PRESSRELEASE プレスリリース
スキンケア機能性商品の好調や、土産品などのインバウンド需要が拡大を支える
■アンチエイジング市場 8,635億円 (10.5%増)
~しわ改善を効果効能とするスキンケアの商品ラインアップの広がりにより伸びる~
■敏感肌市場 1,216億円(17.5%増)
~“肌への優しさ”や“安心・安全”などのイメージが新たなニーズを取り込む~
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、しわ改善訴求の医薬部外品が好調なアンチエイジングや、“安全"や“低刺激"などのニーズに対応して伸びている敏感肌対応、シミとしわの両方にアプローチできる高機能品が中高年層の需要を取り込むホワイトニングなどの機能訴求が注目される機能性化粧品の国内市場を調査した。その結果を「機能性化粧品マーケティング要覧 2019-2020」にまとめた。
今回の調査では、スキンケア、ベースメイク、ボディケア、ヘアケアの4カテゴリーにおいて、ホワイトニングやアンチエイジング、敏感肌対応などの機能を訴求する商品を“機能性化粧品"と定義し、訴求機能別の市場動向や注目商品の市場動向について現状を分析し、将来を予想した。
◆調査結果の概要
■機能性化粧品の国内市場(スキンケア、ベースメイク、ボディケア、ヘアケア)
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2019年見込 |
2018年比 |
2020年予測 |
2018年比 |
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2兆2,541億円 |
102.8% |
2兆3,827億円 |
108.6% |
2018年の市場は、一部ブランドで参入メーカーによる大量購入の抑制策が強化されたことや、中国の新EC法の施行を翌年に控えた転売業者の大量購入の減少によるインバウンド需要への影響、また、スキンケアを中心に一部人気ブランドの需要急増による欠品などがあったものの、訪日外国人観光客の土産品としての需要が依然として高かったことや、国内需要も上位メーカーからしわ改善を効果効能とするスキンケアの医薬部外品の新商品が投入されアンチエイジングが伸びたことにより、市場は拡大した。
2019年は、複数メーカーから相次いでスキンケアのしわ改善の医薬部外品が投入され、剤型や価格面のラインアップが充実したことにより需要の広がりがみられる。また、インバウンド需要も土産品が下支えして伸びており、市場は前年比2.8%増が見込まれる。
今後もアンチエイジングやホワイトニングを訴求したスキンケアを中心に堅調な伸びが予想される。
市場の6割弱を占めるスキンケアは、しわ改善の医薬部外品などアンチエイジングがけん引し伸びている。
ベースメイクは、“より丁寧な肌作り"を志向する消費者が増加していることで使用品目数も増えており、近年は仕上がりの良さを訴求したモイスチャーの需要増加で伸びている。今後もモイスチャーを中心に伸びが期待される。
ボディケアは、紫外線対策意識の高まりからUV(ホワイトニング)がサンスクリーンの通年使用者の増加、乳幼児や男性などの新たな顧客層の開拓、また、メイクアップ効果を付与した商品の投入により若年層の需要を取り込み、市場拡大に寄与している。
ヘアケアは、通販メーカーの販促強化などからアンチエイジングが好調で伸びている。
【訴求機能別の市場】
■ホワイトニング【対象品目:スキンケア、ベースメイク、ボディケア】
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2019年見込 |
2018年比 |
2020年予測 |
2018年比 |
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ホワイトニング |
3,068億円 |
103.1% |
3,276億円 |
110.1% |
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スキンケア |
2,609億円 |
103.7% |
2,811億円 |
111.7% |
※スキンケアはホワイトニングの内数
市場は美白意識の高まる夏季の天候に左右される傾向があるものの、近年は規模の大きいスキンケアを中心に加齢による肌悩みの解消などアンチエイジングを付加した複合機能訴求により通年使用の喚起が進んでいることや、インバウンド需要が続いていることなどから好調である。
2018年は、中国の新EC法の影響や参入メーカーによる大量購入の抑制策の実施から、転売業者による大量購入が減少し伸び悩むブランドがみられたものの、訪日外国人観光客の土産品でインバウンド需要が堅調に伸びた。また、制度品系最高級ブランドの好調や、スキンケアやベースメイクで新ブランドが発売され国内需要も増加したことから、市場は拡大した。
2019年は、スキンケアでしわ改善と美白効果の両方を訴求した高機能品が複数ブランドから発売されたことにより伸びており、ベースメイクやボディケアは横ばいであるものの、市場拡大が見込まれる。
構成比の高いスキンケアは、制度品系最高級ブランドやコストパフォーマンスが評価されているセルフブランドがインバウンド需要を取り込んでおり、訪日外国人観光客数の増加に伴う伸びが期待される。国内ではスキンケアとベースメイクで医薬部外品の投入が相次いでおり、明確な機能訴求によって市場の活性化が図られている。特に、スキンケアでしわ改善と美白効果の両方を訴求したスポットケアの投入が進んでおり、今後の伸びが期待される。
■アンチエイジング【対象品目:スキンケア、ベースメイク、ボディケア、ヘアケア】
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2019年見込 |
2018年比 |
2020年予測 |
2018年比 |
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アンチエイジング |
8,099億円 |
103.6% |
8,635億円 |
110.5% |
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スキンケア |
6,215億円 |
104.5% |
6,717億円 |
112.9% |
※スキンケアはアンチエイジングの内数
中高年層人口の増加を背景に加齢に伴う肌や髪の悩みのケアを訴求したブランドの投入が進んでいることから、市場は拡大を続けている。それらを訴求した制度品系最高級ブランドが訪日外国人観光客の土産品として人気を集めており、市場拡大をけん引している。また、メーカーも商品開発に重点を置いている。
市場の7割を占めるスキンケアは、2017年にしわ改善を効果効能とする医薬部外品がポーラ、資生堂から投入され、明確なアンチエイジング効果が示されたことで消費者の関心が高まった。2018年から2019年にかけても“しわ改善"を掲げた医薬部外品の投入が相次ぎ、制度品系最高級ブランドから通販系までブランドのバリエーションが広がったことにより幅広い層の需要を取り込み、伸びが続いている。ベースメイクでは、アンチエイジング効果だけではなく仕上がりの良さが評価されたヒットアイテムが、若年層も含め広く需要を取り込んでいる。また、ヘアケアも参入メーカーの女性用育毛剤の販促強化などにより伸びている。
各メーカーからしわ改善効能を効果とする医薬部外品が相次いで投入され、価格帯やテクスチャー(質感)などの多様化したニーズに対応した商品ラインアップが広がり、新規ユーザーの掘り起こしも進むとみられ、今後もスキンケアを中心に市場拡大が期待される。
■敏感肌【対象品目:スキンケア、ベースメイク、ボディケア、ヘアケア】
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2019年見込 |
2018年比 |
2020年予測 |
2018年比 |
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敏感肌 |
1,117億円 |
107.9% |
1,216億円 |
117.5% |
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スキンケア |
805億円 |
107.0% |
875億円 |
116.4% |
※スキンケアは敏感肌の内数
化粧品に対して安全性や低刺激を求める消費者が増加したことやインバウンド需要により、2014年以降は市場拡大が続いている。
2018年は、中国でインフルエンサーの情報発信などにより例年以上に敏感肌ブランドへの関心が高まり、スキンケアを中心にインバウンド需要が増加した。また、国内では敏感肌ブランドの美容効果の高さが評価されたことにより、市場は拡大した。
2019年も、引き続きスキンケアが好調である。敏感肌ブランド初のしわ改善の医薬部外品や、有力ブランドからアクネ対応ラインが投入されるなど機能の複合化が進み、消費者の肌への優しさとケア効果の両方を求めるニーズの対応により需要が増加し、市場は拡大するとみられる。
敏感肌でもより高い美容効果を得たいと考える消費者が増えており、敏感肌ブランドの有する“肌への優しさ"や“安心・安全"などのイメージは敏感肌訴求にとどまらないニーズを取り込んでおり、今後、高機能敏感肌用アイテムの投入などにより市場は拡大が予想される。
◆注目市場
●家庭用ボタニカルヘアケア
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2019年見込 |
2018年比 |
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363億円 |
103.7% |
商品名や商品コンセプトに“ボタニカル"というキーワードを含むブランド/ラインから展開されるシャンプー/リンス・コンディショナー/ヘアトリートメント(インバス/アウトバス)、女性用育毛剤/男性用育毛剤を対象とした。
2014年まで通販系やバラエティショップ系ブランドが中心であったが、2015年に「ボタニスト」(I-ne)が発売され、EC市場での展開と共にSNSを使用した販促で若年女性層の支持を獲得し、その後バラエティショップやドラッグストアにも販路を広げたことにより、市場は大幅に拡大した。2017年には高中価格帯から“ボタニカル"を訴求したブランドが相次ぎ発売され、ドラッグストアでも購入単価の上昇につながる商品群として積極的に取り扱われたことにより市場拡大が続いた。
2018年は、中価格帯以下のブランドから多くの商品が投入されたことにより、さらに市場は活性化した。また、「サロンスタイル ビオリス」(コーセーコスメポート)が値頃感のある価格の訴求や人気タレントを起用したTVCMなどにより新規ユーザーを獲得し、市場拡大に寄与した。2019年は、新商品の投入に落ち着がみられ、また、“ボタニカル"だけでは差別化が難しくなっていることもあり、伸び率は前年を下回るものの、2018年比3.7%増の市場拡大が見込まれる。
◆調査対象
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カテゴリー |
訴求機能 |
対象品目 |
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スキンケア |
・モイスチャー ・ホワイトニング ・アンチエイジング ・敏感肌 ・アクネ対応 <注目商品動向> ・オールインワンスキンケア |
・洗顔料 ・クレンジング ・マッサージ ・モイスチャー ・スポットケア(部位別訴求商品) ・化粧水 ・乳液 ・美容液 ・パック |
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ベースメイク |
・モイスチャー ・ホワイトニング・UV ・アンチエイジング ・皮脂過剰抑制 ・敏感肌 <注目商品動向> ・BB・CC |
・メイクアップベース ・ファンデーション ・フェイスパウダー |
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ボディケア |
・モイスチャー ・UV(ホワイトニング) ・スリミング/マッサージ効果 ・敏感肌 <注目商品動向> ・サンスクリーン |
・リップクリーム ・サンタン・サンスクリーン ・ボディシャンプー ・ボディクリーム・ローション ・ボディマッサージケアクリーム ・バスプロダクツ |
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ヘアケア |
・モイスチャー&マイルド ・ダメージケア ・頭皮ケア ・アンチエイジング <注目商品動向> ・家庭用ボタニカルヘアケア |
・シャンプー ・リンス・コンディショナー ・ヘアトリートメント ・女性用スカルプケア ・メンズヘアケア(シャンプー・リンス・ヘアトリートメント) ・メンズスカルプケア |
