PRESSRELEASE プレスリリース
製造業向けロボットの世界市場を調査
製造業向けロボットの世界市場2兆8,675億円(2.5倍)
ヒト協調ロボット4,110億円(7.0倍)
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、人手不足や人件費高騰を背景にスマートフォン関連、EMS、自動車関連に加え、産業機器や食品、衣料品、化粧品など様々な分野で需要が増加している製造業向けロボットの世界市場を調査した。その結果を「2019 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 No.1 FAロボット市場編」にまとめた。
この調査では、製造業向けロボット16品目、半導体・電子部品実装向けロボット11品目、ロボット向け注目構成部材11品目、IoT・AI・サービス4品目の市場を調査・分析し、将来を展望した。なお、No.2では業務・サービスロボット、AI・人工知能/RPA、ロボット関連サービスなどの市場を、No.3ではロボット本体およびロボット関連ビジネスに取り組む主要企業100社の事例を取り上げる。
◆調査結果の概要
製造業向けロボットの世界市場
2018年の製造業向けロボット市場は、中国でスマートフォン需要に落ち着きがみられたほか、米中貿易摩擦の影響から設備投資が低調となり、成長が鈍化したものの、拡大した。2019年はスマートフォンの新機種向けで需要の回復がみられるほか、米中貿易摩擦の影響緩和や停滞している案件が進むとみられることから、引き続き拡大が見込まれる。世界的な人手不足の深刻化と人件費高騰により、ロボットの活用は一時的なブームにとどまらず今後も広がっていくとみられ、2025年は2018年比2.5倍の2兆8,675億円になると予測される。
分野別でみると、組立・搬送系で大幅な市場拡大が期待される。現状では自動車関連、スマートフォン関連での需要が大きいが、様々な分野において人手不足が深刻化しており、自動化ニーズが広がっていくとみられる。アクチュエータ系ロボットはスマートフォン関連以外の電子機器や産業機器、食品など多くの分野で活用が広がっている。溶接・塗装系ロボットは自動車関連を中心に伸長している。自動車の需要は今後も世界的に増加するとみられ、それに伴いロボット市場も堅調に拡大するとみられる。クリーン搬送系ロボットは、スマートフォン需要が一巡したことやストレージ、データセンター向けなどで設備投資が抑制されている背景から2018年、2019年と市場は縮小するものの、中長期的にスマートフォンの需要が再び増加することやクラウドサービスの活発化、IoTセンサーの普及、5G通信インフラの整備などを背景にロボット需要の増加が期待される。
◆注目市場
1.ヒト協調ロボット
2019年見込 |
2025年予測 |
2018年比 |
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全体市場 |
782億円 |
4,110億円 |
7.0倍 |
(日本市場) |
186億円 |
850億円 |
7.2倍 |
人手不足を背景としたロボットによる自動化ニーズは底堅く、人の作業工程、作業スペースにそのまま置き換えが可能なヒト協調ロボットの採用が進んでいる。欧州のメーカーが市場をけん引してきたこともあり、欧州が最大のマーケットとなっているが、2017年以降、多くの日系メーカーが市場参入したことで、日本市場は大きく拡大している。
2018年は後半の景気後退の影響を受けて成長率が鈍化したものの、ほかのロボットと比較すれば市場は大きく拡大している。今後は安定した人手の確保はもちろん、生産量の増減への柔軟な対応といった視点からも需要が高まっていくとみられる。
2.IoT・AI・サービス
2019年見込 |
2025年予測 |
2018年比 |
|
全体市場 |
1,039億円 |
2,100億円 |
2.2倍 |
ロボット制御ソリューション、ヒト協調ロボットレンタルサービス、予知保全システム・サービス、製造業向けロボットアフターサービスを対象とする。人手不足解消や生産性向上のため、製造業におけるIoT・AI・サービスが注目されている。ロボット制御ソリューション、ヒト協調ロボットレンタルサービス、予知保全システム・サービスは、現在は小規模なトライアル案件が多いものの、今後効果の検証を終え、本格的に導入が進むとみられる。IoTやAI技術、ビッグデータなどを活用することにより高度な自動化案件や、幅広いユーザー層に展開することが可能となる。また、製造業向けロボットアフターサービスは既に成熟市場であり、急激な拡大は期待できないものの、ロボット需要の増加により自動車関連を中心にシステムアップ、修理、メンテナンス需要が増加している。
3.ロボット制御ソリューション
2019年見込 |
2025年予測 |
2018年比 |
|
全体市場 |
24億円 |
245億円 |
17.5倍 |
ロボット制御ソリューションは市場が立ち上がったばかりであり、研究開発が中心となっている。ビンピッキングなど高度な自動化案件では複雑なプログラミングが要求され、ユーザーの大きな負担となっているため、AIを活用したプログラミング負荷の低減が進められている。今後ロボットメーカー、ITベンダー、ベンチャー企業などが多数参入してくるとみられ、技術的な完成度が高まり、実用化が進むことで市場は拡大していくとみられる。
4.ロボットビジョンシステム
2019年見込 |
2025年予測 |
2018年比 |
|
全体市場 |
167億円 |
491億円 |
3.3倍 |
アジア市場 |
46億円 |
220億円 |
5.5倍 |
ロボットビジョンシステムはロボットが対象物や周辺環境を識別するための視覚機能である。主に2D方式を中心に構成されているが、近年は計測やビンピッキングなどの用途により3D方式への関心が高まっている。2018年はロボットの市況が影響し、市場成長が鈍化したが、高度な自動化を実現する上で必要不可欠な製品であり、2020年以降、再び成長ペースを高めていくとみられる。ロボット市場をけん引するアジアを中心に、当面は安価な2Dロボットビジョンシステムによる位置決めや、組み立ての工程などにおいて導入が進むとみられる。日本、米州、欧州などでは、より高度な3Dロボットビジョンシステムが先行して採用が進むとみられる。
◆調査対象
製造業向けロボット | 溶接・塗装系ロボット アーク溶接ロボット、スポット溶接ロボット、塗装ロボット |
アクチュエータ系ロボット 単軸ロボット、直交ロボット、電動スライダ |
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組立・搬送系ロボット 卓上型ロボット、パレタイジングロボット、取出しロボット、スカラロボット、小型垂直多関節ロボット(可搬重量20kg以下)、垂直多関節ロボット(可搬重量21kg以上)、パラレルリンクロボット、ヒト協調ロボット |
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クリーン搬送系 ガラス基板搬送ロボット、ウエハ搬送ロボット |
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半導体・電子部品実装向けロボット | 高速モジュラーマウンタ、多機能マウンタ、中速モジュラーマウンタ、低速マウンタ、ダイボンダ、ワイヤボンダ、フリップチップボンダ、クリームはんだ印刷外観検査装置、インライン実装検査装置(リフロー前後)、AXI、クリームはんだ印刷機 |
ロボット向け注目構成部材 | FAケーブル※、精密制御減速機、ロボット用サーボモータ※、ロボット用オートツールチェンジャ※、ロボット用力覚センサー※、ロボットビジョンシステム、AR/MR表示機器(スマートグラス)※、セーフティレーザースキャナ※、汎用ロボットハンド※、リニア搬送モジュール※、ロボット用ベアリング※(※は国内市場と日系メーカーの海外実績) |
IoT・AI・サービス | ロボット制御ソリューション※、ヒト協調ロボットレンタルサービス※、予知保全システム・サービス※、製造業向けロボットアフターサービス※(※は国内市場と日系メーカーの海外実績) |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。