PRESSRELEASE プレスリリース
炎症性腸疾患治療剤、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤など
消化器科疾患治療剤、産婦人科領域の治療剤市場を調査
炎症性腸疾患治療剤(潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病含む)1,558億円(55.5%増)
子宮筋腫・子宮内膜症治療剤226億円(51.7%増)
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、新製品の投入が相次ぎ拡大している消化器科疾患治療剤と、参入企業の疾患啓発活動もあり治療することで症状を改善できることが広まり拡大している産婦人科領域の治療剤市場を調査した。その結果を「2018-2019 医療用医薬品データブック No.4 消化器・腎・泌尿器・産婦人科領域編」にまとめた。
今回の調査では、消化器科疾患治療剤(8品目)、産婦人科領域の治療剤(5品目)のほか、薬価改定やジェネリック医薬品の影響によって縮小している腎疾患治療剤(8品目)と泌尿器科領域(4品目)の治療剤市場を調査した。
◆注目市場
1.炎症性腸疾患治療剤(潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病含む)
炎症性腸疾患治療剤は、2016年以降、新製品の投入が相次いだことで市場は拡大している。2016年は、潰瘍性大腸炎で5‐ASA製剤「リアルダ」(持田製薬)、クローン病治療剤で「ゼンタコート」(ゼリア新薬工業)が発売された。2017年は、「ステラーラ」(ヤンセンファーマ※)がクローン病に、「シンポニー」(ヤンセンファーマ、田辺三菱製薬)が潰瘍性大腸炎に適応拡大し市場投入されたほか、EAファーマとキッセイ薬品工業が、国内初となる泡状注腸剤「レクタブル」を発売した。2018年は、「ゼルヤンツ」(ファイザー)が適応拡大し、潰瘍性大腸炎の適応を有する初のJAK阻害剤となったほか、局所免疫抑制作用を有する「エンタイビオ」(武田薬品工業)が発売された。今後は、これら製品の伸びによってさらなる市場の拡大が期待される。また、潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病の患者数は今後も増加していくことが予想され、市場の拡大に寄与するとみられる。
※2018年6月に販売元がヤンセンファーマから田辺三菱製薬に変更されている
2.子宮筋腫・子宮内膜症治療剤
2019年見込 |
2018年比 |
2027年予測 |
2018年比 |
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市場規模 |
160億円 |
107.4% |
226億円 |
151.7% |
子宮筋腫・子宮内膜症治療剤は、2008年に「ディナゲスト」(持田製薬)が発売されて以降、拡大が続いていたが、2017年に「ディナゲスト」のジェネリック医薬品が発売されたことで切り替えが進み2017年、2018年は大幅に市場が縮小した。2019年は、3月に「レルミナ」(あすか製薬)が発売されたことにより市場は拡大するとみられる。今後は、「レルミナ」の伸びが期待されることや、多数の開発中薬剤の発売による市場の拡大が予想される。また、晩婚化による出産回数の減少に伴い、月経を経験する回数が増加している影響から、子宮内膜症や子宮筋腫の発症率は高くなり患者数の増加が予想され、市場の拡大に寄与するとみられる。
◆調査結果の概要
消化器科疾患治療剤、腎疾患治療剤、泌尿器科領域、産婦人科領域の市場
消化器科疾患治療剤は、構成比の高い消化性・薬物性潰瘍等治療剤、H.pylori関連剤が薬価改定やジェネリック医薬品への切り替えの影響を受け縮小している。一方、炎症性腸疾患治療剤は「シンポニー」「ステラーラ」「ゼルヤンツ」が適応拡大し市場投入されたほか、局所免疫抑制作用を有する「エンタイビオ」などの発売によって伸びていることから、2019年の市場は微増が見込まれる。今後は、炎症性腸疾患治療剤や胃食道逆流症等治療剤が伸びるとみられ、2025年には炎症性腸疾患治療剤が消化性・薬物性潰瘍等治療剤、H.pylori関連剤を上回ると予想される。
腎疾患治療剤は、市場の構成比が高い腎性貧血治療剤と透析用剤が薬価改定の影響やジェネリック医薬品の台頭により縮小し、2019年の市場は前年比マイナスが見込まれる。今後、低リン血症治療剤は抗体医薬品が発売されるとみられることから大幅に伸びると予想されるが、そのほかの治療剤はジェネリック医薬品の影響が当面続くとみられ、市場は微減から横ばいが予想される。
泌尿器科領域は、夜尿症治療剤が参入企業の疾患啓発活動によって患者数が増加しており伸びている。一方、市場の構成比が最も高い前立腺肥大症治療剤は、主力のα1ブロッカー製剤が薬価改定やジェネリック医薬品の影響を受け縮小している。また、次いで構成比が高い過活動膀胱・神経因性膀胱治療剤は主力の抗コリン剤が薬価改定やジェネリック医薬品の影響を受け縮小していることから、2019年の市場は前年比マイナスが見込まれる。主要薬剤である前立腺肥大症治療剤、過活動膀胱・神経因性膀胱治療剤の主要製品は、今後も薬価改定やジェネリック医薬品の影響を受けるとみられ、市場は縮小が続くと予想される。
産婦人科領域は、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤が参入企業の疾患啓発活動もあり、治療によって症状を改善できるということが患者に広まり伸びている。また、不妊治療剤が高齢になっても妊娠を希望する女性が増加していることや少子化対策で政府および自治体から不妊治療に対して助成金が出ることが追い風となり伸びていることから、2019年の市場は拡大が見込まれる。潜在患者が多い領域であり、今後は各治療剤において開発中薬剤の発売により、参入企業の疾患啓発活動のさらなる強化が予想されることから、市場の拡大が期待される。
◆調査対象
消化器科疾患治療剤 | 消化性・薬物性潰瘍等治療剤、H.pylori関連剤、胃食道逆流症等治療剤、過敏性腸症候群治療剤・機能性ディスペプシア治療剤、炎症性腸疾患治療剤(潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病含む)、腸疾患治療剤・便秘症治療剤・消化器官改善剤(オピオイド副作用治療剤含む)、その他肝疾患治療剤(肝性脳症、NASH/ASH含む)、膵疾患治療剤、胆道疾患治療剤 |
腎疾患治療剤 | 腎性貧血治療剤、高カリウム血症治療剤、尿毒症治療剤、高リン血症治療剤、二次性副甲状腺機能障害治療剤、透析用剤、そう痒症治療剤、低リン血症治療剤 |
泌尿器科領域 | 過活動膀胱・神経因性膀胱治療剤、前立腺肥大症治療剤、性機能改善剤、夜尿症治療剤 |
産婦人科領域 | 子宮筋腫・子宮内膜症治療剤、経口避妊薬(緊急避妊薬含む)、切迫早産治療剤・陣痛促進剤、更年期障害治療剤・月経障害治療剤、不妊治療剤 |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。