PRESSRELEASE プレスリリース
農産加工品や水産加工品などの市場を調査
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、メディアなどで健康性が話題となり需要喚起もみられる農産加工品や水産加工品、今後も拡大が予想される畜産加工品や乳油製品の市場を調査し、その結果を「2019年 食品マーケティング便覧 No.5」にまとめた。この調査では、農産加工品26品目、畜産加工品14品目、水産加工品20品目、乳油製品15品目、合計4カテゴリー75品目の市場を分析し、将来を予想した。
◆注目市場
1.2018年に健康性が話題となった加工品 (キムチ、風味かまぼこ、水煮・蒸し豆)
キムチは、2011年以降市場縮小が続いていたが、2018年はキムチに含まれる乳酸菌の健康効果がTV番組で取り上げられたことや、キムチ初の機能性表示食品が発売されたことから、8年ぶりの拡大が見込まれる。健康性を訴求した商品が新たな購買につながると期待されることや、国産メーカーが注力度を高め、輸入キムチの需要減退も下げ止まりつつあることから、2019年以降も拡大が予想される。
風味かまぼこは、水産練製品にホタテ貝柱などのエキスで風味付けしたものを対象とする。TV番組で、たんぱく質が豊富で効果的に筋肉量が増やすことができる食品と紹介され、ロコモティブシンドローム予防につながるとして筋肉量の減少に悩む50代以上の需要が急増したことで、2018年は例年にない伸びが見込まれる。
水煮・蒸し豆は、チルドの和日配売場などで展開される煮豆の内、味付けされていないものを対象とする。2017年はTV番組で蒸し大豆の健康効果やダイエット効果に関する特集が相次ぎ市場が拡大した。2018年はメーカーが蒸し豆の健康効果や調理素材としての活用提案など、情報提供を積極的に行なっており、引き続き拡大が見込まれる。
2.青魚缶詰・パウチ
2014年、2015年と原料の価格高騰に伴う値上げにより市場は縮小したものの、青魚の健康性や、おつまみ需要、缶詰の備蓄需要などで拡大している。さんまの不漁から各メーカーがサバへの注力度を高める中、2017年にTV番組でサバの健康性と共にサバ缶が調理素材としても優れていることが取り上げられ、需要が一気に増加した。
2018年はサバの不漁により店頭価格が上昇したが旺盛な需要は続いている。一方で漁獲量に加え、工場の製造能力も上限に近いことから需給がひっ迫しており、市場の伸びは小幅になるとみられる。また、サバやさんまと比較し価格が安定しているイワシも健康性を訴求する展開が行われており、拡大している。
3.カマンベールチーズ
2018年見込 |
2017年比 |
2023年予測 |
2017年比 |
|
市場規模 |
166億円 |
111.4% |
196億円 |
131.5% |
家飲みの広がりにより、おつまみとしての需要が増加し、市場は拡大している。2015年にTV番組で認知症予防に効果があると取り上げられ、市場はさらに拡大した。以降、TV番組で継続的に取り上げられることで、健康性に対する認知度が高まり拡大を続けているが、需要の増加に供給が追い付かない状況が続き、需要の取りこぼしもあった。2018年は明治が新工場の稼働を開始し、供給体制が整ったことから、市場は前年比二桁増が見込まれる。
4.サラダチキン(市販用)
サラダチキンは2013年にセブン‐イレブンのPB商品が大ヒットしたことで注目が集まりCVSを中心に配荷が進んだ。サラダチキンは高たんぱく低カロリーであることから若年層を中心にダイエット食として需要が増加し、食べごたえや美味しさなどからトライアルユーザーのリピートもあり、市場は急速に拡大している。
CVS向けPB商品に加え、量販店を中心としたNB商品も好調で、フレーバーの追加や、スティックタイプ、調理時に使用しやすい切り落としタイプやほぐしタイプなど、積極的な商品投入が行われており、今後も拡大が予想される。
◆カテゴリー別動向
2018年見込 |
2017年比 |
2023年予測 |
2017年比 |
|
農産加工品 |
1兆2,819億円 |
100.4% |
1兆2,740億円 |
99.8% |
畜産加工品 |
1兆0,128億円 |
100.5% |
1兆0,298億円 |
102.2% |
水産加工品 |
8,818億円 |
100.3% |
8,606億円 |
97.9% |
乳油製品 |
6,922億円 |
101.1% |
7,164億円 |
104.6% |
1.農産加工品
漬物、煮豆、納豆、豆腐など伝統的な食品が多い。市場は縮小が続いているが、2018年は納豆や木綿豆腐に加え、蒸し豆やキムチなどの健康性が話題となり拡大が見込まれる。農産加工品全般を通して、健康性を訴求した商品展開は活発に行われており、健康というテーマへの期待感が高い状態が続いている。
2.畜産加工品
ソーセージ類は上位メーカーによる積極的な広告宣伝と販促活動により、チキン加工品はサラダチキン・市販用やからあげ類が好調で拡大している。一方でハム類は、ベーコンが堅調だが、ロースハムや生ハムはサラダチキンへの需要シフトもあり縮小している。
3.水産加工品
食生活の変化による喫食頻度の低下に加え、のりをはじめとしたギフト需要の減退、原料価格の高騰に伴う値上げによる需要減退などで市場は縮小しており、今後も縮小が予想される。しかし、2018年はサバ缶の健康効果や活用方法が認知され、水産缶詰が市場を押し上げていることに加え、規模の大きい水産練製品で、風味かまぼこが筋肉増量に適した食品としてTV番組で紹介され人気となったことから、一時的ながら拡大するとみられる。
4.乳油製品
チーズ類は2018年に一部企業で価格改定が行われたが、おつまみ需要が継続していることからベビーチーズなど即食性のあるチーズ類を中心に伸びが続いている。特にカマンベールチーズは、認知症予防効果の広がりや上位企業の生産能力強化により伸びるとみられる。
◆調査対象
農産加工品 | 漬物、キムチ、煮豆、納豆、凍豆腐、豆腐、豆腐加工品、味付油揚げ、こんにゃく、なめ茸茶漬類、山菜加工品、味付けメンマ、はるさめ、加工ごま、ジャム類、スプレッド類(市販用)、素材系トマト、サラダ類、素材缶詰、果実缶詰、冷凍野菜、ポテト加工品、素材系ミックス(市販用)、冷凍果実(市販用)、はちみつ(市販用)、こんにゃく米 |
畜産加工品 | ハム類、ベーコン、生ハム、ソーセージ類、ドライソーセージ、チキン加工品、サラダチキン(市販用)、焼豚、焼肉類、牛肉味付缶詰・パウチ、コンビーフ類、食肉加工品缶詰・パウチ、やきとり缶詰、おつまみ缶詰 |
水産加工品 | 魚肉ハム・ソーセージ、水産練製品、風味かまぼこ、ちくわ、パックおでん、のり、韓国のり、海苔佃煮、昆布佃煮、かつおパック、塩辛、もずく酢、めかぶ、スモークサーモン、水産缶詰・パウチ、青魚缶詰・パウチ、ツナ加工品、辛子明太子、鮭フレーク(市販用)、乾燥わかめ(市販用) |
乳油製品 | バター、市販用マーガリン類、業務用マーガリン類、プロセスチーズ、ナチュラルチーズ、クリームチーズ、カマンベールチーズ、チーズフード、チーズフォンデュ、チーズスプレッド、市販用チーズ、生クリーム、コーヒー用クリーム、ポーションクリーム、インスタントクリーミーパウダー |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。