PRESSRELEASE プレスリリース

第21106号

日本、中国、米国など主要10ヵ国の
EV/PHV向け家庭用充電器の普及動向を調査

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、EV・PHV家庭用充電器について日本、中国、米国など主要10ヵ国の普及実態を調査し、将来を展望した。その結果を「EV/PHEV家庭充電の国別実態と普及方向性 2021」にまとめた。

この調査では、上記に加え、家庭充電のV2H(Vehicle to Home)、V2L(Vehicle to Load)やIoT連携・スマートシステム化などのトレンドと今後の方向性についても国別にまとめたほか、有力プレイヤー(OEM/充電器メーカー、エネルギー事業者)の事業動向も捉えた。

◆調査結果の概要

■日本における家庭用充電器の普及動向(ストック数ベース)

 

2021年見込

2020年比

2035年予測

2020年比

普通充電器

6万1,400台

104.9%

59万4,800台

10.2倍

急速充電器

1,300台

EV・PHVは戸建住宅居住者が購入するケースが多く、国内に設置されている家庭用充電器も戸建住宅向けが大半を占める。タイプとしては、スタンドタイプが多く、普通充電器のType1出力3kWが市場の約9割を占める。

米国や中国、欧州と比較してEV・PHVの保有台数が少なく、2021年は前年に引き続き新車販売が低迷していることもあり、家庭用充電器の普及も低水準にとどまっている。

今後、普通充電器はType1出力6kW~7kWを中心に伸びるとみられる。急速充電器はV2X対応機能を標準実装しているCHAdeMO出力22kW以上の製品の需要が増加し、2030年頃から市場が立ち上がるとみられる。

■中国における家庭用充電器の普及動向(ストック数ベース)

 

2021年見込

2020年比

2035年予測

2020年比

普通充電器

103万5,000台

140.2%

1,322万台

17.9倍

急速充電器

500台

60万台

各国と比較して、EV・PHVの所有者数が多く、EVメーカーが新車購入者に家庭用充電器を無償提供するケースが一般的であるため、家庭用充電器のストック数も世界最多となっている。GB/T出力6~7kWの普通充電器が市場の6割を占め、2021年はEV・PHVの販売台数増加で普及が進んでいる。一方、広東省など9省と一級都市や二級都市の18都市では、新築集合住宅の駐車場に充電設備の設置、またはスペースの確保など充電環境の整備が義務付けられているが、駐車場数が一棟全戸数の1割に満たない数しかなく、充電設備の設置も数台にとどまっているケースが多い。

今後、普通充電器は大容量バッテリー搭載車が増えることで大出力化が進むほか、家庭用での急速充電器設置も世界に先駆けて本格的に市場が立ち上がるとみられる。また、EV新車購入者への家庭用充電器は有償提供も見られるが、一般的には無償提供が続くとみられ、市場拡大が予想される。

■米国における家庭用充電器の普及動向(ストック数ベース)

 

2021年見込

2020年比

2035年予測

2020年比

普通充電器

64万7,900台

128.3%

709万9,000台

14.1倍

急速充電器

僅少

50万2,000台

家庭用充電器は戸建住宅向けがメインとなっており、Type1出力6~7kWとTesla「Wall Connector」出力9~11kWの普通充電器が市場の大半を占める。

2021年は、EVの販売台数増加によって普通充電器の普及が進んでいる。EVメーカーは自社ブランドの家庭用充電器を展開している。特にTeslaのEV販売台数の増加に伴い、「Wall Connector」の設置が進んでいる。

今後、カリフォルニア州では、2021年以降の5年間で公益事業会社SCE(Southern California Edison)の管内に、家庭用充電器を含む3万8,000台の充電器を新たに設置する予定である。また、太陽光発電事業者が家庭用充電器メーカーと共同で、家庭・職場用普通充電器の設置サポートを始めることなどから、今後も普及が進むと予想される。

■ドイツにおける家庭用充電器の普及動向(ストック数ベース)

 

2021年見込

2020年比

2035年予測

2020年比

普通充電器

25万6,300台

160.2%

288万4,000台

18.0倍

急速充電器

11万 200台

2021年は、前年に連邦政府が景気刺激策の一環でEV・PHV購入時の助成金の大幅に増額したことにより新車販売台数が増えていることや、大手自動車メーカーが自社ブランドの家庭用充電器と車両の同時販売を進めているため、Type2を中心に普通充電器のストック数は増加している。

今後はEVの発売が増えることで、家庭用充電器の同時販売も進むとみられる。2025年には急速充電器のうちCCS(Combo2)の市場が立ち上がると予想される。また、大容量バッテリー搭載車が増えることで、普通充電器のType2と急速充電器のCCS(Combo2)を中心に大出力化が進むとみられる。

◆調査対象

調査対象品目

タイプ

・普通充電器(AC)

・急速充電器(DC)

利用形態別

・家庭用

調査対象国

欧州

ドイツ、英国、フランス、ノルウェー

北米

米国

アジア

日本、中国、インド

ASEAN

タイ

オセアニア

オーストラリア


2021/11/04
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