PRESSRELEASE プレスリリース
業務・サービスロボットの世界市場4兆5,464億円(2.6倍)
AI・人工知能/RPA市場5兆1,750億円(9.6倍)
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、医療・介護、建設、インフラ点検、物流・搬送、オフィス・店舗、農業など幅広い業界において需要が増加している業務・サービスロボットの世界市場を調査した。その結果を「2019 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 No.2 業務・サービスロボット市場編」にまとめた。
この調査では、業務・サービスロボット26品目、AI・人工知能/RPA6品目、ロボット向け注目構成部材3品目、ロボット関連サービス3品目の市場を調査・分析し、将来を展望した。なお、「(同) No.3」ではロボット本体およびロボット関連ビジネスに取り組む主要企業100社の事例を取り上げる。
◆調査結果の概要
業務・サービスロボットの世界市場
1.業務・サービスロボット
深刻化する人手不足や人件費の高騰などによるロボットの役割の広がりを背景に市場拡大が続いている。特定の業界だけではなく、医療・介護、建設、インフラ点検、物流・搬送、オフィス・店舗、農業など様々な業界において、ロボットのニーズは世界的に高まっている。
2.医療・介護用ロボット
手術支援ロボットの市場規模が大きい。市場は米国が中心だが、日本でも手術支援ロボットの保険適用範囲が拡大されたことで普及が進むと予想される。2018年から2025年にかけて移乗ロボット、排泄支援ロボットが大きく伸長するとみられる。パワーアシスト・増幅スーツは医療・介護のみならず製造業、物流、建設など幅広い分野で採用が広がる。
3.家庭用ロボット
趣味や家事などの利便性の向上を目的に需要が増加している。スマートスピーカー、家庭用清掃ロボット、パーソナルモビリティは2018年時点でそれぞれ1,000億円を超える市場規模であり、家庭用ロボット市場をけん引している。2019年には衣類折りたたみロボットの市場が立ち上がるとみられる。
4.建設・レスキュー・インフラ点検用ロボット
現場における人手不足解消や省人化、業務効率化、危険な場所の作業代替などを目的にロボットの導入が進められている。インフラ点検ロボットはインフラの老朽化が進む中、人手不足も相まって世界的に需要が増加している。レスキューロボットは国防、災害対策など用途が限られるため、市場規模は小さいものの安定した需要で堅調に拡大するとみられる。
5.物流・搬送用ロボット
AGV(自動搬送台車)が市場をけん引している。2017年に市場規模は1,000億円を超え、今後もeコマースの需要増加に伴い物流向けを中心に成長が期待される。デリバリーロボットは省人化につながるとして飲食店や病院で需要が増加している。自動運転トラックは技術開発、実証実験を経て2021年頃から市場が立ち上がるとみられ、ドライバー不足を解決する手段として注目されている。
6.オフィス・店舗用ロボット
RFID技術の向上により、日本を中心にレジロボットが一気に拡大するとみられる。また、国内では2020年の東京五輪に向けて受付案内ロボット、自律型受付案内ロボット、業務用セキュリティロボットの需要が増加するとみられる。
◆注目市場
1.AI・人工知能/RPA
2019年見込 |
2018年比 |
2025年予測 |
2018年比 |
|
市場規模 |
7,915億円 |
146.9% |
5兆1,750億円 |
9.6倍 |
自動運転システム、疾病診断支援ロボット、コールセンター支援ロボット、金融ロボット、製造業向け機械学習・ディープラーニング、RPAソリューションを対象とする。様な業種において業務効率化、省人化、人手不足解消などを目的にAI活用ニーズが高まっている。世界でPoCや本格採用が進み、注目されている。AIベンダーやベンチャー企業、AIソリューションを提供するSIerなど参入企業も増加しており、市場拡大が期待される。
2025年までに市場規模が1兆円を超えるとみられるのは自動運転支援システム、金融ロボット、RPAソリューションである。自動運転支援システムは自動運転車の増加に伴い成長が期待され、2019年頃から市場が急拡大するとみられる。金融ロボットは顧客情報や金融情報など膨大なデータを蓄積している金融業界において業務効率改善を目的とした自動化や省人化が進んでいることから、銀行や証券、保険業を中心に需要が増加している。
5.介護支援ロボット ※日本市場は全体の内数
5-1.移乗ロボット
2019年見込 |
2018年比 |
2025年予測 |
2018年比 |
|
全体 |
7億円 |
116.7% |
35億円 |
5.8倍 |
(日本) |
6億円 |
120.0% |
28億円 |
5.6倍 |
移乗ロボットはベッドから車いす、車いすからベッド、トイレなどの移動が自力では困難な要介護者に対して、移乗補助を目的としている。日本では製品の認知度向上、低価格化、レンタル・リースの活用により介護施設向けを中心に市場は拡大している。今後は地域包括ケアシステムの進展を背景に、在宅向けも増加するとみられる。海外では近年、中国や台湾、香港などアジアを中心に需要が高まっており、市場拡大が期待される。
5-2.排泄支援ロボット
2019年見込 |
2018年比 |
2025年予測 |
2018年比 |
|
全体 |
10億円 |
2.5倍 |
21億円 |
5.3倍 |
(日本) |
8億円 |
4.0倍 |
13億円 |
6.5倍 |
排泄支援ロボットは、近年、日本市場は大手メーカーの撤退や販売代理店の契約満了などの影響から停滞していたが、2019年は新製品の投入や販売体制の整備が進み一気に拡大し、2018年比4.0倍の8億円が見込まれる。高齢化が進む中、介護保険制度にも支えられ今後も市場成長が期待される。海外市場は中国、韓国などのアジアが中心となっている。中国でも高齢化が進んでおり、介護支援のニーズは高い。中国メーカーが安価な製品を多数投入するなど今後も長期的に市場は拡大するとみられる。
5-3.入浴支援ロボット
2019年見込 |
2018年比 |
2025年予測 |
2018年比 |
|
日本 |
168億円 |
101.8% |
200億円 |
121.2% |
入浴支援ロボットはバスタブによる入浴文化が根付いている日本において普及が進んでおり、現在、海外での実績はない。介護施設の新設件数に比例し需要は安定していたが、近年の介護業界における人手不足などの問題から、自治体によっては介護施設の新設計画を見合わせるなど市場環境は悪化している。国が進める地域包括ケアシステムの実現に向けて、小規模多機能施設で需要増加が期待される。
5-4.業務用清掃ロボット
2019年見込 |
2018年比 |
2025年予測 |
2018年比 |
|
全体 |
51億円 |
134.2% |
120億円 |
3.2倍 |
(日本) |
11億円 |
2.2倍 |
30億円 |
6.0倍 |
業務用床清掃ロボットを対象とする。清掃業界における人手不足などの課題を背景に北米や欧州など、先進国を中心に需要が増加している。近年、日本では日系・海外メーカーの参入が相次いだことで市場は盛り上がりをみせており、急速な拡大が予想される。海外においては当面、北米、欧州を中心に市場は拡大し、将来的には中国などアジアでも需要が増加するとみられる。
◆調査対象
業務・サービスロボット | 医療・介護用 | パワーアシスト・増幅スーツ、手術支援ロボット、移乗ロボット、排泄支援ロボット、入浴支援ロボット、セラピーロボット |
家庭用 | 家庭用清掃ロボット、家庭用コミュニケーションロボット、パーソナルモビリティ、衣類折りたたみロボット、スマートスピーカー | |
建設・レスキュー・インフラ点検用 | レスキューロボット、インフラ点検ロボット、自動建設ロボット(建設現場) | |
物流・搬送用 | AGV(自動搬送台車)、自動運転トラック、デリバリーロボット | |
オフィス・店舗用 | 受付案内ロボット、自律型受付案内ロボット、業務用清掃ロボット、業務用セキュリティロボット、レジロボット | |
その他 | ドローン・無人ヘリ、自動収穫ロボット、テレプレゼンスロボット、業務用コミュニケーションロボット | |
AI・人工知能/RPA | 自動運転支援システム、疾病診断支援ロボット、コールセンター支援ロボット、金融ロボット、製造業向け機械学習・ディープラーニング、RPAソリューション | |
ロボット向け注目構成部材 | サービスロボット用モーター、サービスロボット用触覚センサー、AGV用リチウムイオン電池 | |
ロボット関連サービス | BtoB向けレンタルサービス、ロボット導入支援サービス、ロボット保守・運用サービス |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。