PRESSRELEASE プレスリリース
<注目市場>
●培養バッグ 19億円(72.7%増)
~ ステンレス製の培養槽からの切り替えが進み、市場拡大 ~
●錠剤印刷機 78億円(44.4%増)
~ 患者の誤飲防止のため錠剤やカプセル錠に印字する需要が増加 ~
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、バイオ医薬品の製造や研究・開発が活発化していることに伴い拡大しているメディカルエンジニアリング関連の国内市場を調査した。その結果を「メディカルエンジニアリングのスマート化・フロー化の最新動向 2020」にまとめた。
この調査では、培養製品/細胞6品目、分離/精製製品10品目、充填/包装/検査装置7品目、試験/解析装置4品目、管理システム4品目、施設/チューブ/ポンプ4品目の市場を調査・分析し、将来を展望した。
◆注目市場
●培養バッグ
2020年見込 |
前年比 |
2030年予測 |
2019年比 |
11億円 |
100.0% |
19億円 |
172.7% |
バイオ医薬品の研究・開発や製造の際に使用されるシングルユース(使い捨て)の培養バッグを対象とする。培養バッグは、細胞培養などの目的で使用され、容量が1リットルから20リットル程度の小容量タイプや2,000リットルに対応した大容量タイプがある。
バイオ医薬品の研究・開発や製造工程では、従来、ステンレス製の培養槽が使用されていたが、配管系統の洗浄や滅菌などの手間を省きたいというニーズが高まっていることから、プラスチック製でシングルユースの培養バッグの需要が増加している。今後も、洗浄などの手間が省けることからステンレス製の培養槽からの切り替えが進み、市場は拡大するとみられる。
●錠剤印刷機
2020年見込 |
前年比 |
2030年予測 |
2019年比 |
61億円 |
113.0% |
78億円 |
144.4% |
錠剤やカプセル錠に文字を印字する印刷機を対象とする。外観検査を行う検査機を搭載する錠剤印刷機も含む。印刷方式は、インクジェット方式、転写式、UVレーザー式などがある。
2010年ごろに、従来の転写式やUVレーザー式とは異なるインクジェット式が発売されたことで市場が活性化し、拡大してきた。現状は、ジェネリック医薬品企業が他社製品との差別化戦略として、錠剤に印字することで誤飲を防止することを目的とした需要が中心となっている。また、先発薬についても患者の誤飲を防止するために錠剤やカプセル錠に文字を印字する需要が増加していることから、今後も市場は拡大していくとみられる。
●医薬プロセス膜
2020年見込 |
前年比 |
2030年予測 |
2019年比 |
33億円 |
103.1% |
40億円 |
125.0% |
医薬品精製工程において使用されるMF膜(精密ろ過膜:孔径0.01マイクロメートルから10マイクロメートル程度)、UF膜(限外ろ過膜:孔径0.001マイクロメートルから0.01マイクロメートル)を対象とする。
市場は、医薬品の品質保持のため定期的に医薬プロセス膜を交換する需要が安定してあることや、バイオ医薬のプラントの建設と製造が増加し新規需要が高まっていることから拡大している。今後もバイオ医薬品の製造増加に伴い市場は拡大するとみられる。
●粉末培地
2020年見込 |
前年比 |
2030年予測 |
2019年比 |
65億円 |
104.8% |
100億円 |
161.3% |
粉末タイプの細胞培養培地を対象とする。粉末培地は大量培養時に使用される製品であり、主にバイオ医薬品の製造工程で使用される。
2020年の市場は、65億円(前年比4.8%増)と見込まれる。バイオ医薬品市場の拡大に伴い、市場は拡大している。また、ワクチンの製造過程において、粉末培地を必要としない従来の鶏卵を使用する方法から、粉末培地を必要とする動物細胞を用いる製造方法に移行していることが、市場の拡大に寄与している。今後もバイオ医薬品市場の拡大に伴い、市場は拡大していくと予想される。
●MEAシステム
2020年見込 |
前年比 |
2030年予測 |
2019年比 |
3億円 |
150.0% |
6億円 |
3.0倍 |
ガラス基板上に平面微小電極がパターニングされ、電極上に組織切片を乗せて細胞外電位が測定可能なMEAシステムと採取したデータの解析ソフトウェアを対象とする。
MEAシステムは、主にiPS細胞を用いた毒性試験に採用されている。動物実験の代替として需要が増加し、市場は拡大している。今後は、毒性試験だけではなく薬効薬理研究においても採用が増加するとみられ、市場は拡大していくと予想される。
◆調査結果の概要
■メディカルエンジニアリング関連の国内市場
|
2020年見込 |
前年比 |
2030年予測 |
2019年比 |
培養製品/細胞 |
115億円 |
103.6% |
182億円 |
164.0% |
分離/精製製品 |
349億円 |
101.5% |
417億円 |
121.2% |
充填/包装/検査装置 |
219億円 |
104.8% |
248億円 |
118.7% |
試験/解析装置 |
27億円 |
96.4% |
39億円 |
139.3% |
管理システム |
106億円 |
106.0% |
147億円 |
147.0% |
施設/チューブ/ポンプ |
545億円 |
108.6% |
783億円 |
156.0% |
合 計 |
1,360億円 |
105.1% |
1,816億円 |
140.3% |
※市場データは四捨五入している
2020年の市場は、1,360億円(前年比5.1%増)が見込まれる。近年、国内のバイオ医薬品の製造や研究・開発が活発化していることにより使用される培養製品/細胞や分離/精製製品などは順調に拡大している。今後も市場拡大は続くとみられ、2030年には1,816億円(2019年比40.3%増)と予測される。
カテゴリー別にみると、培養製品/細胞はバイオ医薬品の需要が増加していることから伸びている。中でも洗浄や滅菌などの工程が不要となるシングルユースのニーズが高まっており、シングルユースのファーメンター/バイオリアクターや攪拌機/ミキサー、培養バッグなどの需要が増加している。
分離/精製製品は、バイオ医薬品向けの実績が多いプロテインAアフィニティ担体や医薬プロセス膜、貯蔵バッグなどが伸びている。
充填/包装/検査装置は、2018年以降の薬価改定の影響を受け先発品企業の設備投資が進んでおり、外観検査装置や錠剤印刷機などは需要が増加し、伸びている。
試験/解析装置は、MEAシステムが動物実験に代わる毒性試験の手段として需要が増加している。
管理システムは、2014年7月に日本がPIC/S(医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム)に加盟し、2016年8月にPIC/Sによるデータインテグリティ(データ完全性)に関するガイドラインが作成され、2018年11月にガイドラインが更新されたことに伴い、順調に伸びている。製薬企業はデータインテグリティへの対応が必要であり、ガイドラインの更新ごとに定期的にシステムの導入が続くため伸長に繋がっている。
施設/チューブ/ポンプは、医薬品製造用途チューブやパーティクルカウンターなどが伸びている。医薬品製造用途チューブは、シングルユースのチューブやコネクターを対象としており、シングルユースニーズの高まりから需要が増加し伸びている。パーティクルカウンターは、再生医療関連や半導体関連での実績が増加し伸びている。
◆調査対象
領域 |
品目 |
||
培養製品/細胞 |
・振盪培養機 |
・培養バッグ |
・粉末培地 |
・ファーメンター/バイオリアクター |
・攪拌機/ミキサー |
・動物細胞 |
|
分離/精製製品 |
・大型遠心分離機 |
・プロテインA |
・貯蔵バッグ |
・医薬プロセス膜 |
アフィニティ担体 |
・滅菌システム |
|
・バイオプロセス用 |
・ODSカラム |
・エアフィルター |
|
クロマトグラフ |
・ウイルスろ過膜 |
・フィルター完全性試験装置 |
|
充填/包装/検査装置 |
・カプセル充填機 |
・液中検査装置 |
・印字検査装置 |
・錠剤印刷機 |
・錠剤計数機 |
|
|
・外観検査装置 |
・ブリスター包装機 |
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試験/解析装置 |
・恒温器/低温恒温器 |
・ハイスループットスクリーニング装置/解析用ソフトウェア |
|
・シリンジポンプ |
・MEAシステム |
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管理システム |
・統合管理システム |
・品質管理システム |
・安全性試験管理システム |
・製造管理システム |
|
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施設/チューブ/ポンプ |
・バイオ医薬プラント |
・パーティクル |
・定量ポンプ |
・医薬品製造用途チューブ |
カウンター |
|