PRESSRELEASE プレスリリース

第22031号

オンコロジー(腫瘍学)関連の医薬品と治療機器などの国内市場を調査
―2030年予測(2020年比)―
■オンコロジー関連の国内市場          2兆3,527億円(129.8%)
免疫チェックポイント阻害剤の処方シーンが広がることで市場拡大
●肺がん領域の抗がん剤市場             4,905億円(119.3%)
早期の治療に対応することから、処方量が増加し、市場拡大

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 清口 正夫 03-3241-3470)は、

がん患者の増加を背景に、がんゲノムプロファイリング検査や免疫チェックポイント阻害剤、がん光免疫療法など、近年新たな治療方法が登場し注目が集まるオンコロジー関連の国内市場を調査した。その結果を「2022 注目オンコロジー ドラッグ&デバイス市場の現状と将来展望」 にまとめた。

この調査では、医療用医薬品(抗がん剤ほか)18品目、注目医療機器(一部医薬品含む)4品目、注目診断(検査薬)5品目をオンコロジー関連市場とし、現状を明らかにして将来を展望した。

◆調査結果の概要

■オンコロジー関連の国内市場

 

2021年見込

2020年比

2030年予測

2020年比

医療用医薬品

1兆8,293億円

104.1%

2兆2,602億円

128.6%

注目治療機器

534億円

111.7%

764億円

159.8%

注目診断(検査薬)

74億円

107.2%

161億円

2.3倍

合 計

1兆8,900億円

104.3%

2兆3,527億円

129.8%

※市場データは四捨五入している

2021年の医療用医薬品市場は1兆8,293億円が見込まれる。2014年に免疫チェックポイント分子によるT細胞の活性化抑制を解除する免疫チェックポイント阻害剤が投入されたほか、患者数の多い固形がんへの適応範囲が広がり伸長している。また、発がんや腫瘍の悪性化に直接関わる特定のドライバー遺伝子を標的とした分子標的治療剤の投入が進んでいることも市場拡大に繋がっている。

今後も、免疫チェックポイント阻害剤や分子標的治療剤の単剤、または併用療法の適応範囲の広がりで、市場拡大が予想される。免疫チェックポイント阻害剤は、普及による薬価改定の影響は受けるものの、手術前後を含め、ステージⅠ、Ⅱなどアーリーステージでの投薬治療の活発化が期待され、2030年の市場は2020年比28.6%増の2兆2,602億円が予測される。

注目治療機器は、2020年は新型コロナ流行の影響で買い替え需要が落ち込んだものの、2021年は市場の約8割を占める放射線療法(同時化学放射線療法含む)関連や、CVポートなどの注目がん関連管理デバイスの安定した需要による下支えにより、市場は前年比11.7%増の534億円が見込まれる。

今後は、放射線療法(同時化学放射線療法含む)関連が市場をけん引するほか、認知度向上と実施可能施設の増加によってがん光免疫療法関連が伸長するとみられる。その他注目DDC製品では、新薬との組み合わせなどでより高い安全性や有効性のエビデンス構築、新規DDC製品の投入が進むほか、注目がん関連管理デバイスでは、インフューザーポンプ以外のがん疼痛緩和・管理デバイスとして脊髄刺激装置なども登場すると予想され、2030年に向けて市場は拡大するとみられる。

2021年の注目診断(検査薬)は、抗がん剤投与前のコンパニオン診断薬や投与中・投与後のモニタリング検査を中心に市場拡大している。今後は、がんゲノムプロファイリング検査も実施可能施設が増えることなどから緩やかに伸びるとみられる。

◆注目市場

●肺がん領域の抗がん剤【医療用医薬品】

2021年見込

2020年比

2030年予測

2020年比

4,229億円

102.9%

4,905億円

119.3%

2021年は、新型コロナウイルス感染症の流行により来院機会が減り、流行前と比較して肺がん治療患数が減少しているものの、免疫チェックポイント阻害剤の処方が増加し、市場は前年比2.9%増が見込まれる。

2022年以降は、来院機会の増加により治療数が増えるとみられ、免疫チェックポイント阻害剤の需要がさらに高まると予想される。また免疫チェックポイント阻害剤は、現在、術前に病巣を小さくするネオアジュバンド療法や術後に再発防止を行うアジュバンド療法、化学放射線療法後のアーリーステージでの処方に関する開発が進んでいる。今後は、これらにより早期の治療が可能となるため処方量が増加し、2030年の市場は2020年比19.3%増が予測される。

●多発性骨髄腫の抗がん剤【医療用医薬品】

2021年見込

2020年比

2030年予測

2020年比

1,078億円

110.7%

1,548億円

158.9%

2021年は、前年比10.7%増の1,078億円が見込まれる。分子標的治療剤では、「サークリサ」(サノフィ)や「ダラキューロ」(ヤンセンファーマ)、「ニンラーロ」(武田薬品工業)など新製品の実績が伸びている。また、一次療法におけるLd療法やBLD療法としてスタンダードドラッグのポジションを確立し、他の薬剤との併用療法で需要を取り込んできたサリドマイド関連剤の「レブラミド」(ブリストル マイヤーズ スクイブ)が伸びている。

今後、サリドマイド関連剤はジェネリック医薬品の発売や薬価引き下げにより減少が予想される。しかし、加齢によって発症リスクが上昇するため患者数が増加するほか、分子標的治療剤の「ダラザレックス」(ヤンセンファーマ)の適応範囲が広がることなどで市場は拡大するとみられる。また、CAR-T細胞療法製品のうち、米国FDAによって初めて多発性骨髄腫への適応が承認されたbb2121(ブリストル マイヤーズ スクイブ)が国内でも投入されることで市場拡大に寄与し、2030年は2020年比58.9%増の1,548億円が予測される。

●がんゲノムプロファイリング検査(リキッドバイオプシー含む)【注目診断(検査薬)】

2021年見込

2020年比

2030年予測

2020年比

10億円

111.1%

30億円

3.3倍

がん患者のがん関連ゲノムの変異を網羅的に解析し、がんの性質や有効な治療方法などをプロファイルするための検査である。

2019年6月の保険収載以降市場が立ち上がった。2020年4月に「固形がん患者における初回治療時の包括的ゲノムプロファイル検査の実現性と治療選択への有用性を評価する前向き研究」が先進医療に適用されたことにより、対象患者数が増え、検査数も増加するとみられる。しかし、次世代シーケンサーによる検査の煩雑さや結果に基づくミーティングなどプロセス全体では数か月におよぶことから、医療機関のキャパシティに限りがあるため、2025年まで市場は微増が予想される。

検査が自動化されるとみられる2025年から本格的な普及が始まり、2030年の市場は2020年比3.3倍の30億円が予測される。

◆調査対象

医療用医薬品

(抗がん剤ほか)

・肺がん

・頭頸部がん

・多発性骨髄腫

・胃・食道がん

・腎がん

・骨髄異形成症候群、

・大腸がん

・悪性脳腫瘍

その他血液がん

・乳がん

・皮膚がん

・がん関連症状緩和剤

・子宮がん、卵巣がん、

・その他固形がん

(CSF、制吐剤、がん疼痛)

その他女性関連がん

(甲状腺、膵臓、尿路上皮他)

・がん関連管理用剤

・前立腺がん

・白血病

(経腸栄養剤、栄養輸液製剤)

・肝がん

・悪性リンパ腫

 

注目治療機器

(一部医薬品含む)

・がん光免疫療法関連

・その他注目DDC

・注目がん関連管理デバイス

・放射線療法関連

(ドラッグデバイス

(がん疼痛、経腸栄養ポンプ

(同時化学放射線療法含む)

コンビネーション)製品

CVポート)

注目診断(検査薬)

・注目がん早期診断技術

・モニタリング検査

・がんゲノム

(マイクロRNA血液検査)

(薬剤投与中・後)

プロファイリング検査

・コンパニオン診断薬

・がん副作用予測検査

(リキッドバイオプシー含む)


2022/03/29
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