PRESSRELEASE プレスリリース

第20027号

拡大が続く燃料電池の世界市場を調査
燃料電池車(FCV)や駆動用の伸びが拡大をけん引
―2030年度市場予測(2018年度比)―
■燃料電池(FC)の世界市場 4兆4,724億円(22.6倍)
~定置用(産業・業務用、家庭用)が先行するも、2030年度は燃料電池車や駆動用が中心に~
●駆動用 1兆5,392億円(38.4倍)
~各国の普及政策に伴い、 フォークリフト、バス、トラックでの需要が増加~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、燃料電池車や駆動用の伸びにより拡大が期待される燃料電池の世界市場を調査した。その結果を「2019年版 燃料電池関連技術・市場の将来展望」にまとめた。

この調査では、燃料電池の世界市場を産業・業務用、家庭用、燃料電池車、駆動用、ポータブル/バックアップ用、携帯機器用の用途分野別、タイプ別、需要エリア別に捉え、現状を把握し、将来を予想した。また、PEFCとSOFCの主要スタック部品についても市場動向をまとめた。

◆調査結果の概要

■燃料電池の世界市場

 

2019年度見込

2018年度比

2030年度予測

2018年度比

全 体

2,513億円

127.1%

4兆4,724億円

22.6倍

 

産業・業務用

943億円

110.3%

5,092億円

6.0倍

 

燃料電池車

467億円

2.2倍

1兆9,031億円

89.8倍

 

駆動用

533億円

132.9%

1兆5,392億円

38.4倍

※産業・業務用、燃料電池車、駆動用は全体の内数

2018年度の市場は、産業・業務用が堅調に伸び、また、駆動用が大きく伸びたことで、2017年度比12.0%増となった。産業・業務用は、二大市場である米国と韓国で導入の際のインセンティブ制度を背景に、普及が進んでいる。燃料電池車(以下、FCVとする)は、現代自動車の「NEXO」が発売されたことにより韓国では大きく伸びたが、日本や北米が低調だったため、微増にとどまった。

2019年度の市場は、引き続き定置用の構成比が高いが、FCVや駆動用が大きく伸びており、2018年度比で27.1%増の2,513億円が見込まれる。FCVは各地域で堅調に伸びているが、さらなる普及のためには早急なインフラ整備が課題となっている。駆動用はFCフォークリフトに続いて、FCバスやFCトラック・商用車の市場も本格的に立ち上がりつつある。インフラの利用率が高く比較的コスト負担が軽いため、公共性や稼働率が高い点で環境政策的にも注目されている。特に、中国ではFCバスの普及が急速に進んでいる。北米や欧州でも今後数年で1,000台以上が運行される計画であり、都市交通として世界的に注目されている。

2025年度以降、普及が加速し大幅な市場拡大が予想される。主要各国では2025年度または2030年度以降の推進目標をまとめた普及ロードマップが作成されており、エネルギーの多様化や低炭素社会を実現するキーデバイスの一つとなる燃料電池の普及促進を図っていく方針である。また、2025年度頃からは、各分野での市場拡大に伴い燃料電池コストが低減するため、補助金に依存しない市場の自立化が進むと予想される。

2030年度以降の市場を見据えている国も多いため、長期的な普及推進政策がとられるとみられる。FCVは、ゼロエミッション化を実現する有力な手段として認識されており、各国の長期的な普及政策に組み込まれて持続的に伸びるとみられ、市場拡大に大きく寄与すると予想される。2030年度はFCVや駆動用が市場の中心になるとみられるが、産業・業務用や家庭用も堅調な伸びが期待される。

■主要スタック部品の世界市場

 

2019年度見込

2018年度比

2030年度予測

2018年度比

PEFC

213億円

130.7%

6,792億円

41.7倍

SOFC

121億円

106.1%

312億円

2.7倍

PEFCは、FCV、FCフォークリフト、FCバス、FCトラック用が増えており、2025年度以降は大幅な伸びが予想される。

SOFCは、発電効率が高いため、大型定置用などで採用されるケースが多い。参入メーカーが限定されており、市場は一部のメーカーの実績に左右される面がある。また、スタックデザインが大きく異なるため、製品によって採用される部材も異なっている。

各メーカーが、燃料電池の普及拡大に向けて量産対応、製造技術の改善を進めており、2020年度頃には一定程度のコスト低減が図られ、市場拡大を後押しすると予想される。

◆注目市場

●燃料自動車(FCV)

 

2019年度見込

2018年度比

2030年度予測

2018年度比

全 体

467億円

2.2倍

1兆9,031億円

89.8倍

 

北米

134億円

125.2%

5,598億円

52.3倍

 

日本

39億円

121.9%

3,636億円

113.6倍

※北米、日本は全体の内数

2018年度は、韓国で現代自動車「NEXO」の販売が大きく伸びたものの、最大の需要地であるカリフォルニア州を中心とした米国の需要が縮小し、日本でも販売が低迷したため、市場は2017年度比7.1%増にとどまった。2019年度は、各地域で好調なため、市場は大幅に拡大するとみられる。韓国では、政府の補助金や支援策を背景に普及が進んでいる。北米では日本や韓国の自動車メーカーの販売が好調である。

現状、日本や韓国の自動車メーカーが先行しているが、2021年度以降はドイツや米国の自動車メーカーからも本格的な製品投入が予想される。また、中国の自動車メーカーも量産モデルを投入するとみられ、2025年度には主要自動車メーカーのラインアップが充実すると考えられる。また、日本の自動車メーカーではトヨタ自動車や本田技研工業が次世代車種の投入を予定しており、将来的には量産化により同車格のHV車との価格差を縮めてゆくことを目標としている。

2025年度以降、各自動車メーカーの量産技術・体制が確立されることにより、政府の補助金や支援策から自立した市場が形成されると予想される。水素ステーションの整備と稼働率・稼働時間の向上も並行して行われ、ユーザーの利便性も高まり、需要が増えるとみられる。2030度年に日本は80万台、韓国は85万台、中国は商用車も含めて100万台、米国(カリフォルニア州)は100万台の累積導入を目指している。2030年度時点では、自動車市場におけるFCVの構成比は1%にも満たないものの、今後はコストダウンや水素インフラの整備と共に加速度的に市場が拡大すると予想され、2030年度以降の本格的な普及が期待される。

また、FCVの普及には水素ステーションの整備が不可欠である。2019年に日本で行われた水素閣僚会議では、今後10年間で世界合計10,000箇所の水素ステーションを整備する目標が立てられている。日本は100箇所超を整備済みで他国に先行しているが、現状、整備・運営コストや低稼働率・低稼働時間などの課題を抱えている。ドイツや米国も積極的に取り組んでおり、ドイツは官民一体のプロジェクト「H2 Mobility」による整備を進め、米国はFCVの普及台数が多いカリフォルニア州を中心に整備、計画が進んでいる。その他、韓国や中国も水素ステーションの整備に注力している。

●駆動用

 

2019年度見込

2018年度比

2030年度予測

2018年度比

全 体

533億円

132.9%

1兆5,392億円

38.4倍

 

アジア

235億円

170.3%

1兆1,990億円

86.9倍

 

北米

231億円

100.4%

1,221億円

5.3倍

※アジア、北米は全体の内数

フォークリフトやバス、トラック・商用車など駆動体/移動体で使用される燃料電池を対象とする。現状は、北米を中心としたフォークリフト、中国を中心としたバス、トラック・商用車の需要が大部分を占めるが、今後は鉄道や船舶、スクーターでの採用も増えるとみられる。各国で様々な駆動体/移動体で普及・導入計画が策定されていることから、今後の市場拡大が予想される。

FCフォークリフトは、北米で普及が進んでおり、現状25,000台以上が利用されている。日本でも利用が広がっており、2020年度中には500台を超える普及が期待される。今後も北米を中心に大手流通事業者によるFCフォークリフトの採用が増えるとみられる。利用には水素インフラが必要となるため、まとまった台数を運用する事業者での採用が適している。

FCバスは、現状、中国を中心に約400台が運用されている。水素利用の社会的認知度を向上させるための重要な普及戦略の一つとしても注目されており、今後の伸びが期待される。日本や北米でも路線バスのFCバス化に注力しており、政策目標として一定数を導入する計画が検討されている。

FCトラック・商用車は、業務用車両の低環境負荷実現に貢献するとして注目されており、大型トラックメーカーと燃料電池メーカーの共同開発が進められている。現状、韓国や中国の自動車メーカーが積極的な展開を進めており、今後もアジアが需要の中心となるとみられる。また、欧米の自動車メーカーがFCトラックの開発に注力しているため、欧州や米国(カリフォルニア州)などでの需要増加も期待される。

◆調査対象

燃料電池システム

用途分野

・産業・業務用

・家庭用

・燃料電池車(FCV)

・駆動用

・ポータブル/バックアップ用

・携帯機器用

タイプ

・PAFC

・SOFC

・DMFC

・MCFC

・PEFC

スタック部品

PEFCスタック部品

・電極材

・電解質

・セパレータ

・GDL

SOFCスタック部品

・電極材(アノード)

・電極材(カソード)

・電解質

・金属インターコネクター


2020/03/23
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