PRESSRELEASE プレスリリース
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国内の医療用医薬品総市場を分析
★国内の医療用医薬品総市場 10兆855億円(10.2%増)
がん領域における新規作用機序薬剤の相次ぐ発売、
中枢神経領域などにおける新薬発売がプラス要因
■感染症領域 7,718億円(30.1%減)
新型コロナ流行収束に伴い2024年に8,262億円の見込。
2025年以降、ワクチンと抗ウイルス治療剤の新薬発売が続きほぼ横ばい
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、新型コロナウイルス感染症の流行により急激な伸長を遂げたワクチンを含む感染症領域、リプロダクティブ・ライツへの関心の高まりや不妊治療保険適用の制度変革があった産婦人科領域、高齢化社会で加齢黄斑変性などの患者が増えている眼科・耳鼻科領域など、4分野21品目の医療用医薬品市場を調査した。また、2023年12月から今回の調査を含め4回に分け行った調査結果を総括し、医療用医薬品総市場を分析した。その結果を「医療用医薬品データブック 2024 No.4」にまとめた。
この調査では、感染症領域や産婦人科領域に加え、眼科・耳鼻科領域や体内診断薬・麻酔剤について最新の市場動向をまとめ、将来を展望した。また、医療用医薬品総市場分析では、販売高上位薬剤や開発品充実疾患のランキング、ジェネリック医薬品、再生医療等製品、治療アプリ製品などの動向も明らかにした。
◆注目市場
★国内の医療用医薬品総市場

市場は2014年から2023年まで拡大と縮小を繰り返している。市場に対する主なマイナス要因としては、ジェネリック医薬品の台頭、生活習慣病領域における新薬の発売減少などがあげられる。一方、主なプラス要因としては、がん領域における分子標的治療剤や皮膚科領域におけるJAK阻害剤と生物学的製剤の浸透、感染症領域における新型コロナ治療剤/ワクチンの急伸長などがあげられる。特に、2021年、2022年は、新型コロナの流行によって拡大した。2023年以降は収束に向かうとともに縮小しており、2024年の市場は8兆9,715億円の見込である。
2025年以降は、生活習慣病領域や整形外科領域におけるジェネリック医薬品やバイオシミラーの台頭は市場のマイナス要因となるが、がん領域における新規作用機序薬剤の相次ぐ発売、中枢神経領域の抗てんかん剤における開発品や睡眠障害治療剤におけるオレキシン受容体拮抗剤の発売、認知症・MCI治療剤におけるアミロイドβ抗体の伸長はプラス要因となる。市場は2032年には10兆円を突破し、2033年には10兆855億円が予測される。
◆調査結果の概要
■感染症領域

感染症領域の市場は、薬剤耐性菌対策のために適正使用が推奨されたことで抗生物質製剤の処方量が減少し、縮小していたが、新型コロナ治療剤/ワクチンの市場が立ち上がったことで2021年、2022年と急拡大した。2023年以降は、新型コロナの流行が落ち着きはじめたこともあり縮小している。しかし、キャッチアップ接種の実施による子宮頸がんワクチンや後天性免疫不全症候群の患者数増加によるHIV治療剤の伸びもあり、市場は新型コロナ流行前を上回る規模を維持しており、2024年は8,262億円の見込である。
今後市場は、新薬の発売が続くとみられるワクチンと抗ウイルス治療剤の伸びが他の品目の縮小を補う形で、若干の拡大・縮小はあるものの、ほぼ横ばいが予想される。なお、感染症の流行度合いによっては市場が大きく変動する可能性もある。
●抗生物質製剤
市場は適正使用が推奨されたことで近年縮小推移してきた。また、2020年には新型コロナの感染対策が徹底されたことで、感染症患者数が減少し、市場縮小に拍車をかけた。しかし、2022年は新型コロナの流行が落ち着き、新型コロナ以外の感染症患者数が増加したことで拡大に転じ、2024年には複数薬剤の薬価が引き上げられたことや、マイコプラズマ肺炎の流行もあり、前年比9.5%増の見込である。疾患啓発などにより処方患者の掘り起こしが行われたことによる「アリケイス」(インスメッド)の伸びも市場拡大に寄与している。
厚生労働省が今後も抗生物質製剤の処方量を減らす方針にあることから、2025年以降の市場は縮小推移が予想されるが、現在複数の開発品があるため、これらの発売時には市場の縮小は緩やかになるとみられる。
■産婦人科領域

産婦人科領域の市場は、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤や月経障害治療剤、不妊治療剤の規模が大きく、特に、2010年に月経困難症が保険適用となって以降、月経障害治療剤が大きく伸長しており、2024年の市場は1,017億円の見込である。主要薬剤にジェネリック医薬品が発売されているケースが多いため、2028年に市場は減少へと転じるが、新薬の発売によって2030年頃より拡大推移が予想される。
●経口中絶薬
2023年5月に国内初の経口中絶薬「メフィーゴパック」(ラインファーマ)が発売された。薬価は未収載である。海外での人工妊娠中絶に占める経口中絶薬処方の割合は北欧では90%を超える一方、ドイツやイタリアでは20%台と、欧州の中でも差がある。国内では今後の規制緩和時期などにもよるが、2033年頃には同10%程度が予想される。現状では入院可能な医療施設での処方が条件となっており、市場拡大には無床施設での使用解禁がカギになるとみられる。
■眼科・耳鼻科領域

眼科・耳鼻科領域の市場は、新薬の開発が活発であるが、バイオシミラーの開発も活発であり、今後も概ね横ばいが予想される。
●網膜疾患治療剤
上位ブランドである「アイリーア」(参天製薬)や「ルセンティス」(ノバルティス ファーマ)といった既存薬の伸長に加え、2020年と2022年に「ベオビュ」(ノバルティス ファーマ)や「バビースモ」(中外製薬)といった新薬の発売が相次いだことから市場は拡大傾向にあり、2024年は前年比12.6%増の見込みである。今後市場は2028年に向け拡大し、以降はバイオシミラーの影響を受けて縮小から横ばいが予想される。
現状、新薬の開発も活発で、適応拡大を含め開発品がフェーズⅢに複数ある。一方、ジェネリック医薬品は、バイオシミラーの「ラニビズマブBS「センジュ」」(千寿製薬)のみであるが、開発中の「アイリーア」のバイオシミラーが多数あることから、中長期的には複数になるとみられる。
◆調査対象
感染症領域・抗生物質製剤(外用剤は除く)
・抗真菌剤(外用剤、爪白癬処方分は除く)
・抗ウイルス治療剤(新型コロナウイルス、HIV、インフルエンザウイルス、RSウイルス)
・その他抗ウイルス治療剤・抗肝炎治療剤(外用剤は除く)
・ワクチン
・DIC治療剤
産婦人科領域
・子宮筋腫・子宮内膜症治療剤
・経口避妊薬
・月経障害治療剤
・不妊治療剤
・切迫早産治療剤
・陣痛促進剤
・更年期障害治療剤
・経口中絶薬
眼科・耳鼻科領域
・網膜疾患治療剤(抗VEGF抗体ほか)
・緑内障治療剤
・角結膜上皮障害治療剤・ドライアイ治療剤
・その他眼科疾患治療剤(抗アレルギー薬、白内障治療剤、近視抑制剤)
・耳鼻科用剤
体内診断薬・麻酔剤
・体内診断薬
・麻酔剤
