マーケット情報


PCサイトなどからスマートフォンサイトなどへ
通販企業の受注形態の変化が進む国内通販市場の調査を実施

−EC市場は2017年に7兆2,272億円−


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、競合激化、消費の一部が実店舗回帰している中、EC(Eコマース)を中心に拡大する通信販売(通販)の国内市場を調査した。その結果を報告書「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 2016」にまとめた。

この報告書ではB2Cの物販を対象とした通販市場を通販形態別(カタログ通販、テレビ通販、ラジオ通販、EC※1)と、商品カテゴリー別(食品・産直品、健康食品・医薬品、ビューティ他、生活雑貨、アパレル、家電・PC、書籍・ソフト、その他)に分類し、各市場の現状を分析して今後を予測した。また、主要参入企業の事業形態のケーススタディを掲載した。

※1.ECは通販企業がPC/タブレットPC/スマートフォン/フィーチャーフォンサイトを媒体として消費者に向けて告知し、それぞれのサイトで受注した通販を対象とした。

◆注目市場

1.ECの受注形態別市場

EC市場は2014年に6兆1,486億円となった。2017年には2014年比17.5%増の7兆2,272億円が予測される。

ECは実店舗からの需要シフトに加えて、カタログ通販やテレビ通販の受注ツールとして定着、2013年まで市場は毎年二桁成長を続け、通販市場の拡大に大きく貢献してきた。また、フィーチャーフォンやスマートフォンといったモバイル端末の普及も、通販チャネルを更に身近にした要因となっている。現在通販企業の受注形態はPCやフィーチャーフォンサイトからスマートフォンやタブレットPCサイトへとシフトする過渡期と言え、各社ともにアプリ開発やWebサイトの最適化を行うなど、多様化する端末(デバイス)への対応に注力している。

PC市場(PCサイトからの受注)は2014年に4兆1,962億円で市場の68.2%を占めたが、2017年にはやや縮小して4兆1,704億円が予測され、市場占有率は57.7%になるとみられる。一方、スマートフォン市場(スマートフォンサイトからの受注)は2014年に1兆4,962億円で市場の24.3%を占めたが、2017年には2014年比57.6%増の2兆3,573億円が予測され、市場占有率は32.6%になるとみられる。

2014年は食品・産直品では依然として高い伸びが見られたものの、生活雑貨などでは震災の影響によって購入が急増した2012年から2013年の反動もあり、前年比二桁増とはならなかった。2015年もこうした傾向が顕著であり、景気回復とともに消費者が実店舗へと回帰していることもあり、市場は拡大が続くものの伸びが鈍化すると予想される。

2.仮想ショッピングモール市場

2014年
2015年見込
2014年比
市場規模
3兆1,145億円
3兆3,992億円
109.1%

仮想ショッピングモールはWeb上の仮想店舗の集まり(モール)を指す。市場は「楽天市場」(楽天)、「Amazon.co.jp」(アマゾンジャパン)、「Yahoo!ショッピング」(ヤフー)、「DeNAショッピング」(ディー・エヌ・エー)、「ポンパレモール」(リクルートライフスタイル)の5モールの売上げで、EC市場の内数である。

市場は、消費者にとっては豊富な商品力やポイントサービス、出品者にとっても在庫管理や物流業務のアウトソーシングなど、双方にメリットのあるプラットフォームとして小売市場での位置付けを高め、2014年にはEC市場の50.7%、通販市場の38.1%を占めるまでに成長している。特に「楽天市場」「Amazon.co.jp」の2大モールは、物流センターの整備に積極的であり、出品者の在庫を物流センターで管理することでリードタイムの短縮や送料無料などを実現しており、出品者の増加とともに取扱商品も増加、売上げもそれぞれ1兆円を超え、通販市場の拡大をけん引している。

◆調査結果の概要

国内通販市場 ※2

2014年
2015年見込
2017年予測
2014年比
市場規模
8兆1,747億円
8兆4,948億円
9兆1,378億円
111.8%

※2. カタログ通販、テレビ通販、ラジオ通販、ECの各通販形態を対象とするが、カタログ通販、テレビ通販、ラジオ通販において、注文手段としてPC/タブレットPC/スマートフォン/フィーチャーフォンサイトを経由した場合は、ECに含めている。なお、画像/動画待受画面/着信メロディなどのダウンロードサービス、オンラインゲーム、有料の情報提供サイトについては対象外としている。

国内通販市場は2000年以降、ECが消費者の中で一般化し、2005年にはカタログ通販を抜いて主力通販形態となった。以降ECが拡大をけん引しており、市場は2014年に8兆円を超える規模まで拡大した。2015年もECが市場拡大をけん引している。一方、ECにおける通販企業の受注形態は2011年以降中心となっていたPCサイトなどからスマートフォンサイトなどへとシフトしており、市場の構造変化が見られる。

カタログ通販は依然としてシニア層に支えられ底堅いが、シニア層においても情報リテラシーの高い消費者が増えており、ECへのシフトが進み、縮小している。

テレビ通販はリピート商品を中心にカタログ通販やECへのシフトが見られ、新規顧客の獲得が進まず伸び悩んでおり、2015年以降は縮小に転ずると予想される。

ラジオ通販はトレンドや日々の変化に合わせた品揃えで、中高年層や自営業を中心とした根強い消費者に支えられているが、取扱商品数や配送スピードなどで優るその他の通販形態へのシフトが見られ、横ばいから微減となっている。

1.食品・産直品市場

2014年
2015年見込
2017年予測
2014年比
市場規模
1兆2,096億円
1兆2,961億円
1兆4,540億円
120.2%

市場は、1990年代までお中元やお歳暮といったギフトや手土産などの需要を中心に、カタログ通販を主体として市場が形成された。2007年頃より大手GMSやスーパーを中心に新しい通販・宅配形態であるネットスーパーへの参入が始まった。ネットスーパーは、店頭販売される日常食を店舗から配送するものであり、その利便性の高さから働く女性や子育て中の主婦、高齢者といった消費者の支持を得た。2010年以降は、スーパーのみならずCVSでもECやカタログ通販、店頭商品を配送するサービスが開始された。また、仮想ショッピングモールを運営するアマゾンジャパンが食品の取扱いを本格化するなどの動きが市場の更なる成長へ繋がった。

2015年も引き続きネットスーパーを展開する上位企業が伸長を維持しているほか、通販企業や卸業者によるECも伸びている。これら企業は日常食の取扱いが中心となっており、実店舗に行かなくても購入できる利便性に消費者の支持が集まっており、市場成長に繋がっている。

2.アパレル市場

2014年
2015年見込
2017年予測
2014年比
市場規模
1兆7,215億円
1兆8,106億円
1兆9,755億円
114.8%

近年はスマートフォン経由での受注が急激に増加し、通販企業ではスマートフォン向けに最適化したサイト構築やアプリの配信を進め、スマートフォンユーザーの囲い込みを進めている。20代から30代の若年層をメイン顧客とするECサイトでは既にスマートフォン比率が8割から9割以上に達しているケースもあり、スマートフォン対応の重要性が年々増している。

2014年、2015年共にアパレルECサイトやアパレルブランドの自社通販の伸びがけん引し、市場は拡大している。一方、総合通販企業はカタログの不振などによる苦戦が目立ち、市場の二極化が進行している。

カテゴリー別では、アウターウェアの市場構成比が最も大きいが、近年はECサイトを中心に取扱いカテゴリーやブランドを広げる動きが活発であることから、その構成比は僅かながら下がりつつある。その他では、2020年の東京五輪を控えてスポーツ関連の品揃えを増やす企業が多く、今後スポーツ関連の構成比が高まるとみられる。

◆調査対象

1.通販形態(使用メディア)別

カタログ通販 総合通販、百貨店系通販、専門通販(食品・産直品、健康食品、化粧品、アパレル、他)
テレビ通販 テレビ通販専門局、番組型ホームショッピング、インフォマーシャル、スポット広告型テレビ通販
ラジオ通販 ラジオ通販
EC 仮想ショッピングモール、総合・百貨店系通販、専門通販(自社サイトでの運営)、GMS・量販店宅配(ネットスーパー)

2.商品カテゴリー別

食品・産直品 加工食品、菓子類、酒類、飲料、自然食、水産物 農産物 など
健康食品・医薬品 健康食品、シリーズサプリメント、医薬品 など
ビューティ他 化粧品、美容器具、健康器具 など
生活雑貨 家庭用品、トイレタリー(化粧品を除く)、食器 台所用品 など
アパレル 婦人服、紳士服、子供服、ベビー服、服飾雑貨、宝飾品 など
家電・PC PC本体、PC周辺機器、PCソフト、家電類 など
書籍・ソフト 書籍、雑誌、音楽・映像ソフト など
その他 家具・収納、インテリア 寝具、ホビー関連グッズ、玩具、スポーツ用品、文具、カー用品、ペット関連グッズ など

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。

 


2016/03/01
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。