PRESSRELEASE プレスリリース
ロボットと構成部材、ソリューション・サービスの世界市場を調査
■製造業向けロボットの世界市場 2兆132億円(65.2%増)
人手不足や人件費の高騰などを背景に伸長し、市場拡大
●スカラロボットの世界市場 1,314億円(92.1%増)
スマートフォンや車載バッテリー生産の設備投資増加に伴い、需要増加
●ヒト協調ロボットの世界市場 2,650億円(3.0倍)
中国や台湾などアジアの伸びが拡大をけん引
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 清口 正夫 03-3241-3470)は、非接触ニーズ、人員削減に伴う業務の自動化・効率化・高度化ニーズを受けて、2020年の低迷から脱却し、設備投資の増加により好調なFAロボット市場を調査した。その結果を「2022年版 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 No.1 FAロボット市場編」にまとめた。
この調査では、製造業向けロボット17品目と半導体・電子部品実装向けロボット7品目、ロボット向け注目構成部材9品目、ソリューション・サービス4品目を対象にFAロボットと構成部材、ソリューション・サービスの世界市場の現状を明らかにし、将来を展望した。
なお、第2弾では、業務・サービスロボットとAI・人工知能/RPAロボットを対象に調査・分析する予定である((同)No.2 業務・サービスロボット市場編)。
◆調査結果の概要
■製造業向けロボットの世界市場
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2021年 |
2020年比 |
2026年予測 |
2021年比 |
溶接・塗装系 |
3,699億円 |
122.0% |
4,966億円 |
134.3% |
アクチュエーター系 |
505億円 |
114.3% |
762億円 |
150.9% |
組立・搬送系 |
6,814億円 |
119.0% |
1兆2,820億円 |
188.1% |
クリーン搬送系 |
1,171億円 |
129.4% |
1,585億円 |
135.4% |
合 計 |
1兆2,189億円 |
120.6% |
2兆 132億円 |
165.2% |
※市場データは四捨五入している
2021年の製造業向けロボット市場は、前年比20.6%増となった。中国をはじめ欧州や米州で新型コロナウイルス感染症の影響により低迷していた経済が回復に向かい、スマートフォンや車載バッテリー、半導体関連製造の設備投資が増加したためアクチュエーター系や組立・搬送系、クリーン搬送系が伸びた。特に、クリーン搬送系は、5G関連やデータセンター、車載電装品も加わり、前年比で最大の伸びを示した。また、溶接・塗装系では、中国や欧米の完成車メーカーの設備投資が増加しているため伸びている。
今後も、人手不足や人件費の高騰などを背景に、ロボットを活用した自動化ニーズは加速し、スマートフォンや車載バッテリー、半導体関連の設備投資増加によって、アクチュエーター系や組立・搬送系を中心に導入が進むとみられる。溶接・塗装系でもEV化に伴う設備投資を受けて伸び、2026年の市場は2021年比65.2%増の2兆132億円が予測される。
■半導体・電子部品実装向けロボットの世界市場
2021年 |
2020年比 |
2026年予測 |
2021年比 |
8,225億円 |
133.4% |
1兆2,090億円 |
147.0% |
2021年の半導体・電子部品実装向けロボット市場は、中国を中心としたアジアがけん引した。モバイル関連機器やPC・ネットワーク機器、車載電装品関連の製造現場で引き合いが多く、市場は前年比33.4%増となった。
今後もEV用車載電装品や5G通信に関するネットワーク機器のニーズの増加に伴う、製造ロボットの需要増加により、中国を中心としたアジアの伸びを軸に、2026年に向けて市場は引き続き拡大していくとみられる。
◆注目市場
●スカラロボット
2021年 |
2020年比 |
2026年予測 |
2021年比 |
684億円 |
128.1% |
1,314億円 |
192.1% |
自動車部品や電子部品、光学部品、食品・医薬品・化学品などの製造現場で、ハンドリングやピッキング、配膳や組立などの作業に使用される水平多関節機構の製品を対象とする。
2021年はスマートフォン関連や車載バッテリーなどの伸長を受けて、製造現場での導入が増えたことにより、市場は拡大した。特に、中国では新型コロナの影響から経済活動がいち早く回復に向かったため、需要が大幅に増えた。
EVの普及により車載バッテリーのニーズが高まり、設備投資が続くことから、2022年以降も中国や欧州、米州で伸長すると予想される。また、日本では半導体関連や自動車関連の製造現場での採用増を中心に、伸びが期待される。
●小型垂直多関節ロボット(可搬重量20kg以下)
2021年 |
2020年比 |
2026年予測 |
2021年比 |
1,460億円 |
126.4% |
3,119億円 |
2.1倍 |
スマートフォンやタブレット、PCなどのコンシューマー機器や自動車部品の生産ラインなどを中心に、小物部品や製品の組立、搬送などに使用される可搬重量が20kg以下の製品を対象とする。
2021年は、中国や欧州、米州で伸長した。中国では、スマートフォン関連や車載バッテリー関連などへの活発な設備投資に伴って需要が高まった。また、欧米では自動車部品や電装品、医療関連向け、日本では自動車部品や半導体関連向けの設備投資が増えたことから、市場は前年比26.4%増の1,460億円となった。
構成部品の需給がひっ迫していることや、2021年に需要が前倒しとなったため、今後の伸びは鈍化するとみられるものの、2022年以降もスマートフォン関連や5G通信、データセンター、車載バッテリー関連への設備投資の増加によって中国を中心に導入が進み、2026年の市場は2021年比2.1倍が予測される。
●ヒト協調ロボット
2021年 |
2020年比 |
2026年予測 |
2021年比 |
882億円 |
126.0% |
2,650億円 |
3.0倍 |
組立や搬送など人が作業しているスペースへの置き換えや、従来のロボット性能に加え、人に近い動作や作業内容、作業環境での利用を想定した製品を対象とする。
これまでは欧州や日本のロボットメーカーが市場をけん引してきたが、中国や韓国の新興メーカーが台頭している。需要地としては、欧州が先行していたが、一部欧州メーカーの中国での販売が増加していることもあり、市場の中心は中国を含むアジアにシフトしている。中国では自動車関連や電子デバイス、コンシューマー機器、食品など幅広い分野で活用されている。
今後も、人手不足や人件費の高騰を背景に、人の作業スペースにそのまま置き換えられる利点を活かし、需要は順調に増加するとみられる。参入メーカーの増加も想定され、2026年に向けて市場拡大が予想される。
●高速モジュラーマウンター
2021年 |
2020年比 |
2026年予測 |
2021年比 |
3,530億円 |
119.7% |
5,485億円 |
155.4% |
プリント配線基板に電子部品(チップやLSIなど)を実装する装置の内、1時間当たりの部品実装点数が6万CPH(サイクル毎秒)以上の機能を有する高速機を対象とする。
2021年の市場は、前年比19.7%増の3,530億円となった。巣ごもり需要によるPC・ネットワーク機器関連の好調を受けて中国を中心に伸びたほか、日本では車載電装品関連の製造現場でも需要が増えた。
2022年は前年の反動を受け、新規受注は横ばいになるとみられるが、前年の受注残もあるため市場拡大が予想される。2023年以降も中国を中心に車載電装品関連や5G通信などネットワーク機器関連の製造現場でニーズが高まり、2026年の市場は2021年比55.4%増の5,485億円が予測される。
◆調査対象
製造業向けロボット(17品目) |
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溶接・塗装系 |
・アーク溶接ロボット |
・スポット溶接ロボット |
・塗装ロボット |
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アクチュエーター系 |
・単軸ロボット |
・直交ロボット |
・電動スライダ |
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組立・搬送系 |
・卓上型ロボット |
・小型垂直多関節ロボット |
・パラレルリンクロボット |
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・パレタイジングロボット |
(可搬重量20kg以下) |
・ヒト協調ロボット |
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・取出しロボット |
・垂直多関節ロボット |
・アーム付AGV |
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・スカラロボット |
(可搬重量21kg以上) |
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クリーン搬送系 |
・ガラス基板搬送ロボット |
・ウエハー搬送ロボット |
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半導体・電子部品実装向けロボット(7品目) |
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・高速モジュラーマウンター |
・低速マウンター |
・ダイボンダー |
・フリップチップボンダー |
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・中速モジュラーマウンター |
・多機能マウンター |
・ワイヤボンダー |
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ロボット向け注目構成部材(9品目) |
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・FAケーブル |
・ロボット用力覚センサー |
・リニア搬送システム |
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・精密制御減速機 |
・ロボットビジョンシステム(2D/3D) |
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・ロボット用サーボモーター |
・セーフティレーザースキャナー |
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・オートツールチェンジャ |
・汎用ロボットハンド |
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ソリューション・サービス(4品目) |
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・ロボット制御ソリューション |
・予知保全システム・サービス |
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・ヒト協調ロボットレンタルサービス |
・リスクアセスメント策定受託サービス |
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