PRESSRELEASE プレスリリース

第23134号

医療ビッグデータの二次利用関連サービス国内市場を調査
― 2025年国内市場予測(2022年比) ―
■医療データの二次利用関連サービス 249億円(169.4%)
医療現場から得られる医療ビッグデータの二次利用サービスが拡大をけん引
医療機関や自治体、他企業と連携し取り扱うデータの量や種類が増え、
製薬企業や生損保会社などで利用が高まる

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、電子カルテデータやゲノムデータ、PHR(パーソナルヘルスレコード)などの利活用に注目が集まっていることから拡大している医療データの二次利用関連サービス市場を調査した。その結果を「医療・ゲノム・PHRデータの二次利用関連市場の現状と将来展望」にまとめた。

医療データの二次利用は、治療行為や検診、薬の処方で得たデータを管理、集積し、個人が特定されない形で第三者が利用できる仕組みである。研究機関や製薬企業、食品企業、保険会社などがユーザーとなり、様々な分析、基礎研究、製品開発、治験などに活用されている。この調査では、二次利用サービス市場3品目に加え、データを集積・管理するデータホルダーとして注目が集まるプラットフォームサービス市場2品目の現状を調査し、将来を展望した。

◆調査結果の概要

■医療データの二次利用関連サービス国内市場

 

2023年見込

2022年比

2025年予測

2022年比

二次利用サービス

169億円

120.7%

237億円

169.3%

プラットフォームサービス

9億円

112.5%

12億円

150.0%

合 計

178億円

121.1%

249億円

169.4%

医療データの二次利用関連サービスの2023年の市場は178億円が見込まれ、2025年は2022年比69.4%増が予測される。

2023年は、電子カルテデータやレセプトデータ、DPC(Diagnosis Procedure Combination)データなど医療現場から得られる医療ビッグデータを扱うリアルワールドデータ二次利用サービスが市場拡大をけん引している。製薬企業による処方分析や生命保険、保険会社によるマーケティングや商品設計での利用が中心である。

2024年以降も市場は堅調な拡大が予想される。リアルワールドデータ二次利用サービスは、サービス提供事業者が企業間連携や子会社化などで保有データ量や種類を拡充しており、より高度な分析が可能となることから、今後も伸長が予想される。また、ゲノムデータ二次利用サービスは、パーソナライズ化が進む健康食品や化粧品の開発においてゲノムデータの活用が増加し、伸びるとみられる。マイナポータル連携は、現状サービス事業者がデータ利用の申請をしている段階であり、2025年頃から市場が立ち上がるとみられる。

プラットフォームサービスは、2023年は、医用画像プラットフォームサービスが伸びている。医用画像は、クラウド上での一元管理とデータ共有化によって二次利用の潜在需要が高いため、需要が増えている。医療情報プラットフォームサービスは、WEB上で医療情報のデータ連携を行う規格であるHL7 FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)の普及や、データに基づく意思決定に向けた医療情報の二次利用進展を背景に、大型病院を中心とした導入が進んでいる。

今後は、医療情報プラットフォームサービスの伸びに加え、AI画像診断の開発によって医用画像プラットフォームサービスが伸長すると予想され、市場は拡大するとみられる。

◆注目市場

●リアルワールドデータ二次利用サービス

2023年見込

2022年比

2025年予測

2022年比

162億円

121.8%

227億円

170.7%

民間企業向けに、レセプトデータやDPCデータ、電子カルテデータ、ゲノムデータを始めとする医療ビッグデータから個人情報を除いた医療統計データの提供や分析を行うサービスを対象とする。

製薬企業や保険会社での導入が中心であり、定額で利用可能なBIツール(データ集約・分析・可視化ツール)のほか、より高単価な個別分析の需要が高まっており、2023年の市場は162億円が見込まれる。

複数データの組み合わせでより高度な分析が可能であり、サービス提供事業者は自社保有データに加えて医療機関や自治体、他企業と連携し取り扱うデータの量や種類を増やしているため、今後も需要は高まると予想される。また、HL7 FHIRの普及によってカルテデータの活用が進むことも市場拡大に貢献すると予想される。

なお、次世代医療基盤法の見直しで、薬事承認での仮名加工医療情報※の利用が予想され需要は高まるものの、ユーザー企業の認定取得など課題が多いため、市場拡大が本格化するのは2025年以降になるとみられる。

※他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように加工された個人情報

●医療情報プラットフォームサービス

2023年見込

2022年比

2025年予測

2022年比

2億円

100.0%

4億円

2.0倍

医療機関の電子カルテや部門システム、臨床検査システム、検査機器などと連携し、各データの保存や一元管理を行うほか、HL7 FHIRなどデータの統一規格への変換や二次利用を支援するプラットフォームサービスを対象とする。市場は導入費と年間の利用料で算出した。

当初は、地域連携推進のため複数の病院内での医療データや文章の共有、一元管理を目的に開発・導入が進んでいた。近年は、このサービスを利用してカルテデータなどをHL7 FHIRへ変換・保存し、院内で利用を検討する大規模病院が増えている。ITベンダーによる新製品の発売もみられ導入は増加している。

数百万円~数千万円の導入費用がかかるため、予算の確保に加え、システムリプレイスのタイミングに合わせた導入が中心であり実導入には時間がかかるケースも多い。一方で、データに基づいた意思決定に向けた需要は高く、HL7 FHIRの普及も追い風となることで、今後も市場は拡大が続くと予想される。

◆調査対象

医療データの二次利用関連サービス

二次利用サービス

・リアルワールドデータ二次利用サービス

・マイナポータル連携PHRデータ

・ゲノムデータ二次利用サービス

二次利用サービス

プラットフォームサービス

・医療情報プラットフォームサービス

・医用画像プラットフォームサービス


2023/12/14
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。