PRESSRELEASE プレスリリース

第20106号

医療用医薬品市場調査シリーズVol.1
生活習慣病領域や腎疾患治療剤、その他循環器疾患治療剤の国内市場を調査
生活習慣病領域では糖尿病関連の治療剤の伸びに注目
―2028年市場予測(2019年比)―
●糖尿病治療剤 5,918億円(7.4%増)
~患者数増加で当面は拡大するも、長期的にはジェネリック医薬品の普及により縮小傾向に~
●糖尿病合併症治療剤 481億円(4.0倍)
~糖尿病による心血管イベントや心不全の抑制や治療に用いる薬剤などの発売が拡大に寄与~
●心不全治療剤 1,323億円(35.6%増)
~2020年、2021年は縮小するが、2022年以降は複数の新薬発売により再び拡大~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、患者数の増加により糖尿病治療剤や糖尿病合併治療剤などの伸びが注目される生活習慣病領域など3領域の医療用医薬品の市場を調査した。その結果を「2020-2021 医療用医薬品データブック No.1」にまとめた。

この調査では、生活習慣病領域(7品目)のほか、腎性貧血治療剤や高カリウム血症・尿毒症治療剤などの腎疾患治療剤(8品目)、抗凝固剤・ヘパリン製剤をはじめとするその他循環器疾患治療剤(8品目)の市場を調査した。なお、富士経済では医療用医薬品の国内市場を2020年から2021年にかけ、薬効領域別に6回に分けて調査する。

◆注目市場

●糖尿病治療剤【生活習慣病領域】

2020年見込

2019年比

2028年予測

2019年比

5,692億円

103.3%

5,918億円

107.4%

生活習慣の欧米化や高齢化に伴い2型糖尿病の患者数が増えているため、市場は拡大している。また、糖尿病治療期間の長期化に伴い、併用薬剤の増加やインスリン製剤へのシフトが進んでいることも、市場の拡大要因になっている。

剤形別では、経口剤が市場の70%以上を占める。DPP-4阻害剤やSGLT2阻害剤などの新規作用機序製品、更に2017年、2018年にDPP-4阻害剤とSGLT2阻害剤の配合剤が発売され、基準となる薬剤が切り替わったことから、ジェネリック医薬品による影響が限定的となり伸びている。

注射剤では、GLP-1受容体作動薬の発売、インスリンアナログ製剤の新薬の登場など、薬剤の多様化により活性化している。また、2019年、2020年にGLP-1受容体作動薬とインスリンアナログ製剤の配合剤が発売されたことから、今後の処方シフトが予想される。

2型糖尿病の患者数は今後も大幅に増加し、また、治療の長期化が進むとみられ、併用される薬剤が追加されるケースが増えると想定される。そのため、参入メーカーは配合剤の開発、発売を積極的に進めており、配合剤の伸びが予想される。特にインスリンアナログ製剤とGLP-1受容体作動薬配合剤は自己注射剤の配合剤となることから、今まで併用していなかった患者への処方選択肢となるとみられる。

2024年までは市場は堅調に拡大するが、2025年以降は大型品の特許が切れ、ジェネリック医薬品が普及することから、市場縮小が予想される。

●糖尿病合併症治療剤【生活習慣病領域】

2020年見込

2019年比

2028年予測

2019年比

117億円

97.5%

481億円

4.0倍

糖尿病性神経障害治療剤、糖尿病性腎症やその他(糖尿病性皮膚潰瘍等)の治療剤を対象とした。

糖尿病患者数の増加に伴い合併症患者数は増えているが、近年は新薬が発売されていないため、ジェネリック医薬品や薬価改定の影響により市場は縮小している。また、糖尿病合併症治療は、糖尿病治療剤による血糖値のコントロールが原則であり、加えて、糖尿病合併症として直接適応を持たない薬剤が症状に合わせて処方されていることも市場拡大を妨げている。

2022年頃まで市場は縮小するとみられるが、糖尿病性腎症において新たな作用機序の薬剤や、注目度の高い適応拡大に向けた開発が進んでいる。糖尿病性神経障害治療剤でもフェーズⅢで適応拡大に向けた開発が進む治療剤があるなど、新製品の登場により、2023年以降は再び拡大が予想される。また、糖尿病による心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中など)や心不全の抑制や治療に用いる治療剤が開発段階にあり、新たな薬剤が発売されることも市場拡大に寄与するとみられる。さらに、糖尿病領域や腎疾患領域に強いメーカーの積極的な参入も期待され、2028年の市場は481億円が予測される。

●心不全治療剤【その他循環器疾患治療剤】

2020年見込

2019年比

2028年予測

2019年比

958億円

98.2%

1,323億円

135.6

心不全治療剤として、ジギタリス製剤、カテコラミン、PDEⅢ阻害剤、ANP製剤、その他心不全治療剤を対象とする。また、高血圧症治療剤で心不全の適応を持つ薬剤の心不全治療による売上も含めた。

上位品の多くが長期収載品であり、ジェネリック医薬品への切り替えにより2010年まで市場は縮小してきた。2010年12月に利尿剤「サムスカ」(大塚製薬)が「心不全における体液貯留改善」を適応として発売され、高い利尿効果が評価を得て売上を伸ばし、市場は拡大に転じた。

しかし、市場をけん引してきた「サムスカ」は2020年4月に薬価改定となり、また、2021年頃にはジェネリック医薬品が登場するとみられるため、それに伴い一時的に市場縮小が予想される。一方、2021年には現在申請中の薬剤が発売される予定となっているほか、2021年から2022年頃にかけて複数の新薬が発売されるとみられ、2022年以降は市場拡大が予想される。

◆調査結果の概要

■生活習慣病領域、腎疾患治療剤、その他循環器疾患治療剤の国内市場

 

2020年見込

2019年比

2028年予測

2019年比

生活習慣病領域

1兆3,699億円

99.4%

1兆3,106億円

95.1%

腎疾患治療剤

2,175億円

91.6%

2,309億円

97.3%

その他循環器疾患治療剤

6,497億円

100.0%

6,326億円

97.3%

生活習慣病領域は患者数が多く、治療剤は長期にわたる服用が必要となるため、参入メーカーが多く、複数の薬剤が投入されていることから、1兆3,000億円を超える市場となっている。

2019年の市場は、糖尿病治療剤と痛風・高尿酸血症治療剤は伸びたが、糖尿病合併症治療剤や高血圧症治療剤、脂質異常症治療剤はジェネリック医薬品の影響により縮小したため、2018年比0.7%減となった。2020年は痛風・高尿酸血症治療剤も薬価の引き下げの影響で縮小し、2019年比0.6%減が見込まれる。

今後、高齢化の進行で患者数が増えるため、特に糖尿病合併症治療剤は大きく伸びるとみられる。また、非アルコール性脂肪性肝疾患治療剤は2024年頃に国内初の治療薬が発売され市場の立ち上がりが予想される。一方、薬価の引き下げやジェネリック医薬品の影響により高血圧治療剤や脂質異常症治療剤、痛風・高尿酸血症治療剤などが縮小するため、2028年の市場は2019年比4.9%減が予測される。

腎疾患治療剤の2019年の市場は、3割以上を占める腎性貧血治療剤が、上位製品のオーソライズドジェネリックのバイオシミラーの発売により苦戦した。また、高リン血症治療剤や二次性副甲状腺機能障害治療剤などが薬価の引き下げやジェネリック医薬品発売の影響により売上が減少したため、縮小した。2020年の市場は、腎性貧血治療剤の落ち込みや他薬剤のジェネリック医薬品の影響により、2019年比8.4%減が見込まれる。

2021年頃までに新薬の発売が予想され一時的に市場は回復に向かうものの、薬価の引き下げや特許切れに伴うジェネリック医薬品の発売などにより先発品は苦戦するとみられ、2028年の市場は2019年比2.7%減が予測される。

その他循環器疾患治療剤は、2010年代前半までは抗血小板剤・末梢血管拡張剤の割合が大きかったが、近年は抗凝固剤・ヘパリン製剤が直接経口抗凝固剤(DOAC)4剤の大型製品化にともない4割弱を占めている。2020年は、抗凝固剤・ヘパリン製剤と肺高血圧症治療剤は伸びるものの、その他の薬剤は縮小するとみられる。

当面は、抗凝固剤・ヘパリン製剤は、DOACの適応拡大などにより需要は高まるとみられるが、主要製品の特許切れが想定されるため、2025年以降は縮小が予想される。多くの薬剤が縮小するため、2028年の市場は2019年比2.7%減が予測される。

市場環境は厳しいものの、心不全治療剤は、現在申請中の薬剤の発売が控えており、複数の開発品が2021年から2022年頃にかけて発売される可能性があり、以降の伸びが期待される。また、肺高血圧症治療剤では慢性血栓塞栓性肺高血圧症や小児への適応拡大に向けた薬剤開発が進められている。

◆調査対象

生活習慣病領域

・糖尿病治療剤

高血圧症治療剤

・肥満治療剤

・糖尿病合併症治療剤

・脂質異常症治療剤

 

・非アルコール性脂肪性肝疾患治療剤

・痛風・高尿酸血症治療剤

 

腎疾患治療剤

・腎性貧血治療剤

・低リン血症治療剤

・慢性腎不全治療剤

・高カリウム血症・尿毒症治療剤

・二次性副甲状腺機能障害治療剤

(慢性腎臓病含む)

・高リン血症治療剤

そう痒症治療剤

透析用剤

その他循環器疾患治療剤

・抗凝固剤・ヘパリン製剤

・心不全治療剤

・肺高血圧症治療剤

・抗血小板剤・末梢血管拡張剤

・不整脈治療剤

・利尿剤

(腰部脊柱管狭窄症を含む)

・狭心症治療剤

・脳卒中治療剤


2020/10/09
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