PRESSRELEASE プレスリリース

第20123号

カーシェア、配車サービスなどMaaS関連市場を調査
―2030年予測(2019年比)―
■MaaS関連の国内市場 2兆5,175億円(88.2%増)
~カーシェアや配車サービスの伸びにより、大きく拡大~
~都市部ではカーシェアの利用が増える。地方も含めて配車サービスの需要は増加~
●カーシェア 4,300億円(9.1倍)
~レンタカーからの需要シフトにより、都市部を中心に伸びる~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、自動車をはじめ、バスや電車、タクシー、飛行機など、多様な交通手段をシームレスにつなげ、ユーザーの利便性を高める、MaaS(Mobility as a Service)を構成するカーシェアや配車サービスなどのサービスと駐車装置や管理システムなどの関連機器・システムの国内市場を調査した。その結果を「モビリティ・インフラ&サービス関連市場の将来展望 2021」にまとめた。

この調査では、MaaSを構成するサービス9品目と機器・システム9品目について、現状を調査し、将来を予想した。また、サービス利用拠点となる駐車場や駅などにおけるMaaS利用について、東京23区型、大都市型、地方郊外・過疎地域型など地域区分別の分析を行った。

◆調査結果の概要

■MaaS関連の国内市場

 

2020年見込

2030年予測

2019年比

サービス

8,437億円

2兆1,282億円

185.6%

機器・システム

1,278億円

3,893億円

2.0倍

合 計

9,715億円

2兆5,175億円

188.2%

2020年のサービス市場は、レンタカー(46.5%)とコインパーキング(35.6%)が大部分を占める見込みであり、それらは将来的に堅調な伸びが予想される。カーシェア(5.0%)と配車サービス(11.7%)は現時点での構成比は小さいが今後大きな伸びが期待され、2030年にはそれぞれ20%前後に高まるとみられる。駐車場シェアも需要増加が予想される。シェアバイクやキックスケーターは2020年時点ではサービス開始の段階であるが、2030年に向けて利用者の急増が想定される。

サービスの利用拠点は、現状コインパーキングの利用が多いため、駐車場を拠点とするケースが中心となっている。2030年も駐車場が中心になるが、鉄道利用後に駅を拠点としたサービスの利用も増えるとみられる。また、今後はショッピングセンターやコンビニエンスストアを拠点とした利用の増加が期待される。

2020年の機器・システム市場は、駐車場管理システム(48.9%)、駐車装置・機器、自走式立体駐車場(35.0%)が大部分を占めると見込まれ、将来的にも需要増加が期待される。また、公共用ワイヤレス給電システムは現状、実証実験の段階であるが、2025年頃から大きく伸びるとみられる。他の機器・システムも堅調な伸びが予想される。

■都市区分別サービスの延べ利用者数(※コインパーキング利用は除く)

◆全都市区分合計

 

2020年見込

構成比

2030年予測

構成比

全体

1億3,496万人

100.0%

5億3,549万人

100.0%

 

カーシェア

1,741万人

12.9%

1億7,917万人

33.5%

 

配車サービス

4,309万人

31.9%

1億7,033万人

31.8%

 

レンタカー

4,903万人

36.3%

8,521万人

15.9%

 

シェアサイクル

2,001万人

14.8%

6,570万人

12.3%

※カーシェア、配車サービス、レンタカー、シェアサイクルは全体の内数

2020年は、レンタカーや配車サービスがそれぞれ30%以上を占めると見込まれる。また、シェアサイクルは東京23区を中心に約2,000万人の利用が見込まれる。

2030年は、カーシェアがレンタカーの需要を取り込むなどして、大きな伸びが予想される。配車サービスも全国的に普及が進むとみられる。レンタカーも堅調な利用増加が期待できるが、カーシェアや配車サービスが大きく伸びるため、構成比は縮小する。

◆東京23区型

 

2020年見込

構成比

2030年予測

構成比

全体

7,071万人

100.0%

2億1,304万人

100.0%

 

カーシェア

830万人

11.7%

7,901万人

37.1%

 

配車サービス

1,884万人

26.6%

4,701万人

22.1%

 

シェアサイクル

1,401万人

19.8%

3,614万人

17.0%

※カーシェア、配車サービス、シェアサイクルは全体の内数

2020年は、レンタカーが40%程度を占め、近年需要が増えている配車サービスやシェアサイクルも高い構成比が見込まれる。

2030年には、カーシェアが大きく伸びるとみられる。自家用車保有率が低い東京23区に適したサービスであり、企業拠点が集まっていることによる法人利用の増加も期待される。配車サービスとシェアサイクルも利用者の大幅な増加が予想される。一方、公共交通空白地での展開が多く、乗り合い型であるオンデマンド交通の需要は小さいとみられる。

◆地方郊外・過疎地域型

 

2020年見込

構成比

2030年予測

構成比

全体

567万人

100.0%

3,050万人

100.0%

 

配車サービス

46万人

8.1%

1,184万人

38.8%

 

オンデマンド交通

308万人

54.3%

768万人

25.2%

 

カーシェア

33万人

5.8%

466万人

15.3%

※配車サービス、オンデマンド交通、カーシェアは全体の内数

2020年は、路線バスや鉄道交通の空白地が存在し高齢者が多いことからオンデマンド交通が50%以上を占めると見込まれる。高齢者のスマートフォン利用が少ないこともあり、配車サービスやカーシェアの利用は一部にとどまっている。

2030年には、高齢者のスマートフォン利用の増加、アプリを活用したさまざまなサービスの展開が進むことにより、配車サービスの利用増加が予想される。また、オンデマンド交通も堅調に伸びるとみられる。

◆注目市場

●カーシェア

2020年見込

2030年予測

2019年比

426億円

4,300億円

9.1倍

事前登録した会員間で車をシェア(共有)して利用するサービスである。ここでは事業者が保有している車を登録会員間で共同利用するBtoCサービスを対象とする。

2020年は、新型コロナウイルス感染症の流行により、密を避けて移動できる手段としてカーシェアの需要が高まり会員数は増加する一方、シェア車両の衛生面での不安から利用を避ける既存ユーザーも多いため、市場は前年比9.4%減が見込まれる。しかし、カーシェアは通勤、通学、買い物など日常的に必要な移動手段としての需要が多く、累計の車両台数やステーション数は堅調に増えており、2021年以降は再び市場拡大が予想される。

現状、最寄り駅を拠点とした鉄道からの乗り換え利用が中心で、主要駅周辺にステーションが多く設置されている。また、主要都市では自家用車の代わりとしての利用も多いため、住宅密集地周辺の駐車場にもステーションが設置されている。また、コンビニエンスストアは、人が多く集まるため設置スペースとして注目されている。

●シェアサイクル

2020年見込

2030年予測

2019年比

23億円

76億円

2.9倍

専用ステーションから自転車を借り出し、任意のステーションに返却が可能なサービスを対象とする。2018年に多くの事業者が参入したことにより認知度が向上し、利用者数が増えている。自転車活用推進法の施行により、地方自治体が民間事業者と連携してサービスを展開するケースもみられる。

2020年は外出自粛の影響などから利用者は減少しているものの、密を避ける移動手段とし評価され、事業者によっては登録者の大幅な増加がみられる。ユーザーの利便性向上のためステーション数と車両台数の増設が進められており、2021年以降は利用者が大幅に増えるとみられる。

駅からの二次交通としての利用が多く、駅周辺の駐輪場や駐車場の事業者がシェアサイクルを運営し、ステーションを設置するケースがみられる。コンビニエンスストアでもステーション設置が進んでいる。また、民間事業者と自治体との協業によって、今後は自治体が所有する土地スペースへの設置が進むとみられる。住民の利便性向上のためマンションにステーションが設置される事例も増えている

◆調査対象

サービス

・カーシェア 

・駐車場シェア

・オンデマンド交通

・レンタカー 

・シェアサイクル

・キックスケーター

・配車サービス

・シェアバイク

・コインパーキング

関連機器・システム

・駐車装置・機器、自走式立体駐車場

・駐輪場管理システム

・デジタルサイネージ

・駐車場管理システム

・公共用充電器(急速/普通充電器)

・券売機

・駐輪装置・機器

・公共用ワイヤレス給電システム

・KIOSK端末

モビリティ&インフラ

・駐車場/自動車(乗用車・商用車)

・空港/航空

・コンビニエンスストア

・駐輪場/バイク・自転車

・バスターミナル/バス

・ガソリンスタンド

・駅/鉄道 

・ショッピングセンター 

 


2020/11/20
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