PRESSRELEASE プレスリリース
■心不全・動脈硬化関連の注目医薬品・検査薬・治療機器 1,359億円(32.7%増)
検査や投薬治療の増加、デジタル治療の浸透などにより大幅増も
2030年以降はジェネリック医薬品登場により縮小
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、7年ぶりの診療ガイドライン全面改訂により、早期発見や患者の自己管理の強化などを目指したデジタル治療機器の導入が期待されるほか、新たなバイオマーカーとして動脈硬化に関連したLP(a)への注目度が高まっている心不全・動脈硬化関連の注目医薬品・検査薬・治療機器市場を調査した。その結果を「2025年版 心不全・動脈硬化関連市場のフォーキャスト分析」にまとめた。
この調査では、心不全・動脈硬化関連の注目製品として、治療機器3品目、検査薬3品目、医療用医薬品(以下 医薬品)6品目を対象に、国内の最新の市場をまとめ、将来を展望した。
◆調査結果の概要
■心不全・動脈硬化関連の注目医薬品・検査薬・治療機器市場

心不全は一度発症すると完治しない進行性の疾患であり、2025年に実施された診療ガイドラインの全面改訂を受けて、これまでより適切かつ早期の治療介入が目指されるようになった。これにより、検査や投薬治療の増加が想定される。また、患者数増加によって在宅医療・遠隔モニタリング需要が高まり、デジタルヘルスツールの活用や適切な治療実施のための多職種連携が進むとみられる。
2025年の市場拡大をけん引しているのは医薬品である。2030年頃までは医薬品の伸びを軸に市場拡大が続くと予想される。長期的にはジェネリックへの切り替えなどにより医薬品が減少するため、市場全体でも縮小に転じるとみられる。一方で、治療機器は24時間以上の長時間測定ができるホルター心電計の需要増加、心不全治療用アプリや管理用アプリの展開により、また、検査薬は検査の早期実施に加え、2030年以降の治療薬発売に伴うLP(a)の検査数増加などから伸長が予想される。
医薬品は、SGLT2阻害剤の「フォシーガ」(小野薬品工業)、「ジャディアンス」(日本ベーリンガーインゲルハイム)、ARNIの「エンレスト」(ノバルティス ファーマ)、sGC刺激薬の「ベリキューボ」(バイエル薬品)、HCNチャネル遮断薬の「コララン」(小野薬品工業)とそのジェネリック医薬品に加え、2025年11月調査時点で、慢性心不全の適応追加を申請中※の「ケレンディア」(バイエル薬品)と新薬候補PhⅢの心不全と動脈硬化に関連する治療薬を対象とした。なお、心不全を適応として処方されるものに限る。
※ 「ケレンディア」(バイエル薬品)は2025年12月に追加承認取得
標準治療薬の早期処方が学会やガイドラインでも明確に推奨されていることから、SGLT2阻害剤やARNIが市場をけん引している。また、左室駆出率(LVEF)による心不全患者の分類に、症状の軽減がみられた患者の区分(HFimpEF)が新たに設定された。LVEFの改善が認められても心不全の再増悪リスクありとして、治療継続が推奨される形となったことから、継続的な投与が進み、今後も拡大が続くとみられる。しかし、標準治療薬であるSGLT2阻害剤やARNIは2030年前後に特許が切れ、ジェネリック医薬品の発売が予想されることから、2030年頃をピークに市場は縮小に転じるとみられる。
検査薬は、心筋マーカーのBNP、NT-proBNPに加え、動脈硬化マーカーであるLP(a)を対象とした。
早期発見のために、少しでも心不全が疑われる患者にBNP、NT-proBNPを実施することが日本心不全学会や、心不全診療ガイドラインを通じて推奨されるようになったことから、検査数は今後増加すると予想される。特に、NT-proBNPは小型検査装置の発売によりBNPよりも簡便に検査ができることから、今後健診や在宅での検査需要を獲得するとみられる。また、現在LP(a)が関与する医薬品の開発が複数進んでおり、それらが発売されることで、LP(a)の検査数増加が予想される。
治療機器は、ホルター心電計、人工心臓に加え、注目SaMD(Software as a Medical Device:医療機器プログラム)として遠隔心臓リハビリテーション、心不全治療用アプリ、心不全管理用アプリ、デジタルバイオマーカーを対象とした。なお、注目SaMDでは遠隔心臓リハビリテーションとデジタルバイオマーカーは2026年頃に、心不全治療用アプリと心不全管理用アプリは2030年までに保険適用されるとして推計した。
2025年は、ホルター心電計が市場をけん引している。不整脈患者を中心とした検査数の増加、在宅医療での需要増加などから、今後も伸びが続き、市場をけん引するとみられる。注目SaMDは、患者数増加によって在宅医療の機会が増えると想定され、遠隔モニタリングやリハビリテーション、管理用アプリの活用など、在宅での治療・自己管理が可能な製品の需要増加が予想される。また、デジタル治療に関してもガイドライン上で推奨されるようになったことから、市場浸透が早く進むと期待される。
◆調査対象
注目治療機器・ホルター心電計
・人工心臓
・注目SaMD
【遠隔心臓リハビリテーション・心不全治療用アプリ・心不全管理用アプリ・デジタルバイオマーカー】
注目検査薬
・BNP
・NT-proBNP
・LP(a)
注目医療用医薬品(心不全を適応として処方されるものに限る)
・SGLT2阻害剤
【フォシーガ(小野薬品工業)、ジャディアンス(日本ベーリンガーインゲルハイム)、それらのジェネリック医薬品】
・ARNI
【エンレスト(ノバルティス ファーマ)、そのジェネリック医薬品】
・sGC刺激薬
【ベリキューボ(バイエル薬品)】
・HCNチャネル遮断薬
【コララン(小野薬品工業)、そのジェネリック医薬品】
・非ステロイド型選択的MR拮抗薬
【ケレンディア(バイエル薬品)】
・2025年時点で新薬候補PhⅢの医薬品
