PRESSRELEASE プレスリリース

第19074号

ポリウレタン関連市場を調査
−2019年世界市場見込(2018年比)−
ポリウレタン原料2,236万トン(3.6%増)/510億ドル(7.8%減)

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、原料の生産トラブルに見舞われながらも新興国の経済成長に伴い堅調な需要が続くポリウレタンの世界市場を調査した。その結果を「2019 ポリウレタン原料・製品の世界市場」にまとめた。この調査では、ポリウレタンの原料や製品、原料製造時に使用される中間原料、製品製造時に使用される副原料と中間製品など幅広い市場を網羅した。

◆調査結果の概要

ポリウレタン原料(ポリオール、イソシアネート)世界市場



ポリウレタンはポリオールとイソシアネートを合成させた樹脂であり、断熱材やクッションなどの発泡品、塗料や接着剤などの液状品、エラストマーや皮革など多様な製品に用いられる。

新興国の経済成長に伴い、主要なポリウレタン製品であるウレタンフォームや塗料、インキ、接着剤、シーリング材、エラストマーなどが伸びており、ポリウレタン原料であるポリオール、イソシアネートの需要も増加している。原料の生産トラブルや中国の環境規制強化などにより需給がひっ迫したことで2017年後半に価格が高騰したが、需給が安定した2018年以降、反動により価格低下が続いていることから、金額ベースでは2018年は微減、2019年は大幅減が予想される。特にイソシアネートの縮小が大きく、2019年はポリオールは横ばいの一方でイソシアネートは2018年比15.5%減が見込まれる。

ポリオールはPPG、PEP、PTMGが中心である。PPGとPEPが汎用的に使用され、耐水性や可とう性が求められる場合はPPG、耐熱性や機械強度が求められる場合はPEPと使い分けられる。PTMGはスパンデックス向けがメインである。PCLやPCDはPUD向けが伸びている。

イソシアネートはMDI、TDIが汎用的に使用されており、混合して使用することもある。TDIは毒性の懸念があることからMDIへシフトしつつあるが、柔軟性が要求される軟質ウレタンフォーム向けで根強い需要がある。環境規制強化に伴いPUDの原料として用いられるHDIやH12MDIは需要増加が予想されるが、HDIは原料の供給不足により生産量を増やせない状況にあり、代替品としてバイオマス原料を用いるPDIの採用拡大も期待される。

※ポリオール、イソシアネートの個別品目の正式名称については調査対象を参照。

◆注目市場

1.PCD世界市場 【ポリウレタン原料】

2019年見込
2018年比
2023年予測
2018年比
市場規模
2.1万トン
105.0%
2.6万トン
130.0%

ポリオールの一種で、耐熱性、耐加水分解性、耐薬品性、耐候性、耐久性に優れる。ほかのポリオールと比較し高価格であるため、日本や欧州など先進国の需要が多い。用途としては人工・合成皮革向けが中心で、共重合PCDを使用した合成皮革は高級車の内装品で採用が増えており、特に日本や韓国で需要が多い。今後の伸びが期待されるPUDの主剤として使用されることから、市場は拡大が予想される。

2.HDI世界市場 【ポリウレタン原料】

2019年見込
2018年比
2023年予測
2018年比
市場規模
27万トン
103.8%
31万トン
119.2%

イソシアネートの一種で、黄変性が低く、ウレタン塗料の硬化剤として汎用的に使用される。環境規制強化に伴う溶剤系から水系へのシフトにより自動車用塗料としての需要が好調であるが、原料のADNの供給不足による価格上昇がみられる。大手ADNメーカーによる生産設備の新設・増設が計画されているが、稼働までに時間を要することや、同じくADNを原料とするポリアミド66樹脂に対する供給が優先されていることから、HDIの価格は2023年頃まで高値が続くとみられる。

3.PUD世界市場 【中間製品】

2019年見込
2018年比
2023年予測
2018年比
市場規模
21万トン
105.0%
24万トン
120.0%

PUDはポリウレタン樹脂の微粒子が水に分散した製品である。脱溶剤と水系へのシフトが進む接着剤や塗料・コーティング材で需要の増加が続いている。脱溶剤や水系化で先行する欧州や北米の需要に加え、2015年以降は中国でも環境規制強化によりPUDによる水系化が促され、需要が特に高まっている。日本では建設資材(重防食用など)や木工製品で需要が高まる一方、工業分野(家電、金属)コーティングにおいては、粉体塗料やウレタン塗料(溶剤系)の代替を本格的に担うまでには至っていない。2017年には使用するイソシアネートの需給バランスが崩れたことなどから、原料コストは高止まりの状態にある。

4.ウレタンフォーム世界市場 【製品】

2019年見込
2018年比
2023年予測
2018年比
硬質ウレタンフォーム
740万トン
103.6%
859万トン
120.3%
軟質ウレタンフォーム
609万トン
103.0%
686万トン
116.1%
合 計
1,349万トン
103.4%
1,545万トン
118.4%

硬質ウレタンフォーム、軟質ウレタンフォーム(半硬質含む)は両製品とも日常生活に密接に関わっており、新興国の経済成長に伴い需要は増加している。

硬質ウレタンフォームは断熱性能が高く、先進国を中心とした省エネの推進により建築物を中心に断熱材として使用量が増えており、伸びている。また、規模の大きい欧米を中心に発泡剤が代替フロンのHFCからノンフロンのHFOへシフトしたことで製品単価が上昇しており、数量ベースより金額ベースの伸びは高くなるとみられる。

軟質ウレタンフォームは家具・インテリア、寝具、自動車が主要用途である。新興国では生活水準の向上に伴い生活様式の欧米化が進んでおり、需要は増加している。また自動車の生産台数も拡大しており、同用途の需要も堅調である。

◆調査対象

ポリオール PPG、PTMG、PEP、PCL、PCD、PBP、ひまし油ポリオール、CO2由来ポリオール
イソシアネート MDI、TDI、HDI、IPDI、H12MDI、TMDI、XDI、H6XDI、NDI、PDI、NBDI、TMXDI、TODI
中間原料 1,4-BD、1,6-HD、MPG、TMP、MPD、ND、ホスゲン(二塩化カルボニル)、HMD、IPDA、MXDA
副原料 アミン触媒、金属触媒、シリコーン整泡剤、発泡剤、難燃剤、硬化剤、耐加水分解安定剤
中間製品 PUD、ウレタンアクリレート
ポリウレタン製品 硬質ウレタンフォーム、軟質ウレタンフォーム、ウレタン塗料、ウレタン塗膜防水材、グラビアインキ、ウレタン系接着剤、ウレタン系シーリング材、熱可塑性ポリウレタン、熱硬化性ウレタン、スパンデックス、合成皮革、人工皮革、ウレタンビーズ、電子基板用注型材

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2019/09/12
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。