PRESSRELEASE プレスリリース
●敏感肌用化粧品 1,246億円 (2.4%増)
~マスク着用による肌トラブルを感じる消費者の増加もあり、拡大~
●アクネ対応スキンケア 325億円 (1.2%増)
~マスクニキビのケアを訴求したプロモーションが活性化し、伸び続く~
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 清口 正夫 03-3241-3470)は、2020年は大幅に縮小したもののコロナ禍のニーズに対応した商品の投入が進むことで、回復に向かっている機能性化粧品の市場を調査した。その結果を「機能性化粧品マーケティング要覧 2021-2022」にまとめた。
この調査では、スキンケア、ベースメイク、ボディケア、ヘアケアなどの化粧品市場をアンチエイジング、ホワイトニングなど機能別に分類し、分析した。
◆調査結果の概要
■機能性化粧品の国内市場
2021年見込 |
前年比 |
2022年予測 |
前年比 |
2兆3,000億円 |
104.1% |
2兆3,558億円 |
102.4% |
2020年は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、インバウンド需要が消失し、緊急事態宣言の発出による一部業態の臨時休業、カウンセリング活動の自粛から市場は縮小した。一方で、マスクの着用による肌荒れのケアやベースメイクの崩れ・色移り防止といった新たなニーズがみられ、在宅時間の増加から“おうち美容"としてスペシャルケアをステップに取り入れる消費者も増えている。
2021年も新型コロナの流行が続いているが、店舗の大規模な臨時休業はみられず、コロナ禍のニーズに対応した商品の投入が進んでいることや、デジタル施策による提案強化により、市場は拡大するとみられる。
◆注目市場
●敏感肌用化粧品
2021年見込 |
前年比 |
2022年予測 |
前年比 |
1,217億円 |
103.5% |
1,246億円 |
102.4% |
敏感肌用の化粧品として、スキンケアを中心に、ボディケア、ベースメイク、ヘアケアの商品が展開されている。コロナ禍によりマスクの着用が日常的となり、摩擦などで肌への刺激を感じる消費者が増加していることから、スキンケアを中心に需要が高まっている。2020年は前年比4.8%減となったが、ホワイトニングなどほかの機訴求能と比較すると落ち込みは小幅である。2021年もマスクの着用が依然として求められ、需要が続いていることから、市場は拡大するとみられる。
スキンケアでは、肌に優しい商品を使用したいと感じる消費者が肌質や年齢を問わず増加していることから、敏感肌層以外も広く需要を取り込んでおり、今後マスクの着用機会が減少した後も堅調な推移が予想される。また、使用歴の長い顧客の加齢から、メーカーはホワイトニングやアンチエイジングなど複合機能を訴求する商品の投入により囲い込みを図っている。
ボディケアでは、トーンアップ効果を付与したサンスクリーンが、マスク着用により増加するライトメイク志向層のベースメイクの代替需要を取り込み好調である。また、ボディクリーム・ローションが“おうち美容"の一環で全身に使用しても安心な商品として、敏感肌ブランドが需要の受け皿となっている。さらに、スキンケアやボディケアなどで敏感肌ブランドの注目度が高まったことで、ヘアケアやベースメイクでも派生需要を取り込むケースもみられる。
●ホワイトニング化粧品
2021年見込 |
前年比 |
2022年予測 |
前年比 |
3,089億円 |
108.1% |
3,209億円 |
103.9% |
ホワイトニングを訴求する化粧品として、スキンケアを中心に、ベースメイク、ボディケアの商品が展開されている。2020年はスキンケアでしわ改善・シミ予防の医薬部外品の投入が活発化したものの、緊急事態宣言の発出と最需要期が重なり、市場は大きく落ち込んだ。2021年は前年に続き医薬部外品の投入が続いており、前年の反動もあって市場は前年比8.1%増が見込まれる。
市場の8割以上を占めるスキンケアは、しわ改善・シミ予防の医薬部外品の投入が、スポットケアや美容液などだけでなく化粧水/乳液、オールインワンジェルなどに広がり、日常的にしわとシミをケアできることから需要を取り込んでいる。また、マスクの着用による色素沈着を避けるためなど、コロナ禍の需要も獲得している。
ベースメイクでは、マスクの内側にファンデーションが付着することや肌への負担を懸念して、メイクアップベースとフェイスパウダーのみでベースメイクを仕上げるライトメイク層が増えており、ファンデーションは減少が続くものの、メイクアップベースやフェイスパウダーは堅調な需要が予想される。
●アンチエイジングヘアケア
2021年見込 |
前年比 |
2022年予測 |
前年比 |
1,517億円 |
117.5% |
1,480億円 |
97.6% |
ヘアケアにおけるアンチエイジングとしては、加齢による抜け毛の予防や発毛促進をうたう商品や、細くなった髪のボリュームアップやハリ・コシの改善を訴求する商品がある。
医薬部外品の育毛剤と育毛剤の浸透を高める機能を訴求した育毛シャンプー・リンスが市場をけん引している。頭皮ヘの負担の少なさや育毛効果の高い独自成分を訴求している「ニューモ」(ファーマフーズ)が新規需要の獲得に加えて、効果実感の高さからリピート需要の獲得も好調なことから、2020年、2021年と市場は拡大を続けるとみられる。
コロナ禍によるオンライン会議などで、画面上で自身の姿を目にする機会が増加しヘアケア意識が高まっていることを背景に、育毛剤の需要が伸びている。一方で、男性を中心により効果実感が期待できる医薬品育毛剤へのシフトも懸念される。
●アクネ対応スキンケア
2021年見込 |
前年比 |
2022年予測 |
前年比 |
321億円 |
102.2% |
325億円 |
101.2% |
アクネトラブルの程度によってニキビ治療薬、アクネ対応スキンケア、肌荒れ全般のケアを訴求するスキンケアと需要が分散している。マスク着用時の刺激によりニキビができやすくなる、肌荒れしやすいなど、アクネトラブルに悩む消費者が増加しており、2020年の市場は縮小したものの小幅にとどまった。
また、“マスクニキビのケア"を打ち出したプロモーションや新ブランド/新ラインの投入も活発であり、新規顧客の取り込みが進んでいることから、2021年の市場は拡大するとみられる。
今後も暫くはマスクの着用が続き、市場は堅調に推移するとみられる。一方で、中長期的には日常的なマスク着用がなくなることで、需要が一段落するとみられるため、今後の市場拡大には、繰り返すニキビの予防や肌荒れ全般の予防も併せた訴求など、日常的なアクネケアの需要喚起が必要となる。
◆調査対象
|
訴求機能 |
対象品目 |
スキンケア |
・モイスチャー ・ホワイトニング ・アンチエイジング ・敏感肌 ・アクネ対応 |
・洗顔料・クレンジング ・化粧水 ・乳液 ・美容液・スポットケア ・モイスチャー ・パック |
ベースメイク |
・モイスチャー ・ホワイトニング・UV ・アンチエイジング ・皮脂過剰抑制 ・敏感肌 ・アクネ対応 |
・メイクアップベース ・ファンデーション ・フェイスパウダー |
ボディケア |
・モイスチャー ・UV(ホワイトニング) ・スリミング/マッサージ効果 ・敏感肌 ・フレグランス |
・リップクリーム ・サンタン・サンスクリーン ・ボディシャンプー ・ボディクリーム・ローション ・バスプロダクツ |
ヘアケア |
・モイスチャー&マイルド ・ダメージケア ・頭皮ケア ・アンチエイジング ・フレグランス |
・シャンプー ・リンス・コンディショナー ・インバストリートメント ・アウトバストリートメント ・男性用・女性用スカルプケア |