテゴリー別動向
2018年見込 |
2017年比 |
2023年予測 |
2017年比 |
|
アルコール飲料 |
3兆7,626億円 |
100.9% |
3兆6,982億円 |
99.2% |
冷凍調理済食品 |
5,529億円 |
101.2% |
5,767億円 |
105.6% |
チルド調理済食品 |
1,535億円 |
101.2% |
1,572億円 |
103.6% |
その他調理済食品 |
1,620億円 |
95.9% |
1,367億円 |
80.9% |
1.2018年拡大が見込まれるカテゴリー
アルコール飲料
炭酸割り人気でウイスキー、スピリッツが伸長している。また、家飲み需要でストロングタイプのチューハイや水割り洋酒・ハイボールなどが好調な一方で、焼酎やワインはこれらへの需要流出がみられる。縮小が続く清酒は純米酒や吟醸酒などの展開により需要の底上げが図られているが今後も縮小が続くとみられる。ビール類は業務用の値上げが行われたこともあって2018年は伸長が見込まれるものの、翌年以降は再び減少が続くとみられる。
冷凍調理済食品
ハンバーグやシューマイ、からあげといった子供向け弁当商材の苦戦を背景に、夕食・おつまみ・大人向け弁当など新たな需要の開拓や、食べごたえを重視した商品の展開などが活発化している。
冷凍グラタン類や冷凍お好み焼きが個食需要の増加により好調な一方で、業務用を主体とする冷凍水産フライは原料事情の深刻化により伸び悩んでいる。
チルド調理済食品
夕食需要により食べごたえや高級感のあるチルドハンバーグが伸長を続けているほか、チルドシューマイやチルドギョーザではおつまみ需要を獲得し大粒商品が好調である。一方、冷凍で好調なグラタン類はチルドでは苦戦しており、新たな食シーンの提案が必要になっている。
2.2018年縮小が見込まれるカテゴリー
その他調理済食品
外食・中食業態での人手不足を背景としたオペレーション軽減ニーズの高まりによって卵焼き類が好調な一方で、うなぎの蒲焼は稚魚の漁獲量の減少により国産うなぎの価格が高騰し需要が伸び悩んだため、縮小が見込まれる。
◆調査対象
アルコール飲料 | 清酒、生酒、合成酒、焼酎甲類、焼酎乙類、甲乙混和焼酎、韓国焼酎、低アルコール飲料、チューハイ、カクテルドリンク、水割り洋酒・ハイボール、ノンアルコールドリンク、.ウイスキー、ブランデー、ビール類、国産ビール、.国産クラフトビール、プレミアムビール、.国産発泡酒 、.国産新ジャンルビール風味アルコール飲料、輸入ビール類、機能型ビール類、.地ビール、ノンアルコールビール、スピリッツ、国産ワイン、.輸入ワイン、酸化防止剤無添加ワイン、スパークリングワイン、梅酒、リキュール類、.マッコリ、RTS |
冷凍調理済食品 | 冷凍ハンバーグ、冷凍肉だんご・ミートボール、冷凍グラタン類、冷凍ギョーザ、冷凍水ギョーザ、冷凍シューマイ、.冷凍春巻、冷凍天ぷら、冷凍お好み焼き、冷凍たこ焼き、その他冷凍スナック、冷凍コロッケ、冷凍カツ、畜肉系カツ、水産系カツ、冷凍水産フライ、.冷凍えびフライ、冷凍いかフライ、冷凍かきフライ、冷凍あじフライ、冷凍白身魚・その他水産フライ、冷凍からあげ、自然解凍冷凍食品、冷凍和惣菜 |
チルド調理済食品 | チルドハンバーグ、チルドミートボール、チルドグラタン類、チルドギョーザ、.チルドシューマイ、チルド茶わんむし |
その他調理済食品 | ワンタン、卵焼き類、卵豆腐類、うなぎの蒲焼、アメリカンドッグ |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。