PRESSRELEASE プレスリリース
■革新型電池4品目の世界市場 3,137億円
HAPSから採用が始まり、2030年以降他の用途にも採用が広がり急拡大
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、高いエネルギー密度を必要とするHAPS(成層圏通信プラットフォーム)やドローンなどのアプリケーション開拓に向けて研究開発が進む革新型電池の世界市場について調査し、将来を展望した。その結果を「革新型電池の用途展開と将来展望」にまとめた。
この調査ではリチウム空気二次電池、金属Li負極採用二次電池、リチウム硫黄二次電池、フッ化物二次電池の4品目を対象として2040年の市場を予測するとともに、有望なアプリケーションとしてHAPS、ドローン、空飛ぶクルマ、電動航空機、サービスロボットを取り上げ、革新型電池の採用動向を予測した。
◆調査結果の概要
●革新型電池4品目の世界市場
革新型電池はエネルギー密度などをさらに高めることで、エネルギー密度や重量の問題でこれまで電池の搭載が難しかったアプリケーションへの採用を可能にするものである。本調査では500Wh/kg以上の高エネルギー密度の達成を目指す次世代電池を革新型電池と定義した。
現状革新型電池は研究開発段階にあり、2025年前後から採用が始まるとみられる。市場形成時は小規模に留まるとみられるが、エネルギー密度向上、出力特性の向上などによって採用が広がり、2040年の市場は3,137億円が予測される。
品目別では、金属Li負極採用二次電池はすでに高エネルギー密度かつ一定のサイクル数を達成しており、数年以内の採用が予想される。リチウム硫黄二次電池は飛行体での実証において2030年から実用化が進むとみられる。リチウム空気二次電池やフッ化物二次電池は開発の課題が多く、市場形成は2035年前後が予想される。この2品目においては各地域とも基礎研究段階にあるが、日本では産官学連携での開発が進められ、トップランナーとなっている。
アプリケーション面では、革新型電池の強みである高いエネルギー密度を活かしやすいHAPSから実用が始まり、次いでより高い出力密度の求められるドローンでの実証・採用が進むと想定される。その後開発・実証の進展によって高出力化への対応が可能となることから、空飛ぶクルマやサービスロボット、電動航空機への採用が進むとみられる。将来的には高エネルギー密度・高出力密度と、現行のリチウムイオン二次電池と同程度のサイクル寿命を両立し、xEVやESS(電力貯蔵システム)への採用が進むことにより、大幅な市場拡大が期待される。
◆注目市場
●金属Li負極採用二次電池
2040年予測 |
2,598億円 |
金属Li負極を採用する電池を対象としており、リチウム空気二次電池やリチウム硫黄二次電池も金属Li負極を採用しており電池技術としての区分が重複する部分があるが、市場規模はそれぞれ区分して表記しており、重複はしていない。
革新型電池の中でも実用化が近い電池であり、すでに400Wh/kgを超えるセルを開発するメーカーも存在し、HAPSやドローン向けでサンプル供給・実証の動きがある。高エネルギー密度化を進めることにより、2030年以降に空飛ぶクルマや小型電動航空機で実用化が進むとみられる。
電池性能の向上によって2035年以降はxEVで採用が進むことから、市場は大きく伸び、2040年の市場は2,598億円が予測される。
●リチウム硫黄二次電池
2040年予測 |
517億円 |
リチウム空気二次電池に次ぐ重量エネルギー密度と低コストが魅力の電池である。セルとしては400Wh/㎏以上の性能を達成し、現在出力特性・サイクル特性も改善が進みつつある。軽量電池が求められるドローンや電力貯蔵用途での採用が予想される。
国内では、NEDOプロジェクトの電動航空機で2035年ごろに実用化が予想され、その後は空飛ぶクルマやハイブリッド式電動航空機への採用も期待される。
◆調査対象
革新型電池 |
・リチウム空気二次電池 |
・リチウム硫黄二次電池 |
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・金属Li負極採用二次電池 |
・フッ化物二次電池 |
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アプリケーション |
・HAPS |
・空飛ぶクルマ |
・サービスロボット |
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・ドローン |
・電動航空機 |
・xEV・その他 |
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