PRESSRELEASE プレスリリース

第19008号

デザート市場をけん引するアイスクリーム類や
備蓄需要を獲得し好調な米飯類などの市場を調査
−国内加工食品市場調査(3)−

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、大人向け、贅沢、本格志向の商品を中心に好調なデザート、5年ぶりのプラスが見込まれる袋めんなどのめん類や備蓄需要を獲得した米飯類などステープルの市場を調査・分析した。この調査では、フローズンデザート7品目、チルドデザート13品目、ドライデザート6品目、米飯類10品目、めん類15品目、その他ステープル14品目、合計6カテゴリー65品目の結果を「2019年 食品マーケティング便覧 No.3」にまとめた。

◆注目市場

1.アイスクリーム類



アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓を対象とする。

かつては夏場の季節商材としての位置づけが強かったが、近年では秋冬向けや大人をターゲットとした商品、中・高価格帯商品の投入により単価が上がっていることもあり、市場は拡大を続けている。

2018年は夏場の極度の猛暑により氷菓が特に好調なことに加え、TV番組「アイス総選挙2018」でアイスクリーム類全体にスポットが当たったことで需要が増加しており、市場は拡大が見込まれる。メーカーの注力度も高く、品質向上やスイーツ風商品の展開などが今後も積極的に行われるとみられる。2019年には5,000億円突破が予測され、2010年の4,020億円から9年間で1,000億円近くの拡大になるとみられる。

2.カップめん、袋めん

2018年見込
2017年比
2023年予測
2017年比
カップめん
4,582億円
102.0%
4,826億円
107.5%
袋めん
1,190億円
101.9%
1,203億円
103.0%

カップめんは鍋や食器が不要で調理が簡便であることから袋めんからの需要シフトが続いている。加えて、個食化の進展を背景に参入メーカーは主力ブランドを中心に積極的な広告宣伝を行い需要喚起に努めている。

種類別では中華めんが6割近くを占め、カップめん市場をけん引している。喫食頻度の低い10代や20代の若年層や女性をターゲットとする商品など、新商品の投入も活発である。このほか、うどん・そばが3割弱、焼きそばが1割強を占めている。焼きそばは2018年に、まるか食品「ペヤング ソースやきそば」の大容量タイプ「ペヤング ソースやきそば超超超大盛 GIGAMAX」がSNSで話題を集め需要が喚起されたことで、例年にない伸びをみせ前年比2.7%増の614億円が見込まれる。

袋めんは、2012年、2013年と東洋水産「マルちゃん正麺」のヒットで活気づいたが、2014年以降市場は縮小が続いている。しかし、2018年は、メーカーのブランド立て直しを図る動きが前年に続き活発化し、商品のリニューアル、新商品追加などが行われ、需要の減退する夏に冷やして食べるといった食べ方提案などから、5年ぶりの拡大が見込まれる。

3.無菌包装米飯・レトルトライス



単身世帯や社会進出する女性の増加を背景に、簡便性や時短につながることから需要は増加しており、女性やシニア向けの減量サイズ、もち麦商品の展開など商品バリエーションも広がっている。

2018年は、常備食としての需要に加え、西日本を中心とした豪雨災害や台風、北海道胆振東部地震などにより備蓄需要が高まり、拡大が見込まれる。2018年に各社が値上げを行ったが需要は減退しておらず、2018年、2019年と上位メーカーが相次いで新工場の建設・稼働、生産ラインの増強などを発表しており、十分な供給体制が整うことで、今後も市場拡大が続くとみられる。

4.手作り風デザート

2018年見込
2017年比
2023年予測
2017年比
手作り風デザート
1,848億円
100.3%
1,875億円
101.8%

量販店やCVSなど専門店以外の小売店で販売される要冷蔵で消費期限が一週間以内のデザートを対象とする。具体的にはケーキ、シュークリーム、カップデザート、どら焼き、大福などが挙げられる。

大手CVSが他チェーンとの差別化策の一つとして、専門店を意識した本格志向の手作り風デザートの展開を強化したことで、市場は拡大を続けている。

チャネル別には、量販店とCVSがメインである(2018年見込:量販店 904億円/CVS 871億円)。規模は量販店が上回っているが、CVS向けは新規性の高い商品の投入も多く伸長を続けており、年々差は縮まっている。一方、量販店向けは伸びが鈍化していることから、市場全体としても徐々に頭打ちになりつつある。

◆カテゴリー別動向

1.デザート

2018年見込
2017年比
2023年予測
2017年比
フローズンデザート
5,645億円
102.0%
5,979億円
108.0%
チルドデザート
5,719億円
100.8%
5,807億円
102.3%
ドライデザート
805億円
103.3%
863億円
110.8%

フローズンデザート
アイスクリーム類は高単価な大人向けアイスクリームの開発が活発化している。業務用のシェイク・ソフトクリームミックスでも、日世のプレミアム生クリームソフトが人気になるなど、大人向け商品の展開が進んでいる。

チルドデザート
ヨーグルトと手作り風デザートが市場の中心である。ヨーグルトは機能性タイプの需要が落ち着いたことで2017年は縮小したものの、プレーンヨーグルトやソフトヨーグルトが好調で2018年は再び拡大に転じるとみられる。一方、手作り風デザートはCVS向けが堅調なものの頭打ちになりつつある。

ドライデザート
一口タイプゼリーやドライゼリーがけん引しており、2018年に一口タイプゼリーは二桁増、ドライゼリーはインフルエンザ流行による喫食頻度の増加や果物の不作による代替需要などもあり前年比2.3%増が見込まれる。

2.ステープル

2018年見込
2017年比
2023年予測
2017年比
米飯類
2,672億円
102.8%
2,883億円
111.0%
めん類
1兆1,444億円
101.3%
1兆1,713億円
103.7%
その他ステープル
1兆3,658億円
100.7%
1兆3,962億円
103.0%


米飯類
冷凍米飯類は、バラタイプが2016年、2017年の急速な需要増加の反動により伸びが鈍化するものの、成型タイプが軽食や小腹満たしとして焼きおにぎりが好調である。また、無菌包装米飯・レトルトライス、おかゆ・雑炊・リゾット、包装餅は備蓄需要を獲得し、伸長するとみられる。

めん類
カップめんは好調であり、袋めんは2018年に5年ぶりのプラス成長が見込まれる。また、チルドめんは縮小が続くが冷凍めんが好調で、特に冷凍うどんはテーブルマークがTVCMを投下したことで店頭での商品回転率が高まっている。

その他ステープル
パンは、菓子パン・惣菜パンが新商品の定着が難しく縮小が続く一方で、食パンがイーストフード・乳化剤不使用、国産原料や全粒粉など安心・安全を訴求した商品、レーズンやくるみを使用した付加価値商品の展開などで好調である。中華まんじゅうは、上位メーカーの設備強化に加え、品質の向上と商品の多様化によるCVSでの需要活性化により拡大を続けており、2018年に前年比3.1%増の567億円が見込まれる。

◆調査対象

フローズンデザート アイスクリーム類、高級アイスクリーム、マルチパックアイスクリーム、ノベルティアイスクリーム、冷凍ケーキ、冷凍プリン・ゼリー、シェイク・ソフトクリームミックス
チルドデザート チルドプリン、チルドゼリー、手作り風デザート、シュー、手作り風和菓子、ヨーグルト 、プレーンヨーグルト、ハードヨーグルト、ソフトヨーグルト、ギリシャヨーグルト、ヨーグルト風デザート、アジアンデザート、フルーツソース
ドライデザート 一口タイプゼリー、ドライゼリー、デザートベース(レトルト)、デザートベース(粉末・他)、和風デザート、しるこ・ぜんざい
めん類 カップめん、生タイプカップめん、ノンフライカップめん・袋めん、袋めん、チルドそば・うどん、チルド中華めん、チルドパスタ、冷凍そば、冷凍うどん、冷凍中華めん、冷凍パスタ 、乾めん、国産パスタ、輸入パスタ、ビーフン・米粉めん

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2019/02/04
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