PRESSRELEASE プレスリリース
1.製造業向けロボット 2兆628億円(46.7%増)
当面は中国の設備投資動向に左右され、中・長期的には東南アジアやインドが市場をけん引
2.半導体・電子部品実装向けロボット 1兆2,396億円(56.4%増)
中国や東南アジア、台湾向けを中心に市場拡大
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、依然として中国需要が中心であるものの2025年は東南アジアやインドに緩やかな需要分散が見られた製造業向けロボット、AI関連市場の拡大を背景にAIサーバーや先端パッケージ向けでハイエンド機種の需要が伸びた半導体・電子部品実装向けロボットなど、FAロボットの世界市場を調査した。その結果を「2026年版 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 FAロボット編」にまとめた。
この調査では、FAロボットを製造業向けと半導体・電子部品実装向けに大別し、その市場を明らかにして将来を展望した。また、ロボット向け注目構成部材7品目の市場についてもその動向を捉えた。
◆調査結果の概要
■FAロボット(製造業向け/半導体・電子部品向けロボット)の世界市場

1.製造業向けロボット
2025年の世界市場は、主要需要地である中国市場がけん引し前年比5.4%増となった。中国市場は主力のコンシューマ機器/用品関連や自動車関連、電子デバイス関連向けが成長ドライバーとなり大幅に拡大した。また、東南アジアやインド、台湾、韓国の市場拡大も世界市場の底上げに寄与した。一方、日本や欧州、米州ではウエハー搬送ロボットの需要が増加したものの、米国の関税政策や戦争の継続、エネルギー価格の高騰、自動車モデルチェンジの長期化などによって、まとまった設備投資がみられなかった。
今後も人手不足や人件費高騰といった製造業が抱える慢性的な課題を解決する手段の1つとして、需要は右肩上がりが続くと予想される。2026年はコンシューマ機器/用品関連や自動車関連、電子デバイス関連向けをメインに市場は拡大するとみられる。アジアでは中国を中心に引き続き需要が好調なほか、日本や欧州、米州でも自動車関連を中心に設備投資の回復が期待される。当面世界市場は中国の設備投資動向に左右されるが、中・長期的には中国からの生産拠点シフトが着実に進む東南アジアや経済成長を続けるインドがけん引すると期待される。なお、メモリー価格の高騰や中国によるレアアース輸出規制の動向次第では部材調達に影響が出る可能性がある。
アジアにおける製造業向けロボット市場

中国がアジア市場の8割近くを占め、最大規模を誇る。2025年の中国市場は、スマートフォンやノートPC、タブレット端末、通信機器といったコンシューマ機器/用品関連、EVをはじめとする自動車や自動車部品・電装品、自動二輪車や自動三輪車といった自動車関連、プリント基板や半導体、EVやスマートフォンなどのバッテリーといった電子デバイス関連で旺盛な設備投資が見られ、前年比14.5%増となった。価格優位性や品質の向上などを背景とした中国メーカーの成長が続いている点も、市場を押し上げている。今後もコンシューマ機器/用品関連や自動車関連、電子デバイス関連向けを主軸に市場拡大が予想される。一方、2026年に入りEV買い替え補助金が縮小されたことから、自動車関連の設備投資への影響が懸念される。
NEXTチャイナ(インドを含む、中国、韓国、台湾以外のアジア)がアジア市場で存在感を増している。2025年のNEXTチャイナ市場は、中国からの生産シフトが着実に進んだことにより、東南アジアやインドを中心に需要が拡大した。東南アジアではベトナムはコンシューマ機器/用品関連やプリント基板向けが、タイでは自動車関連や食品・医薬関連向けが好調だった。インドはまだ規模が小さいものの着実に伸長しており、2025年は主力の自動二輪車を含む自動車関連での設備投資が活発であった。今後も中国からの生産シフトは徐々に進むとみられ、東南アジアはコンシューマ機器/用品関連や自動車関連向け、また、インドは自動車関連向けを中心に需要増加が期待される。
2.半導体・電子部品実装向けロボット
近年の市場は電子デバイス関連や車載関連での需要低迷や、主要需要地である中国の経済低迷によって、低調な推移が続いていたが、2025年は前年比18.2%増となった。AI関連市場の拡大によって東南アジアや台湾でAIサーバー関連や先端パッケージ関連の設備投資が増加し、高速モジュラーマウンターやフリップチップボンダーなどのハイエンドモデルが伸長したほか、中国の車載関連やEMS関連の設備投資も回復傾向にある。
今後は中国や東南アジア、台湾を中心に市場拡大が続くと予想される。2026年の市場は、前年と同様にAIサーバー関連や先端パッケージ関連を中心に、順調に拡大するとみられる。2025年に低迷したダイボンダーやワイヤボンダーは、汎用メモリー関連で旺盛な需要が期待される一方、実装装置に使用されるメモリーの供給不足が危惧されており、生産台数に制限がかかる可能性があることから、伸びは小幅にとどまると予想される。
◆注目市場
1.協働ロボット

2025年の市場は、前年に引き続き拡大した。自動車部品を含む自動車関連向け、半導体やプリント基板、電子部品を含む電子デバイス関連向けを中心に、幅広い業種・用途で需要が増加した。中国をはじめとするアジアが需要の中心であり市場をけん引したほか、市況が低迷する欧州は海外展開に注力する中国メーカーによる販売増が大幅な伸長につながった。日本も着実な伸びが続いている。
今後も市場は、自動車関連や半導体やプリント基板といった電子デバイス関連、コンシューマ機器/用品関連、食品・医薬関連向けなど、多様な業種・用途での需要増加により高成長するとみられる。また、各エリアで多数のメーカーが参入している点も、市場を押し上げる要因となる。
近年は高可搬重量の販売が伸びており、販売のボリュームゾーンは一桁台から10kg台へとシフトしている。また、パレタイズ用途の需要増加も目立っており、20kg台から30kgの可搬重量も販売が伸びている。今後は可搬重量のラインアップ戦略に加え、中国メーカーを意識した低価格シリーズと品質を重視したハイエンドシリーズの投入、SIer網の拡大などが示唆される。
2.フリップチップボンダー

フリップチップボンダーは、半導体チップの電極を基板の回路に直接、高精度に接合(フリップチップ実装)するための装置である。AI関連市場の拡大に伴って半導体のパッケージ構造が変化し、2.5次元パッケージや3次元パッケージ、FO-WLP/PLPといった先端パッケージの採用が増え、需要が高まっている。
2025年の市場は、HBM4(第6世代の超高性能DRAM)などの先端パッケージの設備投資が増加したことに加え、熱圧着方式などのハイエンド装置の販売増加によって、大幅に拡大した。2026年も台湾や米国などで先端パッケージの大型設備投資が期待され、拡大が続くとみられる。2027年は2025年と2026年の反動で市場の伸びは鈍化するが、以降は次世代の先端パッケージに向けた設備投資が進み、市場拡大が続くと予想される。また、現状は先端パッケージの設備投資を行う企業は限られるが、今後は先端パッケージに取り組む企業が増加し、市場拡大を後押しすると考えられる。
◆調査対象
1.製造業向けロボット(14品目)1)溶接・塗装系
・アーク溶接ロボット
・スポット溶接ロボット
・塗装ロボット
2)アクチュエーター系
・単軸ロボット
・直交ロボット
3)組立・搬送系
・パレタイジングロボット
・スカラロボット
・小型垂直多関節ロボット(可搬重量20kg以下)
・垂直多関節ロボット(可搬重量21kg以上)
・パラレルリンクロボット
・協働ロボット
・アーム付AGV
4)クリーン搬送系
・ガラス基板搬送ロボット
・ウエハー搬送ロボット
2.半導体・電子部品実装向けロボット(6品目)
1)電子部品実装向け
・高速モジュラーマウンター
・中速モジュラーマウンター
・多機能マウンター
2)半導体実装向け
・ダイボンダー
・ワイヤボンダー
・フリップチップボンダー
3.ロボット向け注目構成部材(7品目)
・FAケーブル
・精密制御減速機
・オートツールチェンジャー
・ロボット用力覚センサー
・ロボットビジョンシステム(2D/3D)
・セーフティレーザースキャナー
・汎用ロボットハンド
