PRESSRELEASE プレスリリース

第20100号

包装用や電気絶縁用などの粘着テープ・フィルムの世界市場を調査
―2023年市場予測(2019年比)―
<調査結果の概要>
■粘着テープ・フィルムの世界市場 5兆2,571億円(1.5%減)
新型コロナウイルス感染症の影響で2020年は落ち込むが2021年以降回復に向かう
<注目市場>
●中・軽包装用粘着テープ 1兆1,679億円(7.5%増)
アジアの新興国・地域を中心に産業の発展や、
生活水準の向上に伴う物流量の増加で需要が高まる
●電気絶縁用ポリ塩化ビニル粘着テープ 2,808億円(1.7%増)
中国や東南アジアなどで、都市化やインフラ整備が進み需要増加 

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、汎用的な部材であり、多くの分野で多種多様に用いられる粘着テープ・フィルムの世界市場を調査した。その結果を「粘着テープ・フィルム市場の全貌 2020 用途別動向編」にまとめた。

この調査では、エレクトロニクス用、自動車用、建築土木用、包装用、その他に加え、その他工業用、医療用の粘着テープ・フィルム市場を調査・分析し、将来を展望した。また、支持体別の市場動向についても明らかにした。

◆調査結果の概要

■粘着テープ・フィルムの世界市場

 

2019年

2023年予測

2019年比

エレクトロニクス用

9,965億円

1兆 369億円

104.1%

自動車用

4,564億円

4,292億円

94.0%

建築・土木用

3,274億円

3,007億円

91.8%

包装用

1兆5,151億円

1兆5,896億円

104.9%

その他

2兆 401億円

1兆9,007億円

93.2%

合 計

5兆3,355億円

5兆2,571億円

98.5%

2019年の市場は、5兆3,355億円(2018年比0.8%増)となった。自動車分野は縮小したものの、そのほかの分野は好調だったため市場は拡大した。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け縮小するとみられる。2021年以降は、回復基調に転じ、2023年の市場は5兆2,571億円(2019年比1.5%減)と予測される。

用途別にみると、エレクトロニクス用は電子部品固定用テープが2019年の市場の37.8%を占め、最も構成比が高く拡大をけん引した。電子部品固定用テープは、薄型テレビ用途とモバイル端末用途が好調で伸びたが、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響を受け縮小するとみられる。2021年以降は中国や東南アジアを中心に需要が増加し、市場は拡大に転じるとみられる。

自動車用は、自動車の生産台数が低迷する中、補修用でも使用される塗装マスキング用粘着テープが安定的な需要を獲得してきた。2020年は自動車の生産台数がさらに低迷するため、塗装マスキング用粘着テープの需要は減少するとみられる。今後は、自動車生産台数の回復によって需要増加が期待される。

建築・土木用は、建築塗装マスキング用粘着テープが2019年の市場の54.3%を占め、最も構成比が高かった。建築塗装マスキング用粘着テープは建築需要の動向に影響されるため、2020年は落ち込むとみられるが、中長期的には中国や東南アジアの建築需要の高まりが期待され、それに連動して伸びるとみられる。

包装用は、主に輸送時の段ボール箱での梱包に用いられる中・軽包装用粘着テープが、EC市場の好調などにより伸びた。今後は、EC市場のさらなる拡大や、アジアの新興国などでの産業の発展や生活水準の向上に伴う物流量の増加によって、需要が高まるとみられる。また、重包装用粘着テープは、これまで世界貿易の増加に伴い伸びてきたが、2019年は減速したため縮小した。2020年以降は、一時的に落ち込むものの世界経済と連動して次第に回復するとみられる。

その他は、ラベル用粘着紙・フィルムが市場の大半を占めている。東南アジアやアフリカで消費量が増加したほか、北米や欧州でも緩やかに増加し、2019年は伸長した。2020年は、大幅に縮小するとみられる。2021年以降、緩やかに回復するものの2019年の市場規模に戻るのは2025年以降になると予想される。

◆注目市場

●中・軽包装用粘着テープ(包装)

2019年

2023年予測

2019年比

1兆 868億円

1兆1,679億円

107.5%

中・軽包装用粘着テープは、主に輸送時の段ボール箱での梱包に用いられ、特性として粗面接着、耐反撥性、手切れ性などが求められる。

2019年の市場は2018年比で拡大し、1兆868億円となった。アジアの経済発展や世界規模でのEC市場拡大に伴って需要は増加した。2020年は、様々な粘着テープ・フィルム市場が縮小する中、巣ごもり需要などでEC利用が増加していることから、市場は微増するとみられる。今後は、アジアの新興国での産業の発展や生活水準の向上に伴い物流量が増加するため需要が高まり、市場拡大が続くとみられる。一方で、欧州では近年、環境規制の進展や包装資材を極力使用しない傾向にあり、同様の動きが世界的に本格化した場合、市場が縮小すると懸念される。

●電気絶縁用ポリ塩化ビニル粘着テープ(エレクトロニクス)

2019年

2023年予測

2019年比

2,760億円

2,808億円

101.7%

電気絶縁に用いられるポリ塩化ビニル(PVC)粘着テープを対象とする。電気配線の結束や絶縁被覆などに使用され、電気絶縁性や難燃性、耐水耐薬品性などに優れている。

2019年の市場は2018年比で拡大し、2,760億円となった。住宅配線用途、工場などの非住宅配線用途など、多様な用途で用いられている。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響により市場が縮小するとみられる。今後、特に中国や東南アジア、中近東などにおいて都市化やインフラ整備が進展し需要が増加するため、緩やかに市場は拡大していくと予想される。

●建築養生用粘着テープ(建築・土木)

2019年

2023年予測

2019年比

755億円

692億円

91.7%

2019年の市場は2018年比で拡大し、755億円となった。建築需要の高まりや、欧州や北米においてリフォーム需要が高まったことから、養生用粘着テープの採用が進み市場は拡大した。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響により建築需要が世界的に減少するとみられ、市場の縮小が予想される。2021年以降は、特に新興国における需要増加が期待され、市場は回復に向かうとみられる。また、日本市場では近年の台風などの自然災害対策によって認知度が高まっているほか、ソーシャルディスタンス対策として床面に貼るなどの利用が増えており、新たな用途で需要増加が今後期待される。

●電装部品組み立て用粘着テープ(自動車)

2019年

2023年予測

2019年比

1,138億円

1,072億円

94.2%

自動車に採用される電装部品は多岐にわたるが、ここではカーナビゲーション、カーオーディオ/ディスプレイオーディオ、タッチパネル、フルデジタルコックピット、車内センサー/カメラ、モーター/二次電池周辺機器に使用される粘着テープを対象とする。

自動車生産台数の落ち込みなどから、2019年の市場は1,138億円と2018年比で縮小した。2020年は、自動車生産台数はさらに落ち込むとみられ、大幅な市場の縮小が予想される。今後は、自動車生産台数の回復とともに需要は増加するとみられる。また、運転時の操作全般をデジタル化したフルデジタルコックピットの普及拡大や採用点数の増加が予想される車内カメラでの需要の高まりが期待される。

◆調査対象

用途別市場

エレクトロニクス

 

 

・電子部品用マスキングテープ

・電子部品固定用テープ

・電気絶縁用ポリ塩化ビニル粘着テープ

・電子部品搬送用粘着テープ

・電気絶縁用粘着テープ

・研磨パッド固定用両面粘着テープ

自動車用

 

 

・塗装マスキング用粘着テープ

・電装部品組み立て用粘着テープ

・自動車用制振粘着シート

・内装部品固定用粘着テープ

・ワイヤーハーネス用粘着テープ

 

・外装部品固定用粘着テープ

・自動車塗膜保護フィルム粘着テープ

 

建築・土木用

 

・建築養生用粘着テープ

・建築・土木構造用接合粘着テープ

・建築用ウインドウフィルム

・建築塗装マスキング用粘着テープ

・建材用プロテクトフィルム

 

包装用

 

 

・重包装用粘着テープ

・中・軽包装用粘着テープ

 

その他

 

 

・ラベル用粘着紙・フィルム

・マーキングフィルム

・インクジェットメディア

・セパレーター

その他工業用

 

 

・輸送機器ワイヤーハーネス用粘着テープ

医療用

 

 

・サージカルテープ

・穿刺部保護材

・創傷被覆材

・フィルムドレッシング

・皮膚接合用テープ

 

支持体別市場

片面テープ

 

 

・クラフト紙粘着テープ

・ポリエチレンクロス粘着テープ

・ポリイミド粘着テープ

・クレープ紙粘着テープ

・ポリプロピレン粘着テープ

・フッ素樹脂粘着テープ

・和紙粘着テープ

・ポリ塩化ビニル粘着テープ

 

・スフ布粘着テープ

・ポリエステル粘着テープ

 

両面テープ

 

 

・不織布両面粘着テープ

・基材レス両面粘着テープ

・PE/PUフォーム両面粘着テープ

・ポリエステルフィルム両面粘着テープ

・熱接着両面テープ

・アクリルフォーム両面粘着テープ

※網掛け部分は日本市場のみを対象とし、調査結果の概要の粘着テープ・フィルムの世界市場には含まない


2020/09/24
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。