PRESSRELEASE プレスリリース
Welfare関連の国内市場を調査
■Welfare関連の国内市場 8,874億円( 17.3%増)
高齢化社会が進み、各市場が安定的に成長
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、高齢者人口増加に伴い製品・サービスのニーズが多様化し、2024年の介護報酬改定以降は科学的介護情報システムを活用した展開などが注目されるWelfare関連の国内市場を調査した。その結果を「Welfare関連市場の現状と将来展望 2024」にまとめた。
この調査では、介護保険対象製品や介護福祉向けのパーソナルケア製品、機器・装置、DX関連、サービスといった領域に区分し、高齢者や要介護者の生活を支える主要な製品・サービスの市場を分析した。また、高齢者施設の動向や介護流通業界の実態・方向性についても整理している。
◆調査結果の概要
■Welfare関連の国内市場
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2023年見込 |
2022年比 |
2026年予測 |
2022年比 |
介護保険対象製品 |
1,239億円 |
104.8% |
1,316億円 |
111.3% |
介護福祉向けパーソナルケア製品 |
2,755億円 |
103.8% |
3,000億円 |
113.0% |
介護福祉向け機器・装置 |
903億円 |
103.0% |
961億円 |
109.6% |
介護福祉向けDX |
911億円 |
105.8% |
1,059億円 |
123.0% |
介護福祉向けサービス |
2,130億円 |
107.1% |
2,539億円 |
127.7% |
合 計 |
7,937億円 |
104.9% |
8,874億円 |
117.3% |
※市場データは四捨五入している
Welfare関連市場は、新型コロナウイルス感染症の流行による介護現場の混乱から落ち着きつつあり、流行前には及ばないものの、回復に向かっている。この先も高齢者人口増加に伴い要支援・要介護者も増え、徐々に在宅介護者が多くなるとみられることから、2026年の市場は2022年比17.3%増の8,874億円が予測される。
介護保険対象製品市場は、後期高齢者数の伸びの鈍化や介護報酬の締め付けなどが予想されるものの、要支援・要介護者の増加により、今後も堅調に推移するとみられる。また、介護福祉向けパーソナルケア製品市場も新型コロナ流行を契機とした在宅介護者の増加などにより堅調な成長を続けている。介護福祉向け機器・装置市場は、黎明期であり、規模が最も小さい。製品への認知や理解が進んでいないことが一因であるが、参入メーカーは認知度向上に向けたプロモーションに注力しているほか、施設からの需要だけでなく、在宅介護者の増加に伴う個人向け販路の開拓に乗り出しており、今後の拡大が期待される。介護福祉向けDX市場も黎明期であるが、介護現場の負担軽減要求の高まりなどにより、市場成長が続くとみられる。特にリハビリ・機能訓練支援システムは、現状の市場規模は大きくないものの、機能訓練加算を取得したいデイサービス事業者にとっては経営上メリットになるツールとして注目されている。そのほかにも施設用見守りシステムは介護・看護人材の不足による省人化対策として注目されており、参入メーカーの増加によって伸長が期待される。介護福祉向けサービス市場は、DX市場と同様に介護負担軽減要求の高まりなどから成長市場となっており、特に訪問見守りサービスなどは、独り暮らしの高齢者や在宅介護者の増加に伴う見守りと身体・認知機能低下予防ニーズの顕在化によって伸長していくと予想される。
◆注目市場
●介護負担軽減向け製品・サービス
国内の5人に1人が後期高齢者となる2025年を控えて、家族や介護職員、介護事業所の肉体・精神・時間的介護負担を軽減する製品やサービスが注目される。ここでは介護負担軽減向け主要21品目の内、成長が期待される3品目を取り上げる。
1.リハビリ・機能訓練支援システム
2023年見込 |
2022年比 |
2026年予測 |
2022年比 |
8.0億円 |
119.4% |
19.0億円 |
2.8倍 |
リハビリ・機能訓練支援システムは、事業者、利用者の課題を解決するシステムとして市場が立ち上がり拡大を続けてきた。デイサービス事業者をコアターゲット層としており、2023年の市場は前年比19.4%増の8.0億円が見込まれる。
事業者によってはネット環境が整備されていないことや、システム自体の認知度の低さといった課題はあるものの、2024年の介護保険改定により、科学的介護情報システム(LIFE)を活用した科学的な根拠に基づいた介護の重要度が高まるとみられる。LIFEは自立支援や重度化防止等を目的とした、より質の高い介護を提供し、職員の働き方改革を目指したシステムである。各事業所でも対応が迫られることから市場は拡大が予想され、2026年は2022年比2.8倍の19.0億円が予測される。
2.訪問見守りサービス
2023年見込 |
2022年比 |
2026年予測 |
2022年比 |
4.8億円 |
126.3% |
7.6億円 |
2.0倍 |
訪問見守りサービスは、社会的課題の一つである高齢者人口の増加に伴い市場が立ち上がり拡大してきた。日本郵便が2017年に開始した「みまもり訪問サービス」を皮切りに、2021年にヤマト運輸がIoT電球を活用した見守りサービスを、2022年にはワタミが「ワタミの宅食 みまもりサービス」を開始した。独り暮らしの高齢者の増加により市場は拡大しており、2023年は前年比26.3%増の4.8億円が見込まれる。
このサービスは介護保険対象外サービスであり、介護保険認定者でなくとも受けられる介護サービスとして注目されている。今後も参入企業の増加により、市場は活性化していくとみられ、2026年は2022年比2.0倍の7.6億円が予測される。
3.施設用見守りシステム
2023年見込 |
2022年比 |
2026年予測 |
2022年比 |
159.3億円 |
110.6% |
220.0億円 |
152.8% |
施設用見守りシステムは、入居者の徘徊や転倒の防止、健康状態把握を目的に用いられ、医療/介護現場の業務の効率化や人材不足を補い、入居型の高齢者施設、あるいは病院で導入されている。システム導入には通信環境の整備が必須であるが、新型コロナの流行で非接触の環境が求められたことにより、施設内Wi-Fiの環境整備にも補助金が出るようになったため、導入の後押しとなり市場が拡大した。2023年の市場は前年比10.6%増の159.3億円が見込まれる。
市場は補助金や助成金の支給条件に左右されるものの、今後も様々な補助金などが交付される可能性が高く、堅調に推移していくと予想される。2026年の市場は2022年比52.8%増の220.0億円が予測される。
◆調査対象
介護保険対象製品 |
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・医療・介護用電動ベッド |
・歩行車・歩行器/シルバーカー |
・ポータブルトイレ |
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・手動車いす |
・体位変換器 |
・移動用リフト |
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・電動車いす |
・歩行補助杖 |
・排泄予測支援機器 |
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・床ずれ防止マット |
・自動排泄処理装置 |
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・手すり |
・入浴補助用具 |
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介護福祉向けパーソナルケア製品 |
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・大人用紙おむつ |
・清拭剤 |
・尿失禁パンツ |
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・高齢者向けシューズ |
・介護用手袋 |
・介護用防水シーツ |
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・介護用ウェットティッシュ |
・介護用消臭剤 |
・介護用食事エプロン |
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・介護用口腔ウェットティッシュ |
・介護用おむつ消臭袋 |
・洗浄ボトル |
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・介護用口腔スポンジブラシ |
・介護職員向けユニフォーム |
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・口腔保湿剤 |
・高齢者用衣服 |
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介護福祉向け機器・装置 |
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・特殊入浴装置 |
・補聴器(デジタル・スマート含む) |
・被介護者向けロボット |
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・運動療法リハビリテーション機器 |
・ネブライザー・吸引器 |
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・服薬支援機器・システム |
・介護者向けロボット |
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介護福祉向けDX |
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・介護保険請求システム |
・施設用見守りシステム |
・リハビリ・機能訓練支援システム |
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・業務効率化支援システム |
・在宅用見守りシステム |
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介護福祉向けサービス |
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・生活支援サービス |
・デイサービス※ |
・サービス付き高齢者向け住宅※ |
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・食事宅配サービス |
・訪問看護※ |
・居宅介護支援サービス※ |
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・訪問見守りサービス |
・訪問介護※ |
・認知症早期発見サービス |
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・高齢者用フィットネスサービス |
・有料老人ホーム※ |
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※介護福祉向けサービス6品目は市場規模を算出していない |
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介護福祉向け流通業界 |
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・介護レンタル卸 |
・介護販売卸 |
・貸与・販売事業者(介護ショップ) |
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