PRESSRELEASE プレスリリース
■特殊粘接着・封止材
自動車向け 118億1,900万ドル(2.0倍)
~電装化や世界的なEVの需要増加により拡大~
エレクトロニクス向け 19億5,100万ドル(30.3%増)
エレクトロニクス製品の高機能化に伴い、需要増加~
●EVバッテリー固定封止材 56億4,860万ドル(4.6倍)
~EVバッテリーの放熱対策として、EV需要増加に伴い伸張~
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は電装化やEV需要の増加により好調な自動車向けと、エレクトロニクス製品に要求される特性に合わせた特殊粘着剤・封止材の採用が増加しているエレクトロニクス向けで使用される特殊粘接着・封止材の世界市場を調査した。その結果を「2023年 特殊粘接着・封止材の市場展望」にまとめた。
この調査では、特殊粘接着・封止材について、自動車向け19品目、エレクトロニクス向け11品目の世界市場を分析し、将来を展望した。
◆調査結果の概要
●自動車・エレクトロニクス向け特殊粘接着・封止材の世界市場
|
2022年見込 |
2021年比 |
2028年予測 |
2021年比 |
自動車 |
66億2,870万ドル |
112.2% |
118億1,900万ドル |
2.0倍 |
エレクトロニクス |
15億3,870万ドル |
102.8% |
19億5,100万ドル |
130.3% |
合 計 |
81億6,740万ドル |
110.3% |
137億7,000万ドル |
185.9% |
特殊粘接着・封止材は粘接着・封止材の中でも高機能品に位置づけられる。市場の構成比は自動車向けが81.2%、エレクトロニクス向けが18.8%となっており(2022年見込)、様々なニーズに対応し、開発が進められている。2022年の市場は前年比10.3%増の81億6,740万ドルが見込まれる。特に、自動車向けは今後も大きく伸びるとみられ、2028年の市場は2021年比85.9%増の137億7,000万ドルが予測される。
自動車向けは、電装化や欧州、中国を中心としたEV需要の増加に伴い、自動車部品に求められる要求特性も変化していることから、それに対応する特殊粘着剤・封止材の採用が増加している。市場の構成比では、EVバッテリー固定封止材や超強力両面粘着テープ、内装用接着剤などが大きい。EVではバッテリーの放熱対策が強く求められ、EVバッテリー固定封止材や放熱接着剤の需要が伸びている。放熱対策は、EVバッテリー以外でもセンサーなどさまざまな電子部品で求められ、放熱関連の需要が増加している。今後は、軽量化や自動運転化、環境対応など自動車の進展に伴い市場は前年比10%前後の伸びが続くとみられる。
エレクトロニクス向けは、半導体や電子部品、応用製品で特殊粘接着・封止材が採用されている。エレクトロニクス製品に要求される電磁波対策や光学特性などの特性に合わせた特殊粘着剤・封止材の採用が増加していることから堅調な伸びが予想される。パワーデバイス用封止材や異方導電性フィルム(ACF)やFPC用電磁波シールドフィルムの構成比が大きく、今後はTFE用シール材料(プラスチックAMOLED用)やFPC用低誘電ボンディングシートの伸びが期待される。
◆注目市場
●EVバッテリー固定封止材
2022年見込 |
2021年比 |
2028年予測 |
2021年比 |
17億2,200万ドル |
139.6% |
56億4,860万ドル |
4.6倍 |
HV、PHV、EVに搭載されているLiBの封止・シールに用いられる放熱ギャップフィラーや液状ガスケットを対象とする。
世界的なEV需要増加に伴い、市場は拡大している。EVバッテリーは、内部で発生した不要な熱を効率よく放熱するために部材間に挿入される熱伝導性材料であるTIM(Thermal Interface Material)によって放熱対策を行う必要がある。TIMとして放熱ギャップフィラーや液状ガスケットが使用されており、EVバッテリーは塗布面積が大きいことから需要が増加している。放熱ギャップフィラーは液状であるため、密着性があり接触熱抵抗が低く、熱伝導性も高いことから採用が広がっている。また、液状ガスケットはEVバッテリーのシール性を高めるためほぼ全てのEVバッテリーで使用されることから、今後も市場は拡大し、2028年には2021年比4.6倍の56億4,860万ドルが予測される。
●ECU基板一括封止材
2022年見込 |
2021年比 |
2028年予測 |
2021年比 |
9,190万ドル |
117.4% |
2億1,880万ドル |
2.8倍 |
EV需要増加に伴い、市場は拡大している。ECU基板一括封止材は、ECU基板をエポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性材料をベースにした封止材である。ECU基板を一括成形し、ケースレス構造にするものであり、シール性に優れ、クリープ耐性も向上することから欧州や中国、日本を中心に需要が増加している。2023年以降もEVを中心に採用が広がり、市場は前年比二桁増での伸長が続くと予想される。
●FPC用低誘電ボンディングシート
2022年見込 |
2021年比 |
2028年予測 |
2021年比 |
1,350万ドル |
117.4% |
3,140万ドル |
2.7倍 |
3層以上の多層低誘電FPC(フレキシブルプリント配線板)で使用するシート状接着剤(フィルム状接着剤も含む)を対象とする。スマートフォンを中心とした5G対応モバイル端末のアンテナ伝送線向けが主な用途となっている。
2022年の市場は前年比17.4%増の1,350万ドルが見込まれる。5Gスマートフォンの中でも高い通信品質が必要な機種やミリ波対応機種において高価格帯製品では、多層低誘電FPCで使用されるボンディングシートの低誘電化が進んでいる。5G対応モバイル端末製品の普及に伴い市場拡大が期待され、2028年は2021年比2.7倍の3,140万ドルが予測される。
◆調査対象
特殊粘接着・封止材 |
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自動車向け |
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・車体構造用接着剤 |
・タイヤ用接着剤 |
・センサー用接着剤 |
・CFRP用接着剤 |
・仮止め用接着剤 |
・EV電子部品用放熱接着剤 |
・超強力両面接着テープ |
・はめ合い用接着剤 |
・自動車電子部品用放熱両面テープ |
・内装用接着剤 |
・液状ガスケット |
・車載ディスプレイ用OCA |
・TOM成形フィルム |
・電子基板用注型材 |
・車載ディスプレイ用OCR |
・EVバッテリー固定封止材 |
・ECU基板一括封止材 |
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・ダイレクトグレージング材 |
・自動車用制振シート |
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エレクトロニクス向け |
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・狭額縁用接着剤 |
・小型カメラモジュール用接着剤 |
・フィルム封止材 |
・狭額縁用両面テープ |
・二次実装用アンダーフィル |
・TSV用仮固定接着剤 |
・FPC用低誘電ボンディングシート |
・パワーデバイス用封止材 |
・TFE用シール材料 |
・FPC用電磁波シールドフィルム |
・異方導電性フィルム(ACF) |
(プラスチックAMOLED用) |
企業別製品事例(59社) |