PRESSRELEASE プレスリリース
●クラウド型電子カルテ市場 200億円(4.8倍)
~中小病院および診療所を中心に導入が進み、市場は急速に拡大~
■地域包括ケアシステム関連市場 303億円(3.1倍)
~多職種連携システムなど大幅に伸長する市場がみられ、拡大~
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、高齢化の進展や在宅医療、在宅介護の増加を背景に、医療情報をデジタル化し、AIなど最新技術を活用することでより良質で効率の良い医療の提供を実現する医療情報システムの国内市場を調査した。その結果を「2020年 医療ITのシームレス化・クラウド化と医療ビッグデータビジネスの将来展望 No.1 医療IT・医療情報プラットフォーム編」にまとめた。
この調査では、医療情報システムとして、医療情報のプラットフォームとなる広域医療連携システム関連23市場、地域包括ケアシステム関連7市場、電子お薬手帳・調剤薬局関連4市場の計34市場を調査し、さらに、ブロックチェーン、AI、5Gなどをはじめとする新規技術の導入動向をシステムごとに捉えた。
◆注目市場
●電子カルテ
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2019年見込 |
2018年比 |
2032年予測 |
2018年比 |
病院向け電子カルテ |
2,432億円 |
104.2% |
2,400億円 |
102.8% |
診療所向け電子カルテ |
334億円 |
102.1% |
250億円 |
76.5% |
クラウド型電子カルテ |
53億円 |
126.2% |
200億円 |
4.8倍 |
病院向け電子カルテは、大規模病院や大学病院などを中心に導入が進んできたが、パッケージ化された低価格製品も多く発売されているため、中小病院での導入も進んでいる。一方、中小病院を中心にクラウド型へのシフトも進んでいることから伸びは緩やかとなり、2024年をピークに、市場は縮小に転じるとみられる。
診療所向け電子カルテは、診療所における電子カルテの導入率が低い点や、無床診療所を中心に新規開業も増加していることから需要は増加しており、地域医療連携や地域包括ケアの推進によりさらに需要は高まるとみられる。しかし、近年はクラウド型との競合が激しく、単価の下落がみられるなど2020年以降、市場は縮小していくとみられる。
クラウド型電子カルテは、中小病院および診療所を中心に導入が進んでいる。中小病院や診療所は予算が限られているケースが多いため、低価格なクラウド型の需要が増加している。また、モバイル性に優れ、在宅医療に対応できる製品が増加していることなど機能面でも需要を取り込んでいる。病院向けや診療所向けからのシフトなどにより、今後市場は急速に拡大していくとみられる。
●多職種連携システム
2019年見込 |
2018年比 |
2032年予測 |
2018年比 |
27億円 |
112.5% |
64億円 |
2.7倍 |
地域包括ケアシステムの構築のために、IT技術を活用し中核病院、診療所、訪問看護ステーション、地域包括支援センター、調剤薬局、自治体などの多職種が患者の診療情報や訪問時の様子などを共有するためのシステムである。高齢化の進展や在宅医療、在宅介護の増加などを背景に地域包括ケアシステム構築の必要性が高まっており、市場は拡大している。一方、厚生労働省により地域包括ケアシステム構築の推進に向けた施策や診療報酬、介護報酬の策定が行われているものの、医療現場や介護現場では運用コストや費用負担、インフラ整備などが課題となり、導入に至らないケースもみられるが、今後政策や診療報酬、介護報酬が改定され導入しやすい環境になっていくことで普及が進み、市場の拡大が期待される。
●在宅/施設用見守り機器・システム
2019年見込 |
2018年比 |
2032年予測 |
2018年比 |
69億円 |
119.0% |
140億円 |
2.4倍 |
高齢者や認知症患者などの転倒や徘徊を見守るために、各種センサーやカメラなどの技術を用いて異常を検知する機器やシステムである。高齢者人口の増加や介護従事者の不足を背景に需要は増加しており、介護報酬や補助金などにより導入も後押しされている。利用者の部屋への訪問頻度を最小限に抑えられ、夜間の見守り業務改善などにつながることから介護従事者の働き方改革を目的とした導入も増加しており、今後も市場は拡大するとみられる。
●オンライン診療(遠隔診療)システム/サービス、オンライン服薬指導システム
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2019年見込 |
2018年比 |
2032年予測 |
2018年比 |
オンライン診療(遠隔診療) |
9億円 |
128.6% |
85億円 |
12.1倍 |
オンライン服薬指導システム |
― |
― |
6億円 |
― |
オンライン診療(遠隔診療)システム/サービスは、2015年8月に厚生労働省が「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」を通達したことから本格的に市場が立ち上がった。2018年4月の診療報酬改定で一部疾患を対象に診療報酬が加算され、保険診療の算定要件が厳しいことや対面診療の点数よりも低いことから、現状は対面診療の補完的な位置付けとなっているものの、今後政策や診療報酬、介護報酬が改定され導入しやすい環境になっていくほか、スマートフォンやタブレットなどIoT機器の普及に伴ってオンライン診療の活用機会は増加しており、市場は拡大していくとみられる。
オンライン服薬指導システムは、遠隔にいる薬剤師がオンラインで患者へ服薬指導を行うシステムである。2018年の法改正により、オンライン服薬指導は兵庫県養父市、福岡市、愛知県の3か所の国家戦略特区で実施可能となり、実証実験が始まっている。2021年には市場が立ち上がるとみられ、普及が期待される。
現在、診療はオンラインで可能となっており、実証実験が行われているオンラインでの服薬指導が本格始動することで、患者は診察から薬の受け取りまでが自宅でできるようになり、遠隔医療の推進を後押しするとみられる。
◆調査結果の概要
■医療情報システムの国内市場
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2019年見込 |
2018年比 |
2032年予測 |
2018年比 |
広域医療連携システム関連 |
4,344億円 |
103.7% |
4,452億円 |
106.3% |
地域包括ケアシステム関連 |
114億円 |
115.2% |
303億円 |
3.1倍 |
電子お薬手帳・調剤薬局関連 |
397億円 |
102.1% |
433億円 |
111.3% |
合 計 |
4,855億円 |
103.9% |
5,187億円 |
111.0% |
医療情報システムの国内市場は、最も規模の大きい広域医療連携システム関連と電子お薬手帳・調剤薬局関連は緩やかに、地域包括ケアシステム関連は大きく伸長するとみられ、2032年は2018年比11.0%増の5,187億円と予測される。
広域医療連携システム関連では、特に病院向け電子カルテのウェイトが高く、市場の半数以上を占めている。病院向け電子カルテの伸びは鈍化しており2025年以降縮小するとみられるため、クラウド型電子カルテや電子処方箋システム、診療/検査予約システムなど大幅に伸長する品目があるものの、市場は微増で推移すると予想される。
地域包括ケアシステム関連は、多職種連携システムやオンライン診療(遠隔診療)システム/サービス、在宅/施設用見守り機器・システムなどが大幅に伸長することで市場は拡大していくとみられる。
電子お薬手帳・調剤薬局関連は主力の調剤薬局向けレセプトコンピュータの需要が一巡し、伸びが鈍化しているため、市場は微増で推移するとみられる。
◆調査対象
広域医療連携システム関連 |
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・広域医療連携システム |
・オーダリングシステム |
・地域医療連携システム |
・電子処方箋システム |
・病院向け電子カルテ |
・診療/検査予約システム |
・診療所向け電子カルテ |
・医療用画像管理システム(PACS) |
・精神科向け電子カルテ |
・循環器部門システム(Cardiology PACS) |
・産婦人科向け電子カルテ |
・病理検査支援システム |
・糖尿病特化型電子カルテ |
・遠隔病理診断システム |
・ゲノム医療支援システム |
・生理検査システム |
・眼科向け電子カルテ |
・内視鏡検査支援システム |
・歯科向け電子カルテ |
・検体検査支援システム |
・クラウド型電子カルテ |
・遠隔ICU支援システム/サービス |
・レセプトコンピュータ |
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地域包括ケアシステム関連 |
|
・多職種連携システム |
・訪問診療支援システム |
・医療法人内ヘルスケア情報連携 |
・訪問歯科診療支援システム |
(医療・介護・検診) |
・在宅/施設用見守り機器・システム |
・オンライン診療(遠隔診療)システム/サービス |
・電子クリティカルパス(電子パス) |
電子お薬手帳・調剤薬局関連 |
|
・電子お薬手帳 |
・電子薬歴システム(訪問薬剤管理指導支援・ |
・調剤薬局向けレセプトコンピュータ |
在宅医療業務システム含む) |
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・オンライン服薬指導システム |