PRESSRELEASE プレスリリース

第25025号

スマートファクトリーの“眼”として導入加速
画像処理システムの世界市場を調査
― 2028年世界市場予測(2024年比) ―
●AI・ディープラーニング応用製品 594億円(88.6%増)
AI関連の設備投資活発、ディープラーニング活用型画像処理ソフトウェアがけん引

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、スマートファクトリーの“眼"として世界中で導入が加速する一方で、中国メーカーの躍進やM&A・事業提携の活発化により、業界再編が進む画像処理システムの世界市場を調査した。その結果を「2025年版 画像処理システム市場の現状と将来展望」にまとめた。

この調査では、画像処理システムとして、検査アプリケーション10品目、単体機器13品目、観察・測定関連機器3品目、DX、ECO関連機器・ソフトウェア3品目、AI・ディープラーニング応用製品3品目の市場を明らかにしたほか、さらなる拡大が予想される中国市場およびグローバル展開が進む中国メーカーの実態を明確化した。

◆注目市場

●AI・ディープラーニング応用製品

AI・ディープラーニング応用製品

AIやディープラーニングを活用した画像処理への注目度の高さもあり、2023年、2024年と市場は前年比30%超の高い伸びとなった。ディープラーニング活用型画像処理ソフトウェアが好調であり、2028年には2024年比88.6%増の594億円が予測される。

市場をけん引するディープラーニング活用型画像処理ソフトウェアは、自動車関連の需要が大きく、ダイカストなどの金属部品に対するAI検査ニーズが高い。今後は、実証実験から本格導入へのシフト、同一ユーザーの多拠点導入などが進むことで、高い伸びが予想される。しかし、AIスタートアップを含む多くの企業が参入する中、競争激化により市場淘汰が進む可能性があるため、性能面やコストなどにおいて、これまで以上に差別化が求められるとみられる。

産業用AI機能搭載カメラは、製造業全般の設備投資の減少により2023年は低調だった。しかし、近年、AIソリューションの構成デバイスとして注目されており、この製品を組み込んだ画像処理ソリューションの提案が活発化していることから、設備投資の回復により、今後の市場拡大が予想される。

外観検査向け生成AI活用画像生成サービスは、2023年に日本のAIスタートアップ企業がサービス提供を開始したことで、市場が立ち上がった。日本での需要が中心であるが、徐々に海外への展開が進むとみられる。また、AI外観検査ソフトウェアを展開するAIベンダーなどとの連携による需要増加が期待される。

●DX、ECO関連機器・ソフトウェア

DX、ECO関連機器・ソフトウェア

製造業のDXを進める3Dデジタイザーとデジタルツイン対応3Dビューワー、ECO対応を実現するリサイクル用選別機を対象とした。
欧米を中心に一定の市場規模を有する3Dデジタイザー、リサイクル用選別機が市場をけん引しているほか、IoT機器の技術進展や認知度の向上を背景としたデジタルツイン対応3Dビューワーの急拡大などにより、今後も毎年10%近くの伸びが続き、2028年の市場は、2024年比45.5%増の2,000億円が予測される。

3Dデジタイザー(3Dスキャナー)は、自動車関連での底堅い3D測定需要やハイエンド製品の導入増加により、市場拡大が続いている。品質管理の厳格化に伴う採用増加が想定されるほか、既存ユーザーが単純な測定にとどまらず、新製品の設計・開発へのスキャンデータ活用に着手しつつあることから更新需要も想定され、堅調な拡大が予想される。

デジタルツイン対応3Dビューワーは、現実世界の物体や環境から得られたデータを利用して、物理的なシステムやプロセスをデジタル上に再現する製品である。工場や建物などの保守点検が主な用途あり、都市や災害などの情報を可視化・分析する技術として、防災やまちづくり、モビリティ、環境などさまざまな分野で導入されることで、2028年まで市場は毎年30%を超える伸びが続くとみられる。

リサイクル用選別機は、異物を高度な画像処理技術などを用いて自動で選別し、条件に合致した材料ごとに分別する装置である。プラスチック、鉱物の選別・リサイクル需要を受けて導入が進んでおり、欧州や米州が市場の中心である。また、日本では2025年に資源有効利用促進法が改正される予定であるため、選別需要の増加により、市場拡大が期待される。

◆調査結果の概要

■画像処理システムの世界市場

画像処理システムの世界市場

2024年は、景気刺激策による中国市場の回復、東南アジアやインドなど新興国市場の伸長、在庫適正化の進展、半導体などのアプリケーション需要の好況により、在庫過剰で前年に低調だった単体機器を含め、各カテゴリーの市場は拡大した。検査アプリケーションが拡大をけん引し、AI・ディープラーニング応用製品は大きく伸びた。また、EV関連の需要は低調であったが、半導体関連、車載電装関連、物流関連などが好調だった。
今後も業界全般での検査自動化ニーズの高まり、新興国市場のさらなる伸長、HBM(High Bandwidth Memory)などの高性能半導体の需要増加などから、画像処理システム市場は拡大が続くとみられる。

なお、市場拡大が進む中、メーカー間の競争はこれまで以上に激化しており、M&Aや事業提携の動きが活発化している。中国ではバイ・チャイナ政策も相まって、価格競争力に優れた中国メーカーの台頭が目立つ一方、欧米や日本のメーカーが苦戦している。2025年は「中国製造2025」の最終年であり、中国メーカーの中国国内での勢いはさらに増していくとみられる。また、中国メーカーは国内だけでなくグローバル展開も強化しており、今後は新興国市場においても、中国メーカーを含めた競争がますます激しくなると予想される。

■カテゴリー別市場

検査アプリケーションは、今後も大幅な市場拡大が予想される。デバイス関連ではウエハー外観検査装置など半導体検査装置が伸びており、基板実装関連ではデータセンターや情報通信関連での需要増加により好調である。
また、自動車関連ではリチウムイオン電池外観検査装置が車載用電池における生産拠点のグローバル化に伴い、米州、欧州においても需要増加が予想される。
製紙・印刷関連では2024年はわずかに縮小したものの、Web外観検査装置がセパレーターなどフィルム検査に使用されており、次世代電池である全固体電池への投資増加や半導体封止フィルムの伸びなどによる市場拡大が期待される。

単体機器は、2023年に在庫調整や中国市況の悪化、設備投資の減少によって縮小したものの、2024年には在庫調整が落ち着き、市場が拡大した。その中でも処理装置は2022年以降3Dタイプを中心としたロボットビジョン(2D/3D)が好調であり、カメラは産業用CISが製品認知度の向上や新規参入メーカーの増加により伸びが続いている。

観察・測定関連機器は、日本や欧米での安定した設備投資により好調だったことから、2023年、2024年と堅調な市場拡大が続いた。今後は工業用X線検査装置が半導体関連やEV向けの自動車関連、電池関連での3D測定需要の増加により拡大するとみられる。

DX、ECO関連機器・ソフトウェアは、DX関連や選別・リサイクル関連の底堅い設備投資需要を背景に、2023年、2024年と市場拡大が続いており、欧州や米州を中心に、中国や日本を含め世界的に導入が進むとみられる。

AI・ディープラーニング応用製品は、注目度の高さから継続して設備投資が進められ、2023年、2024年共に市場は拡大した。今後の伸びは緩やかになるものの、市場は拡大が続くとみられる。

◆調査対象

検査アプリケーション
デバイス関連
・ウエハー外観検査装置
・測長SEM
・FPD検査装置

基板実装関連
・クリームはんだ印刷外観検査装置
・インライン実装検査装置(リフロー前後)
・AXI

自動車関連
・自動車部品外観検査装置
・リチウムイオン電池外観検査装置

製紙・印刷関連
・Web外観検査装置
・印刷面外観検査装置

単体機器
処理装置
・画像処理装置(筐体型)
・画像処理装置(ボード型・ライブラリライセンス)
・画像センサー
・ロボットビジョン(2D/3D)

カメラ
・FA用エリアスキャンカメラ
・FA用ラインスキャンカメラ
・産業用CIS
・3Dラインプロファイルカメラ
・ハイパー/マルチスペクトルカメラ
・産業用ToFカメラ

キーコンポーネンツ
・画像処理用LED照明
・画像処理用レンズ
・産業用イメージセンサー

観察・測定関連機器
・工業用X線検査装置
・レーザー測長システム
・表面測定用レーザー干渉計

DX、ECO関連機器・ソフトウェア
・3Dデジタイザー
・デジタルツイン対応3Dビューワー
・リサイクル用選別機

AI・ディープラーニング応用製品
・ディープラーニング活用型画像処理ソフトウェア
・産業用AI機能搭載カメラ
・外観検査向け生成AI活用画像生成サービス


2025/3/7
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