PRESSRELEASE プレスリリース

第17030号

NewICT(IoT、人工知能、FinTech)による新たな需要が注目されるデータセンタービジネスの国内市場の調査

2021年市場予測(2016年比)
データセンタービジネスの国内市場 2兆3,895億円(28.5%増)
メガクラウドサービスの普及によりIaaS/PaaSが大幅に伸びる
IoT関連のデータセンタービジネス需要 750億円(15.0倍)
FinTech関連のデータセンタービジネス需要 310億円(31.6倍)
ネットワークの高速化、安定した提供電力ニーズなどへの対応でデータセンターの利用が進む

 マーケティング&コンサルテーション株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、データセンタービジネスと関連製品の国内市場を調査した。
 その結果を報告書「データセンタービジネス市場調査総覧 2017年版(上下巻)」にまとめた。
 「上巻:市場編」ではデータセンターサービス8品目、データセンター関連製品13品目の市場を分析し、将来を予測した。また、「下巻:ベンダー戦略/ユーザー実態編」では有力データセンター事業者の動向整理とWebアンケートによるユーザー調査を行った。
 クラウドコンピューティングの台頭により、従来データセンタービジネスの中心であったハウジング/ホスティングは伸びが鈍化している。しかし、今後はIoTや人工知能、FinTechといった新たなICTの利用に伴うハイパフォーマンスなコンピューターリソースが必要となるため、対応したサービスの需要が増加するとみられる。

調査結果の概要
データセンタービジネスの国内市場
データセンタービジネスの国内市場:市場規模推移グラフ
 2016年時点では、ハウジング(基本/アウトソーシング)が30%弱を占めている。依然としてデータセンタービジネスの中心であるが、クラウドコンピューティングの普及とともに、情報系システムをはじめとする業務系システム、インターネット関連システム、開発環境などでは、データセンター事業者が保有するITリソースが利用できるIaaS/PaaSの需要が増えており、ハウジングの伸び率は鈍化している。ただし、セキュリティや通信パフォーマンスなどの要件がIaaS/PaaSでは合わないシステムについてはハウジングのニーズは根強く、また、外資系クラウドサービス事業者向けの大規模なハウジングサービスも活況なため、今後も緩やかな伸びが期待される。
 IaaS/PaaSは今後も大幅な伸びが続くとみられ、2021年の市場規模はハウジングに拮抗すると予想される。大幅な伸びの背景には「AWS」「Microsoft Azure」などのメガクラウドサービスの普及がある。「AWS」はさまざまな業務系システムのプラットフォームとしての採用が増えており、「Microsoft Azure」は業務用パッケージソフトの基盤としてオンプレミス(自社運用)サーバーからの置き換えが進んでいる。
 ホスティングはサービス価格の低下やIaaS/PaaSへの移行により市場は縮小している。ホスティング(基本)は、ホームページサーバー向けの需要がIaaS/PaaSに、メールサーバー向けの需要がSaaSに移行するなど、クラウドコンピューティングの普及により需要が減少している。ただし、コンシューマー向けのホームページサーバー利用のニーズは根強い。また、ホスティング(アウトソーシング)はメインフレーム/オフコン向けの需要が減少しているが、ホスティングをベースとしたプライベートクラウドの需要は増加している。
 その他は、データセンターを起点に提供する関連サービスでSaaSやDaaSなどを対象とした。データセンターを起点としたクラウドコンピューティング関連サービスがけん引して伸びている。
注目市場
NewICT(IoT、人工知能、FinTech)関連のデータセンタービジネス需要
NewICT(IoT、人工知能、FinTech)関連のデータセンタービジネス需要:需要規模推移グラフ
IoT関連のデータセンタービジネス需要
2016年2021年予測2016年比
50億円750億円15.0倍
 センサーなどのIoTデバイスから送られるデータを収集/蓄積/分析するコンピューター向けのハウジング、同様の作業を行うクラウドサービス(PaaS)、同様の作業をするためにコンピューターリソースを提供するクラウドサービス(IaaS)、それらに付随して提供される通信回線サービスを対象とした。データセンターの安定性や安全性などが評価されており今後の需要増加が期待される。
 現状、IoTは実証実験レベルが中心であり、短期間で利用開始/利用停止ができるクラウドサービスの利用が多く、ハウジングはほとんどみられない。今後はIoTの普及とともに大幅な伸びが予想される。クラウドサービスの利用が進むとみられるが、実用段階に入ればIoT用コンピューターには安定したパフォーマンスや安全性などが求められるため、ユーザーが所有するIoT用コンピューターをデータセンターで運用するハウジングの需要が増えるとみられる。
人工知能関連のデータセンタービジネス需要
2016年2021年予測2016年比
31億円550億円17.7倍
 人工知能用途のコンピューター向けのハウジング、人工知能に関連する学習機能や開発エンジンなどを提供するクラウドサービス(PaaS)、人工知能用途にコンピューターリソースを提供するクラウドサービス(IaaS)、人工知能用途のHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)を使ったクラウドサービス、それらに付随して提供される通信回線サービスを対象とした。人工知能環境を稼働させるコンピューターは従来の業務システムなどよりもはるかに高い演算処理能力が必要なため、データセンターが提供するサービスの需要が高まるとみられる。
 現状、IoTと同様に短期間で利用開始/利用停止ができるクラウドサービスが大半を占め、金融機関やWebコンテンツ企業などが「AWS」や「Microsoft Azure」が提供する人工知能機能サービスを試験的に利用するケースが多い。今後はクラウドサービスの利用拡大はもちろん、人工知能用の学習機能を搭載したHPCサーバー向けのハウジングやホスティングも伸びるとみられる。HPCサーバーは、ユーザー自身による調達や稼働環境の整備は負担が大きいため、データセンター事業者が利用環境を提供するサービスの需要増加も予想される。
FinTech関連のデータセンタービジネス需要
2016年2021年予測2016年比
9.8億円310億円31.6倍
 FinTech用途のコンピューター向けのハウジング、FinTech用途にコンピューターリソース及び機能を提供するクラウドサービス(IaaS/PaaS)、共同利用サービスでのFinTech関連機能、それらに付随して提供される通信回線サービスを対象とした。FinTech関連ビジネスではサービスの低遅延性、セキュリティ、稼働の信頼性が必要となるためデータセンターのニーズが高く、今後の需要増加が予想される。特にSIer系データセンター事業者は、共同利用サービスの提供や、金融業向けシステム開発などの実績があり、技術開発や新サービス開発に強みがあるため、FinTech関連のサービス提供に積極的である。
 現状、FinTechベンチャーを中心にデータセンターの利用が進んでいる。今後はベンチャーに加えて、銀行・証券会社、マイニング(仮想通貨採掘)企業などによるFinTechサービスの提供/開発に伴うデータセンターサービスの新規利用が予想される。主要な金融機関が本格的にサービスを開始すれば、システム開発/運用/保守などの大型需要が発生するため、この分野のデータセンター需要をけん引するとみられる。
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