PRESSRELEASE プレスリリース

第20059号

世界のパワー半導体市場を調査
SiCパワー半導体の世界 市場 は 2030年に 2,009億円を予測( 2019年比 4.6倍)
自動車・電装分野を中心に、情報通信機器や産業分野、さらには電鉄車両やエネルギー分野でも需要が期待

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、世界景気が悪化する中でも、自動車電動化の進展や5G通信の本格化などにより、閉塞感を打開する有望用途の登場が期待されるパワー半導体の世界市場を調査した。その結果を「2020年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」にまとめた。

この調査ではパワー半導体の最新市場動向と技術開発動向の把握をはじめ、パワー半導体構成部材や製造装置の市場動向、さらに民生機器や情報通信機器などアプリケーション市場動向・搭載スペックを把握した。

◆注目市場

■次世代・次々世代パワー半導体の世界市場

SiCパワー半導体がけん引するかたちで市場が拡大しており、2019年は2018年比16.4%増の455億円となった。2030年には2019年比6.2倍の2,831億円が予測される。

1.SiCパワー半導体

2019年

2030年予測

2019年比

436億円

2,009億円

4.6倍

SiCパワー半導体市場は、自動車・電装分野やエネルギー分野でSiC-FETの需要が増加していることなどから拡大が続いている。自動車・電装分野向けが2019年に市場の36.0%を占める主要用途となっている。自動車・電装分野に次いで情報通信機器分野向けが24.3%、産業分野向けが20.0%となっている。自動車・電装分野向けは、SiC-FETが2018年に本格採用されたことから大きく伸びている。2022年からSiCパワーモジュールがEVの駆動用インバーターモジュールに採用されるとみられ、2025年には市場構成比が40%を超えると予想される。なお、電鉄車両分野では2020年から新幹線にSiCパワーモジュールが搭載されるとみられる。また、エネルギー分野では太陽光発電や風力発電関連で需要の増加が期待される。

2.GaNパワー半導体

2019年

2030年予測

2019年比

19億円

232億円

12.2倍

GaNパワー半導体は、サーバー電源などの情報通信機器分野向けが最も規模が大きく、2019年に市場の82.2%を占める主要用途となっている。GaNパワー半導体の高周波特性が適していることから採用が進んでおり、今後も伸びが予想される。民生機器分野ではスマートフォンなどの充電アダプターを中心に採用されており、徐々に実績を伸ばしている。一方、産業分野では一部のメーカーがモータードライバーに採用しているものの、現状では大きな実績には至っていない。当面は緩やかな伸びが続くものの、単価が下がることで、採用が進むとみられる。有望用途としては自動車・電装分野が挙げられる。2022年以降にDC-DCコンバーターやオンボードチャージャーといった補機類へ採用するメーカーが増えるとみられる。また、縦型構造のGaNパワー半導体の開発を進めている企業があり、2023年頃からサンプル出荷が始まると予想される。

3.酸化ガリウム系パワー半導体

2019年

2030年予測

2019年比

僅少

590億円

酸化ガリウムパワー半導体は、SiCパワー半導体やGaNパワー半導体よりもコストメリットがあるため今後の普及が期待される。

2020年中に酸化ガリウムSBDの量産が始まるとみられる。まずは600Vの中耐圧領域をターゲットに、民生機器分野や情報通信機器分野で使用される電源などで採用され、その後、産業分野などの高耐圧領域へと裾野を広げていくとみられる。また、酸化ガリウムFETの実用化によって、エネルギー分野や電鉄車両分野での採用も期待される。最終的には自動車・電装分野への展開が想定されるが、酸化ガリウムFETの普及・量産化や信頼性の向上などが必要となるため、本格的な採用は2025年から2030年頃とみられる。

そのほかでは、ダイヤモンドパワー半導体の実用化に向けた研究開発が積極的に行われている。量産化は2030年以降になるとみられる。

◆調査結果の概要

1.パワー半導体の世界市場

2019年

2030年予測

2019年比

2兆9,141億円

4兆2,652億円

146.4%

Siパワー半導体と次世代・次々世代のパワー半導体を対象としている。市場はこれまで好調が続いてきたが、2018年後半からの中国景気悪化の影響により産業分野で需要が落ち込み、2019年は一転して微減となった。しかし、自動車の電動化に伴う自動車・電装分野での需要増加、また、電鉄車両分野やエネルギー分野でも一定の需要が維持されることから、2025年に市場は3兆6,572億円、2030年には4兆2,652億円が予測される。現状では、Siパワー半導体が市場の98%以上(2019年に98.4%)を占めている。Siパワー半導体の市場は、産業分野で需要が落ち込んだものの、自動車・電装分野や電鉄車両分野では比較的堅調であったことから、2019年は微減にとどまった。2020年以降は自動車・電装分野や電鉄車両分野での堅調な需要に加えて、産業分野での需要回復が期待されることから、拡大推移が予想される。次世代・次々世代パワー半導体が伸長するものの、コスト優位性などから今後もSiパワー半導体を中心とした市場構造が続くとみられる。

エリア別では、中国が2019年で市場規模1兆円を超える最大の需要地となっている。今後も需要は継続すると予想されることから、中国市場がパワー半導体市場をけん引していく。中国市場に次いで規模が大きいのが台湾や東南アジアなどの他アジア市場であり、2019年は6,694億円となっている。主要パワー半導体メーカーが本社を置く日本や欧州、北米の市場は、それぞれ3,000億円から4,000億円規模となっている。SiCパワー半導体をはじめとする次世代・次々世代パワー半導体の生産と需要の中心は、これらのエリアであることから、各市場は緩やかに伸びていくと予想される。

2.パワー半導体構成部材の世界市場

2019年

2030年予測

2019年比

2,260億円

4,721億円

2.1倍

産業分野でのパワー半導体需要の落ち込みによって一部の材料は影響を受けたものの、自動車・電装分野での需要が堅調であったことから、2019年の市場はわずかに拡大し2,260億円となった。中長期的にはパワー半導体需要の増加が期待されることから拡大推移が予想される。

今後の自動車・電装分野の需要増加やSiCパワー半導体の普及・量産化を見据えて、シンタリング接合材や封止材料などは開発が進められており、それらの需要増加とともに市場は2025年に3,629億円、2030年には4,721億円に拡大すると予測される。

3.パワー半導体製造装置の世界市場

2019年

2030年予測

2019年比

1,656億円

3,293億円

198.9%

前工程装置の設備投資は国内ではSiパワー半導体製造向け、中国や台湾などではSiCパワー半導体製造向けで積極的に行われたものの、後工程装置の設備投資はあまり行われなかったことから、2019年の市場は2018年比1.4%増と伸び悩んだ。

SiCパワー半導体製造装置の設備投資は、今後もSiCパワー半導体の需要増加とともに継続的に行われるとみられる。また、後工程装置の設備投資も2020年以降の増加が期待されることから、市場は2030年に3,293億円まで拡大すると予測される。

◆調査対象

パワー半導体

 

 

1.Siパワー半導体

・IGBTディスクリート

・SiC‐FET

・整流ダイオード

・サイリスタ・トライアック

・SiCパワーモジュール

・SBD(ショットキー・バリア・ダイオード)

・IGBTモジュール

3.GaNパワー半導体

・FRD(ファースト・リカバリー・ダイオード)

・インテリジェントパワーモジュール

4.酸化ガリウムパワー半導体

・バイポーラパワートランジスタ

・パワーIC

5.ダイヤモンドパワー半導体

・低耐圧パワーMOSFET

2.SiCパワー半導体

 

・高耐圧パワーMOSFET

・SiC‐SBD

 

パワー半導体構成部材

 

 

・SiCウエハー

・CMPスラリー

・窒化アルミニウム回路基板

・GaNウエハー

・ダイボンディングペースト

・アルミナ系回路基板

・酸化ガリウムウエハー

・はんだ

・窒化ケイ素回路基板・白板

・ダイヤモンドウエハー

・シンタリング接合材

・金属放熱基板

・半導体レジスト

・リードフレーム用条材

・放熱シート

・バッファーコート膜

・ボンディングワイヤ

・放熱グリース

・CMPパッド

・封止材料

 

パワー半導体製造装置

 

 

・エピ膜成長装置

・イオン注入装置

・バックグラインダ

・ウエハー外観検査装置

・GaN向けMOCVD

・熱処理装置

・ダイシング装置

・チップ外観検査装置

・CMP装置

・レーザーアニール装置

・ダイボンダ

・セラミック基板検査装置

・プラズマCVD

・ドライエッチング装置

・ワイヤボンダ

・ハンドラ

・コータ/デベロッパ

・スパッタリング装置

・モールディング装置

・電気テスタ装置

・露光装置

 

 

 

パワーエレクトロニクス機器

 

 

・冷蔵庫

・液晶テレビ

・普通充電スタンド

・洗濯機

・サーバー

・ワイヤレス給電システム

・ルームエアコン

・UPS(中・大容量)

・鉄道車両

・IHクッキングヒーター

・xEV駆動用インバーター

・太陽光発電用パワーコンディショナー

・炊飯器

・xEV用DC‐DCコンバーター

・風力発電システム

・電子レンジ

・ステアリング制御システム

・家庭用燃料電池

・LED照明器具

・ADAS/自動運転システム

・電力貯蔵システム(需要家設置)

・スマートフォン

・ボディ統合制御システム

・汎用インバーター

・ノートパソコン

・車載用充電器

・サーボアンプ

・タブレット端末

・急速充電スタンド

・スポット溶接ロボット


2020/06/04
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