PRESSRELEASE プレスリリース

第20050号

タッチパネルの世界市場を調査
― 2024年予測(2019年見込比) ―
<注目市場>
■フォルダブルディスプレイ用静電容量式タッチパネル市場 842億円(46.8倍)
~ フォルダブルスマートフォンの投入により需要が増加、市場は大幅拡大 ~
■フレキシブルディスプレイ用静電容量式タッチパネル市場 3,446億円(67.6%増) 
~ ハイエンドモデルスマートフォン向けを中心に採用が拡大 ~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、スマートフォン市場が成熟し競争も激化する中、差別化を図る目的で製品開発が活発化しているフォルダブル/フレキシブルディスプレイ用静電容量式タッチパネルの世界市場を調査した。その結果を「2020 タッチパネル/フレキシブルディスプレイと構成部材市場の将来展望」にまとめた。

この調査では、フォルダブル/フレキシブルディスプレイ用静電容量式タッチパネルなどのタッチパネル4品目のほか、タッチパネル用構成部材11品目、フォルダブルディスプレイなどのディスプレイ4品目、フォルダブル/フレキシブルディスプレイ用構成部材8品目、アプリケーション5品目の市場を調査・分析し、将来を展望した。また、タッチパネルメーカー、ディスプレイメーカーの事業体制を明らかにした。

◆注目市場

■静電容量式タッチパネル世界市場

 

2019年見込

2024年予測

2019年見込比

フォルダブルディスプレイ用

18億円

842億円

46.8倍

フレキシブルディスプレイ用

2,056億円

3,446億円

167.6%

フィルム基板

5,934億円

3,339億円

56.3%

ガラス基板

1兆 700億円

9,440億円

88.2%

合 計

1兆8,708億円

1兆7,067億円

91.2%

長らくタッチパネル市場をけん引してきた主力用途のスマートフォンの市場は飽和しており、静電容量式タッチパネル市場の中長期的推移としては、金額ベースで縮小が予想される。一方、フォルダブルディスプレイ用およびフレキシブルディスプレイ用の静電容量式タッチパネルは、フォルダブル、ベゼルレス(狭額縁化)といったディスプレイの差別化により急成長するとみられる。

今後はフラグシップモデルのスマートフォンにおいて、フォルダブルディスプレイ用静電容量式タッチパネルの採用が主流になり、ミドルレンジスマートフォンではフレキシブルディスプレイ用静電容量式タッチパネルの採用が拡大するなど、ガラス基板、フィルム基板からフレキシブルディスプレイ用、フォルダブルディスプレイ用へのシフトが加速するとみられる。

今後の5年間で大きな市場の変動が起こると予想されるため、参入メーカーは、製品開発のための投資を拡充させており製品開発が活発化している。

■フォルダブルディスプレイ用

繰り返し折り曲げての使用(フォルダブル)や丸めての使用(ローラブル)を前提としたディスプレイに搭載される静電容量式タッチパネルを対象とする。

フォルダブルディスプレイ市場の形成とともに市場は本格的に形成され、2019年は18億円が見込まれる。2020年はSamsung El.やHuawei、Motorolaなど、多くのメーカーがフォルダブルスマートフォンを発売しており、市場は大幅に拡大すると予想される。

スマートフォン市場が成熟し競争も激化する中で、各メーカーは差別化を図る目的でフォルダブルスマートフォンの開発に注力している。2022年から2023年頃にはAppleも投入するとみられることからさらに需要が増加し、2024年には842億円(2019年見込比46.8倍)と予測される。

タッチパネルの方式としては、各メーカーがフレキシブルAMOLED オンセル(薄膜封止層状に電極を形成してセンサーとする技術)の開発に取り組み量産の準備を進めていることから、これが主体となって市場は拡大していくとみられる。

■フレキシブルディスプレイ用

曲げたり丸めたりの柔軟性に優れ、デザイン自由度が高いディスプレイ(フォルダブルディスプレイを除き、湾曲(カーブド)形状およびフラット形状のディスプレイ)に用いられる静電容量式タッチパネルを対象とする。

2019年の市場はスマートフォンの生産が伸び悩んでいるものの、フラッグシップモデルを中心にフレキシブルディスプレイの採用が増加していることなどから、2,056億円が見込まれる。韓国パネルメーカーに加え、中国パネルメーカーが相次いで参入したことから今後も市場は拡大していくとみられ、2024年には3,446億円(2019年見込比67.6%増)と予測される。

用途別にみると、スマートフォン向けが大半を占めているが、タブレット端末やノートパソコン、車載ディスプレイにおいて狭額縁化や曲面化、異形化といったニーズに対応するため開発が進められており、今後これらの用途での採用増加が期待される。

【アプリケーション市場】

■車載ディスプレイ

2019年見込

2024年予測

2019年見込比

6,324億円

8,208億円

129.8%

自動車に搭載されるディスプレイを対象とする。車載ディスプレイには、センターコンソール部分に配置するセンターインフォメーションディスプレイ(CID)、メーターディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、ミラーディスプレイ、リアシートエンターテインメントディスプレイなどがある。車載ディスプレイは、狭額縁化と曲面化のニーズが強く、異形ディスプレイや曲面ディスプレイの製品開発が活発化している。

2019年は、中国の経済成長率の低下や不安定な世界経済の影響を受け自動車生産台数は減少するものの、車載ディスプレイに対するニーズが強く市場は拡大するとみられる。車載ディスプレイの搭載は高級車から大衆車まで幅広く進められており採用箇所も増加しているため、今後も市場は拡大が続くと予想される。

■フォルダブルディスプレイ搭載端末

2019年見込

2024年予測

2019年見込比

2,145億円

6兆3,000億円

29.4倍

2019年にSamsung El.が「Galaxy Fold」を発売し、市場は形成された。2020年にはHuawei、Motorolaも製品投入しており、市場は活況を呈している。中国スマートフォンメーカーやノートパソコンメーカーも開発を進めていることから、今後は大幅な市場拡大が期待され、2024年には6兆3,000億円(2019年見込比29.4倍)と予測される。

◆調査対象

タッチパネル

・フィルム基板静電容量式タッチパネル

・フレキシブルディスプレイ用静電容量式タッチパネル

・ガラス基板静電容量式タッチパネル

・フォルダブルディスプレイ用静電容量式タッチパネル

タッチパネル用構成部材

・ITOフィルム(静電容量式用)

・カバーウインドウ(プラスチック)

・Agメッシュフィルム

・OCA

・Cuメッシュフィルム

・OCR

・Agナノワイヤフィルム

・ターゲット材(透明電極用/引出し配線用)

・HCフィルム・IMフィルム

・導電性ペースト(引出し配線用)

・カバーウインドウ(ガラス)

 

ディスプレイパネル

・フレキシブルディスプレイ

・曲面ディスプレイ

・フォルダブルディスプレイ

・異形ディスプレイ

フレキシブル/フォルダブルディスプレイ用構成部材

・TFT基板用PIワニス

・フレキシブルAMOLED用シール材

・フレキシブル基板材料(タッチパネル用)

・フォルダブルディスプレイ用カバーウインドウ(フィルム)

・円偏光板

・フォルダブルディスプレイ用カバーウインドウ(超薄板ガラス)

・位相差フィルム

・フィルムカバーウィンドウ用ハードコーティング材

アプリケーション

・フレキシブルディスプレイ搭載端末

・車載ディスプレイ

・フォルダブルディスプレイ搭載端末

・大型パブリックディスプレイ

・ローラブルTV

 

メーカー事例分析

・タッチパネルメーカー 3社

・ディスプレイメーカー 9社


2020/05/20
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