マーケット情報


パワーアシストスーツ、ドローン・無人ヘリなどの需要が急増
業務・サービスロボット関連の世界市場を調査

−2025年世界市場予測(2017年比)−
業務・サービスロボットの世界市場 5兆7,479億円(4.4倍)
パワーアシスト・増幅スーツ 128億円(3.8倍)


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、人手不足解消や作業員の負担軽減を目的として、オフィスや医療・介護現場、物流現場などで需要が増加している業務・サービスロボット関連の世界市場を調査した。その結果を「2018 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 No.2 業務・サービスロボット市場編」にまとめた。

この調査では、業務・サービスロボット29品目、ソフトウエアロボット7品目、ロボット関連サービス4品目の国・地域別の市場動向について、現状を分析し将来を予想した。

◆調査結果の概要

業務・サービスロボット関連の世界市場
 (業務・サービスロボット、ソフトウエアロボット、ロボット関連サービス)

2017年
2025年予測
2017年比
市場規模
1兆8,092億円
14兆9,553億円
8.3倍

業務・サービスロボットは、様々な業界で人手不足解消や作業員の負担軽減を目的に導入が進んでいる。ソフトウエアロボットはあらゆる業界で業務効率化、自動化、省力化を目的に導入が始まっている。今後、参入企業の増加、活用アプリケーションの拡大などにより、多様なビジネスシーンでの活用が予想される。ロボット関連サービスは、ロボットの導入や活用に馴染みがないユーザーをサポートするサービスとして、スモールスタートやPoC(概念実証)などで需要が増えており、ユーザーの裾野拡大と共に伸びるとみられる。

業務・サービスロボットの世界市場



現状、家庭用、医療・介護用、その他(大部分がドローン・無人ヘリ)の構成比が高い。今後、各分野が伸びることにより、2025年の市場は2017年比4.4倍の5兆7,479億円が予測される。特に、物流・搬送用、家庭用、その他の伸びが拡大をけん引するとみられる。

物流・搬送用は、現状AGV(自動搬送台車)が大半である。eコマースの拡大や、新興国の急速な工業化の進展による、物流量の増大や人手不足解消を目的に需要拡大は続くとみられる。また、自動運転トラックは需要の裾野が広いこともあり、公道での使用許可など環境が整い始める2022年頃から急拡大が予想される。デリバリーロボットは、薬剤や医療器具などの搬送に利用されており、大規模病院を中心に採用が進んでいる。近年はホテルでも使用されている。

家庭用は、現在、家庭用掃除ロボットとスマートスピーカー、パーソナルモビリティの普及が進んでいる。中でも家庭用掃除ロボットは、市場の立ち上がりが早く、家庭でも気軽に購入できるため普及が進んでいる。スマートスピーカーは、対応する家電製品が増加するため、今後大きく伸びるとみられる。パーソナルモビリティは、警察や警備会社のパトロールや、観光客の観光地での移動などに利用されており、今後は近所への買い物や通勤・通学などで需要が増えるとみられる。

医療・介護用は、現状、単価の高い手術支援ロボットの構成比が大きい。手術支援ロボットは患者の肉体的な負担が少ないことに加え、精密な手術が可能であるなどの理由から普及が進んでいる。また、パワーアシスト・増幅スーツや移乗ロボット、排泄支援ロボットは、介護報酬など国の助成に影響され、2020年頃から伸びが期待される。セラピーロボットは、国内では、認知症患者など高齢者の利用が多いが、海外では高齢者のほか自閉症児などの治療にも利用されている。

建設・レスキュー・インフラ点検用は、現在、自動運転建機(遠隔操作・自律運転)が70%以上を占めている。特に鉱山の鉄鉱石や土砂運搬で無人ダンプトラックの需要が増えている。2018年以降、自動建設ロボット(建設現場)の市場が建設現場の人手不足や高齢化に伴う後継者不足などの対策として立ち上がるとみられる。

農業用は、自動運転農機が大部分を占めている。広大な農地があり、農作業の自動化、省人化、高効率化へのニーズが高い北米が市場をけん引している。2020年以降に完全無人の自動運転トラクタの実用化が進むとみられる。
オフィス・店舗用ロボットは、現状ではレジロボットが中心である。今後、自律型受付案内ロボットや業務用清掃ロボットなども伸びが期待される。

その他は、ドローン・無人ヘリが大部分を占める。空撮用途だけでなく、検査や農業分野での需要増加が予想される。ごみ分別ロボットは人手不足解消への有効な手段として需要増加が期待される。

◆注目市場

1.パワーアシスト・増幅スーツ

2017年
2025年予測
2017年比
全体市場
34億円
128億円
3.8倍
(日本市場)
31億円
112億円
3.6倍

人が装着し、歩行、重労働(持ち上げ、運搬など)の動作をアシストする装置である。介助者の動きを助けるタイプと、装着者のトレーニングをサポートするタイプに分けられる。介護・リハビリ現場をはじめ、建設や土木、工場、物流など前傾姿勢で行う作業全般で使用される。

日本市場の占める割合が大きい。介護支援や自立支援など介護・リハビリ関連の需要が中心である。2018年に改定予定の介護保険制度で、パワーアシスト・増幅スーツがおむつ交換やベッド移乗、入浴などの作業を補助する製品として介護報酬の対象となれば、需要増加が加速するとみられる。

農業や物流などの分野でも使用が増えている。特に、農業は地方自治体などの導入助成も期待され、需要増加が予想される。また、工場や物流、建設分野などでも人手不足や従業員の高齢化対策として、レンタルやリースでの導入が増えている。日本以外の地域では、医療・福祉向けに歩行アシスト装置が発売されているものの、高価格のため現状の需要は小規模に留まっている。

2.ドローン・無人ヘリ

2017年
2025年予測
2017年比
全体市場
4,250億円
1兆円
2.4倍
(日本市場)
15億円
32億円
2.1倍

遠隔操縦あるいは自律飛行できる無人航空機で商業向け(2kg以上)を対象とする。現状、主にテレビ・映画の撮影や測量、農薬散布に使用されるが、今後、設備点検や災害調査、測量、警備などでの使用が期待される。

地域別にみると、現状では北米が需要の中心である。米国では、2014年5月以降、農業、不動産、映画、放送、石油・ガス、建設分野での使用が認められたことで大きく伸びた。米国政府のドローン規制強化の影響により2016年の上期は需要が一時減少したものの、下期に入り回復し、今後も需要増加が期待される。

日本の市場規模は小さいが、今後は空撮に加え、インフラ検査や物流、農業などで需要が増えるとみられる。特に、高所作業などの危険を伴う検査をドローンで置き換えれば安全かつ迅速に行えるため、需要増加が期待される。また、物流における離島や山間部での配送作業の問題の対応策として、ドローン・無人ヘリの利用も検討されている。国土交通省はドローンの活用推進のため航空法の審査要綱を見直す予定であり、それに応じて日本郵便は2018年にドローン導入を計画している。

一方、2018年には地方自治体が条例で飛行ルート・時間制限を独自に強化することが可能となるため、規制強化が広がればドローン普及の阻害要因になる恐れがある。

3.製造業向け機械学習・ディープラーニング

2017年
2025年予測
2017年比
全体市場
300億円
7,200億円
24.0倍
(日本市場)
65億円
1,200億円
18.5倍

ITベンダやSIerが製造業向けに提供するAIエンジン、AI関連ソリューションを対象とする。具体的にはAIエンジン販売、導入支援コンサルティング、保守・運用を含めたSI売上などである。現状では、生産設備の異常検知や検査工程での不良品判定などのシーンでAI活用が進んでおり、大手ITベンダやAI関連ベンチャー企業の参入により市場は活性化している。

欧米や日本を中心に、参入事業者とユーザーが生産現場での新たなアプリケーション開発に向けたPoCやスモールスタートに取り組んでおり、今後、本格導入が増加し、製造業の幅広いアプリケーションで様々なAI活用が広がるとみられる。

今後、製造業向けに最適なAIやアルゴリズムの登場が期待され、2025年の市場は2017年比24.0倍の7,200億円が予測される。

4.AGV(Automatic Guided Vehicle:自動搬送台車)

2017年
2025年予測
2017年比
全体市場
1,268億円
2,200億円
173.5%
(日本市場)
182億円
545億円
3.0倍

製造現場で部品や製品の間欠搬送や、物流倉庫などでの商品搬送、医療機関での薬品や医療器具の搬送に利用される自律走行型の無人搬送車を対象とする。近年はAIやロボティクス技術が活用され、ヒト協調ロボットや産業用ロボットアームを載せ自律走行し、ピッキング作業や組み立て作業をするアーム付の製品も登場している。

eコマース産業の拡大による商品搬送作業の増加、新興国での急速な工業化などによる製造現場での搬送作業の増加などを背景に、人手不足対策や人件費抑制などを目的に需要は世界的に増加している。製造現場の需要が大きいが、今後は運輸や倉庫、小売などの分野でも需要増加が期待され、2025年の市場は2,200億円が予測される。

◆調査対象

 
業務・サービスロボット 医療・介護用 パワーアシスト、増幅スーツ、手術支援ロボット、移乗ロボット、排泄支援ロボット、入浴支援ロボット、セラピーロボット
家庭用 家庭用清掃ロボット、家庭用コミュニケーションロボット、パーソナルモビリティ、衣類折りたたみロボット、スマートスピーカー
建設・レスキュー・インフラ点検用 レスキューロボット、インフラ点検ロボット、自動建設ロボット(建設現場)、自動運転建機(遠隔操作・自律運転)
物流・搬送用ロボット 自動運転トラック、AGV(自動搬送台車)、デリバリーロボット
農業用 自動収穫ロボット、自動運転農機
オフィス・店舗用 受付案内ロボット、自律型受付案内ロボット、業務用清掃ロボット、業務用セキュリティロボット、レジロボット
その他 ドローン・無人ヘリ、教育ロボット、業務用コミュニケーションロボット、ごみ分別ロボット
ソフトウエアロボット 自動運転支援システム、疾病診断支援ロボット、コールセンター支援ロボット、金融ロボット、チャットボッ、RPAソリューション、製造業向け機械学習・ディープラーニング
ロボット関連サービス BtoB向けレンタルサービス、ロボット導入支援サービス、ロボット用アプリ開発サービス、ロボット保守・運用サービス

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2018/04/16
       
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