PRESSRELEASE プレスリリース
レトルトカレーなど調味食品の市場を調査
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、世帯構成人数の減少などを背景に小容量化や簡便性の高い商品の展開や、用途の汎用性が高いメニューの提案が活発化、拡大している調味料・調味食品の市場を調査・分析し、調味料54品目、調味食品24品目、合計2カテゴリー78品目の結果を「2019年 食品マーケティング便覧 No.4」にまとめた。
◆注目市場
1.メニュー専用合せ調味食品
2018年見込 |
2017年比 |
2023年予測 |
2017年比 |
|
市場規模 |
682億円 |
101.3% |
720億円 |
107.0% |
野菜や肉・魚など具材を加えることで、麻婆豆腐、回鍋肉などのメニューが簡単に作れる商品(ドライのみ)を対象とする。
社会進出する女性の増加により、電子レンジやプライパン一つで簡単におかずが作れ、調理時間を短縮できるメニュー専用合せ調味食品の市場は拡大している。しかし、野菜を使用するメニューが多いことから野菜価格の高騰の影響を受けやすく、2016年は縮小となった。2018年も野菜価格高騰の影響による需要減退も一部でみられたが、価格が安定している豆腐を使用する麻婆豆腐が好調なことから、引き続き拡大が見込まれる。
需要は中華メニューが中心であるが、2010年ごろから和風・洋風・韓国と展開メニューに広がりがみられ、近年ではエスニックメニューなども増えている。中華メニューは定番メニューを中心に安定した需要があるもの和風・洋風メニューは商品の改廃が激しく、エスニックメニューもトライアル需要をいかにリピート需要へとつなげられるかが重要であるとみられる。
市販用のチャネルとしては量販店が中心であり、CVSは買い忘れ時のスポット需要に限られていたが、サラダチキン人気により、サラダチキンとメニュー専用合せ調味食品のクロスMDなどもみられるようになり、新しい需要を創出している。
2.サラダにかけるなど生食需要が好調なアマニ油(市販用)、オリーブ油、ごま油
植物であるアマ(亜麻)の種から搾油した、100%もしくは60%以上の調合タイプのアマニ油(市販用)を対象とする。アマニ油は加熱調理に向かないとされており、サラダなどにかけるといった生食での使用がメインである。
もとより健康意識の高いユーザーの需要に支えられた市場であるが、2015年にTV番組で認知症対策の一つとして紹介されたことで中高年層を中心に需要が増加し、量販店への配荷も進み急拡大した。2016年は前年急速に拡大した反動もあり縮小したが、2017年、2018年とTV番組で特集されたことで需要が喚起され、2年連続二桁増が見込まれる。
オリーブ油やごま油は、アマニ油と同様に健康志向の高まりや生食需要の増加によって好調である。生食時は喫食の直前に油をかけることが多いことから、食卓での使用を前提とした小容量タイプの展開が増えている。
オリーブ油はクセの少ない商品の展開により新規ユーザーの獲得が活発化している。一方で、価格競争が激化しており、スペイン産やチュニジア産などのオリーブを使用した低価格商品の増加に加え、イタリア産オリーブの不作による値上げが2019年は想定されることから、低価格商品へのシフトが続くとみられる。
ごま油は、近年時短・簡単かつ無限に食べられそうな程おいしいことで注目を集めている無限ピーマンなど“無限メニュー”で使う機会が多い調味料であることから、需要が高まっている。一方で、原料価格の高騰によって2019年に値上げを予定しているメーカーもあり、他の油へのシフトが懸念される。
3.日本の国民食カレー(インスタントカレー、レトルトカレー)
カレーが国民食として浸透するなかで、世帯人数の減少や共働きなどによる簡便化ニーズの高まりなどから、インスタントカレーからレトルトカレーへの需要シフトがみられ、2017年にはレトルトカレーがインスタントカレーの市場を上回った。インスタントカレーは今後も縮小が続くとみられ、2023年に2017年比7.1%減の730億円が予測される。
レトルトカレーは、味などの品質向上、幅広い価格帯での展開による商品の多様化からユーザーの間口が広がっている。中高年層を中心によりこだわりのある高品質な中・高価格帯商品の需要が高まっているほか、健康訴求商品など幅広いニーズに対応すべく各メーカーも積極的な商品展開を行っている。喫食頻度の増加により市場拡大を続けており、2023年には2017年比16.6%増の962億円が予測される。
4.だしパック
2018年見込 |
2017年比 |
2023年予測 |
2017年比 |
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市場規模 |
120億円 |
104.3% |
144億円 |
125.2% |
かつお、あご、煮干し、昆布などを粉末状にして混合し、不織布でパック化したものである。
だしを取った後はパックを取り出すだけでだし殻を濾す必要がない点が特徴である。また、パックを破り中身の粉末を調理にも使えることから、使用メニューの幅が広い。
定番のだしとしてはかつおが定着している。また、久原本家グループ本社の「茅乃舎」などの展開によりだしパックの需要増加の要因となったあごは、ブームは落ち着いたものの九州以外でも使用されるようになり、全国区の商品となっている。この他にも、煮干し、野菜、シイタケ、昆布など多様な素材を使用した商品が増えている。
だしのうまみによって塩や砂糖などの使用を少なくしてもおいしい食事を作ることが可能なことから、健康志向の高い人や超高齢化社会の進展による塩分や糖分の摂取量抑制を必要とする人などの需要が増加するとみられ、2023年には2017年比25.2%増の144億円が予測される。
◆カテゴリー別動向
2018年見込 |
2017年比 |
2023年予測 |
2017年比 |
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調味料 |
1兆6,995億円 |
100.5% |
1兆7,200億円 |
101.7% |
調味食品 |
4,903億円 |
101.0% |
5,009億円 |
103.2% |
1.調味料
基礎調味料は成熟した市場が多く、調味料を計量する必要がない調味食品やレトルト食品などへ需要が移行している。
風味調味料は家庭でのみそ汁の喫食頻度の低下などから顆粒・粉末タイプが減少する一方、簡便性の高いだしパックは拡大している。家庭でだしをとる手間が省ける鍋つゆは拡大しており、近年は小分けタイプが通年需要を獲得しているほか、家庭で再現が難しいメニューが人気となっている。
食用油は健康性の認知の広がりによって需要が増加している。ごま油やオリーブ油などでは用途提案や新規ユーザー獲得が活発化しており、特にサラダなどにかけて食べる生食需要が好調である。一方、ドレッシングやマヨネーズ類は天候不順による野菜価格高騰の影響を受け市販用では縮小が見込まれる。
2.調味食品
温めるだけの簡便な調理で、調味料を計量する手間を省けることに加え、味覚面もレベルアップしていることから市場は拡大している。また簡便・時短ニーズの高まりにより、商品投入も活発化している。
メニュー専用合せ調味食品は、包丁やまな板を使わずレンジ調理やフライパン一つで完成する商品が増えている。パスタソースは野菜摂取や味の濃さ、低糖質など様々な訴求をした商品を投入しており、市販用の個食対応商品を中心に伸びている。
◆調査対象
調味料 | 食用油、オリーブ油、ごま油、健康油、アマニ油・市販用、味噌、しょうゆ、塩(特殊製法塩)、つゆの素、白だし、うどんスープ(市販用)、風味調味料、だしパック、液体風味調味料、食酢、すし酢、ぽん酢、その他調味酢、本みりん、みりん風調味料、発酵調味料、マヨネーズ類、マヨネーズタイプ調味料・市販用、タルタルソース、ドレッシング、ノンオイルドレッシング、コンソメ・ブイヨン、焼肉のたれ、ステーキソース、ソース、お好み・焼そばソース、トマトケチャップ、トマトピューレ・ペースト、スパイス類、わさび・からし、純カレー、ペッパーソース、機能性甘味料、浅漬けの素、オイスターソース、豆板醤、具入りラー油(市販用)、キムチのたれ、ガラスープ、ラーメンスープ(業務用)、しゃぶしゃぶのたれ、すき焼きのたれ、鍋つゆ、キムチ鍋の素、おでんの素、うまみ調味料、レモン果汁(市販用)、半練中華だし、塩麹 |
調味食品 | インスタントカレー、レトルトカレー、缶詰カレー、インスタントシチュー、レトルトシチュー、インスタントハヤシ、レトルトハヤシ、ピザソース、パスタソース、ブラウン・ホワイトソース、トマトソース、グラタン関連セット食品、メニュー専用合せ調味食品、中華メニュー専用合せ調味食品、和風・洋風メニュー専用合せ調味食品、韓国メニュー専用合せ調味食品、チルドメニュー専用調理済食品、炒飯の素、お茶漬け、ふりかけ、すしの素、釜飯の素・炊き込みご飯の素、どんぶりの素、ぞうすいの素 |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。