PRESSRELEASE プレスリリース
◆水資源関連ビジネスの国内市場 5,544億円(40.5%増)
水処理技術の高度化や、AIを活用したサービスなど新たなビジネスの登場で成長が続く
●RO膜/NF膜 国内:111億円(46.1%増) 世界:4,869億円(2.4倍)
国内:半導体などエレクトロニクス製品の製造向け純水・超純水の需要増加が市場を後押し
海外:海水淡水化や排水再利用需要が高まる
●管路劣化診断・漏水検知サービス 64億円(4.3倍)
上下水道DXの推進や人手不足対策、水道管老朽化への問題意識の高まりで導入促進
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、世界的な人口増加や工業化で安全な水確保の重要性が高まり、企業には、脱炭素だけではなく水管理の意識向上も求められるなど水資源をめぐる環境が変化する中で、高機能化が求められる水処理装置や製品、AIやIoT技術を活用した診断やコンサルティングといったビジネスの市場を調査した。その結果を「2026年版 水資源関連市場の現状と将来展望」にまとめた。
この調査では、水処理膜、水処理薬品・部材、水処理装置・プラント、水処理関連システム/分析・サービス、水インフラ維持管理関連システム/サービスの5分野26品目の最新動向を捉え、将来を展望した。
◆調査結果の概要
■水資源関連ビジネスの国内市場

水処理関連の需要は、人口減少や上下水道施設の統廃合により長期的には浄水・下水需要が減少していくと予想されるものの、半導体や電子部品といったエレクトロニクス業界向けの純水・超純水需要が堅調に伸びることや、排水再利用などの技術の高度化・高付加価値化、水インフラの運用支援システムや水供給サービスといった新たなビジネスの登場により、成長が続くとみられる。
従来は機器やシステム、製品の販売(モノ売り)を中心とした市場であったが、人手不足の深刻化を背景に運用・管理支援サービス(コト売り)の展開が加速しており、今後もその傾向は続くとみられる。その一環で、上下水道の経営といった統合型水ビジネス展開を目指した異業種間のアライアンスも活発化している。
AIを始めとするIoT技術の進展でサービスの幅も広がりを見せており、機器販売に付随する遠隔監視・制御サービスに留まらず、蓄積されたビッグデータを活用した運転の最適制御や管路の劣化診断といった高度な予測やコンサルティング型サービスの展開など様々なビジネスの広がりが期待される。
◆注目市場
●水処理膜
【国内市場】

精密ろ過膜(MF膜)/限外ろ過膜(UF膜)、逆浸透膜(RO膜)/ナノろ過膜(NF膜)、MBR(膜分離活性汚泥法)用膜を対象とする。
国内では、浄水や各産業で利活用されており、リプレースをメインとした堅調な市場である。日本は世界的にも水資源が豊富であり、海水淡水化や排水再利用ニーズも低いことから、市場は産業向け(民需)を中心に拡大するとみられる。浄水向けは上下水道施設の統廃合が阻害要因となるが、エレクトロニクス業界や製薬業界といった、高純度の用水を必要とする産業分野を中心に設備投資が進み、市場をけん引すると予想される。
RO膜(逆浸透膜)/NF膜(ナノろ過膜)は、純水・超純水製造の需要がメインである。半導体や電子部品といったエレクトロニクス製品の需要増加に伴い、ユーザー企業は製造工場の新設・増設を活発に行っている。このため洗浄などに用いられる純水・超純水のニーズは着実に高まっており、今後も成長が期待される。製薬業界向けでは、精製水やUF水、注射用水の製造に用いられる。中国の抗生物質等の原料輸出禁止措置等を受け、政府が医薬品の国内製造を支援していることや、エネルギー削減の観点から、注射用水の製造が蒸留法から膜法へ転換が進んでいるため、需要が高まっている。
【RO膜/NF膜の世界市場】

海外では、海水淡水化や排水再利用といったニーズの高まりで導入が増えている。人口増加に伴い、水ストレスの高い地域の需要や、工業化の進展で用水処理・排水再利用需要が高まり、堅調な市場拡大が予想される。短期的には、中国の景気悪化に起因する需要停滞は懸念材料となっている。
●超純水製造装置・システム

半導体や液晶ディスプレイの製造・洗浄などに用いられる超純水の製造装置・システムを対象とする。ラボ用卓上式やカートリッジ式などの小型装置、純水・超純水の販売(水売り)や装置のレンタルサービスは純水・超純水供給サービスとし、対象外とする。
市場は半導体工場の新設・増設に連動するため、活発な半導体投資を受けて2025年は国内、海外ともに大幅に拡大した。2026年は前年の反動で一時的な縮小が予想されるが、世界的な半導体需要の増加を背景に、市場は中長期的に拡大していくとみられる。
近年は北米での大型案件が市場をけん引している。北米や台湾、韓国に加え、東南アジアやインドといった新興国で半導体関連の投資が活発化していることに伴い、超純水サプライヤーの拠点も新設されており、今後の需要増加が期待される。
一方で、超純水供給サービスの広がりは市場の懸念材料の一つであり、参入企業によっては装置・システムよりも供給サービスを志向するケースもある。しかし、国内では設備投資に伴う補助金などにより装置・システムの購入が促進されているため、市場への影響は抑えられるとみられる。
●ボイラー/冷却水用薬品(国内市場)

ボイラーや冷却塔において、設備の腐食やスケール、スライムの付着防止に用いられる薬品を対象とする。
ボイラー水用は、カーボンニュートラルの潮流でヒートポンプの採用が増え、業務・産業用ボイラー自体が減少しているため数量ベースでは縮小しているが、輸送費、材料費、人件費等の高騰を背景に値上げが相次いでいることから市場は拡大しており、2020年代は横ばいから微増が続くとみられる。
冷却水用は、首都圏を中心とした再開発に伴い、オフィスビルや地域冷暖房でセントラル空調(ターボ冷凍機)の採用が増えたため市場が拡大している。今後も再開発案件が控えていることから空調まわりの需要が伸びていくとみられる。さらに近年のデータセンター建設の活発化も市場を後押ししている。これまでは冷却塔と同様に外資系メーカー製品の採用が多かったが、保守点検や緊急対応への課題があるため、2026年以降冷却塔が国内メーカー製品に置き換わる動きが見られ、冷却水用薬品も採用増が期待される。
●管路劣化診断・漏水検知サービス(国内市場)

管路劣化診断サービスは、上下水道の管路の様々なデータを解析し、AI・統計モデルを用いて劣化や漏水・破損リスクを推定し更新の優先順位を明確化するサービスを対象とする。漏水検知サービスは人工衛星から取得した観測データをAI・アルゴリズムで解析し、水道管などからの漏水の可能性が高い地点を広域的に特定するサービスを対象とする。
国土交通省などによる上下水道DX推進や、近年散発した水道管の破裂事故や、水道管破損に起因する道路陥没事故による上下水道管老朽化への問題意識の高まり、従来の劣化診断にかかるコストや人手不足といった要因でAIや人工衛星を利用したこのサービスの導入が進んでいる。現状は主に上水管を対象としているが、下水管にも範囲を広げる動きが見られ、今後も市場は拡大していくと予想される。
◆調査対象
水処理膜・精密ろ過膜(MF膜)/限外ろ過膜(UF膜)
・逆浸透膜(RO膜)/ナノろ過膜(NF膜)
・MBR(膜分離活性汚泥法)用膜
水処理薬品・部材
・ボイラー/冷却水用薬品
・水殺菌/消毒用薬品
・無機凝集剤
・活性炭
・イオン交換樹脂
水処理装置・プラント
・純水製造装置/システム
・超純水製造装置/システム
・オゾン発生装置(オゾナイザ)
・紫外線照射装置
・超微細気泡散気装置
・脱水機
・嫌気処理システム(UASB/EGSB)
・海水淡水化装置/プラント
・宇宙空間向け水処理装置(飲料向け水再生システム)
・水電解向け純水製造装置/システム
水処理関連システム/分析・サービス
・純水/超純水供給サービス
・地下水利用システム/サービス
・水質分析/測定装置
・PFAS分析サービス
水インフラ維持管理関連システム/サービス
・上下水道監視制御システム
・クラウド型上下水道遠隔監視/制御システム
・管路劣化診断/漏水検知サービス
・分散型水インフラ設備(非常用浄水装置)
下線の品目は国内市場に加え世界市場も調査した
宇宙空間向け水処理装置(飲料向け水再生システム)は世界市場のみを調査した
