PRESSRELEASE プレスリリース

第20042号

薬事区分別のアンチエイジングスキンケア国内市場を調査
―2020年市場予測(2018年比)―
■シワ改善有効成分配合(医薬部外品)のアンチエイジングスキンケア市場 
410億円(2.1倍)~機能の複合化、価格帯の広がりなどにより需要増加 ~

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、シワ改善有効成分配合の医薬部外品の登場により、市場が活性化しているアンチエイジングスキンケアにおいて、スペシャルケアを中心に医薬部外品・化粧品の薬事区分別の市場を調査した。その結果を「アンチエイジング機能における薬事区分別・スキンケアトレンドデータ」にまとめた。

◆調査結果の概要

■薬事区分別のアンチエイジングスキンケア市場

 

2019年見込

2018年比

2020年予測

2018年比

医薬

部外品

シワ改善有効成分

274億円

140.5%

410億円

2.1倍

その他アンチエイジング

805億円

107.0%

836億円

111.2%

化粧品

乾燥による小ジワケア

837億円

109.6%

859億円

112.4%

その他アンチエイジング

1,681億円

101.1%

1,721億円

103.5%

合計

3,595億円

106.6%

3,826億円

113.4%

※市場データは四捨五入している

美容液、スポットケア、モイスチャー、パックといったスペシャルケアを対象に、アンチエイジングスキンケア市場を薬事区分別に分類した。

メインターゲットとなる中高年層の利用増加に加えて、美容感度の高い20代、30代の若年層が予防目的でアンチエイジングスキンケア商品を利用するケースが増加しており、市場は拡大が続いている。

2017年はシワ改善有効成分配合の医薬部外品がポーラや資生堂から発売されて話題になったほか、新商品の投入やインバウンド需要の獲得などにより各カテゴリーが拡大し、市場が2016年比15.2%増となり、3,000億円を突破した。2018年、2019年は引き続き大手化粧品メーカーからシワ改善有効成分配合の医薬部外品の投入が相次いだことで大幅に伸び、市場の拡大につながっている。

【チャネル別】

最もウェイトが高いのは通信販売である。乾燥による小ジワケア化粧品を展開するメーカーが多く、それらの商品が好調なことから拡大しており、2019年には1,193億円が見込まれる。

伸びているチャネルはドラッグストアである。シワ改善有効成分配合の医薬部外品がマスブランドに加えてセルフブランドからも投入されたことで拡大し、2019年のウェイトは20%を超えるとみられる。

百貨店は中国の新EC法施行によるインバウンド需要の減少が懸念されたが、プレステージブランドではブランド愛用者の育成と若年層の取り込みが進んでおり、堅調である。

【品目別】

乾燥による小ジワケア化粧品の展開が多いオールインワンゲルを含むモイスチャーや、シワ改善有効成分以外でアンチエイジングを訴求した美容液のウェイトが高い。2017年以降発売が相次いでいる、シワ改善有効成分配合の医薬部外品はスポットケアの展開が多く、スポットケアのウェイトは2019年で13.7%まで高まると見込まれる。

■カテゴリー別動向

【シワ改善有効成分(医薬部外品)】

シワ改善の効果が認められた有効成分を配合した医薬部外品を対象とする。

2017年にポーラと資生堂がスポットケア商品を発売し、市場が形成された。2018年にはコーセーも新たに参入し、資生堂が複数の主要ブランドで有効成分を配合した商品の展開を強化し、店頭での露出が進み価格帯の幅も広がったことでトライアルユーザーが増え、市場は200億円近くまで拡大した。2019年にはシワ改善だけでなく、シワ改善と美白の有効成分を配合することで複合機能化した商品の展開が増えたほか、美容液やオールインワンゲルにも採用されるなど品目も広がっている。

“シワ"という多くの女性が抱える肌の悩みに明確にアプローチできることから、様々なメーカーが参入し、各メーカーの主要ブランドで商品が展開されている。認知度向上によりさらなる市場の拡大が予想される一方で、商品の増加によりメーカー間の競争が激化しており、シワ改善の機能訴求だけでは差別化が難しくなっている。現状、スポットケアでの商品展開が多く、今後はスポットケア以外での展開、機能の複合化、価格などによる多様化が重要になるとみられる。

【その他アンチエイジング(医薬部外品)】

皮膚にうるおい与える、肌荒れを防ぐなどの効果が認められた有効成分を配合し、アンチエイジング機能を訴求した医薬部外品を対象とする。

有効成分が複数あり、展開される価格帯、剤型、チャネルなど幅広く、美白有効成分と合わせてアンチエイジングを訴求する商品が多い。インバウンド需要の獲得や新商品の発売により2016年から市場は二桁増が続いていたが、2019年は中国の新EC法施行によるインバウンド需要の減少や、シワ改善有効成分配合の医薬部外品への需要シフトにより、伸びが鈍化している。2020年は1月にポーラから若年層向けに、表面化していないシワをケアする「リンクルショット ジオ セラム」が発売され、シワ予防需要の獲得が期待される。

【乾燥による小ジワケア(化粧品)】

厚生労働省が化粧品の効能評価試験に基づく表記として解禁した“乾燥による小ジワを目立たなくする"を効能表現とする化粧品を対象とする。

2011年から表記が承認されており、化粧品でありながら一定の効能を訴求できることから、通販化粧品メーカーや単価の低いセルフ系ブランドによる展開が多い。リニューアルや新商品の発売などにより商品数が増加したことで、市場は急速に拡大した。

プレステージブランドやカウンセリング系ブランドではシワ改善有効成分配合の医薬部外品でのラインアップ強化が図られ、乾燥による小ジワケア化粧品の商品投入は落ち着きつつある。しかし、一定の効能を訴求できることから独自有効成分の開発が難しい中小メーカーによる小ジワケア化粧品の商品展開は続くとみられ、2018年以降は伸びが落ち着いているものの、市場は拡大が続くとみられる。

【その他アンチエイジング(化粧品)】

加齢に伴う肌悩みに対する有効成分の配合や乾燥による小ジワケアの表記などはないものの、何かしらの高機能成分を配合しアンチエイジング機能を訴求する化粧品を対象とする。

化粧品として効果をうたうことはできないが、加齢に伴うシワ以外の肌のたるみ、ハリ、ツヤ、毛穴の開きなど広範な肌悩みに対して、独自の処方により様々な成分を配合した商品展開が可能である。参入各社はブランド力や配合成分など自社の強みを生かした商品の展開により需要を獲得しており、市場は拡大している。一方で、医薬部外品や乾燥による小ジワケア化粧品などへの需要シフトもあり、伸びは鈍化している。

◆調査対象

対象品目

 

薬事区分

カテゴリー(定義)

・美容液

 

・スポットケア

 

・モイスチャー

(クリーム・ジェル・オイルなどの剤型)

 

・パック

×

医薬部外品

・シワ改善有効成分

(シワ改善の効果が認められた有効成分を配合した医薬部外品)

・その他アンチエイジング

(皮膚にうるおい与える、肌荒れを防ぐなど効果を認められた有効成分を配合し、アンチエイジング機能を訴求した医薬部外品)

化粧品

・乾燥による小ジワケア

(「乾燥による小ジワを目立たなくする」を効能表現として標榜した化粧品)

・その他アンチエイジング

(何らかの高機能成分を配合することでアンチエイジング訴求した化粧品)


2020/04/30
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