PRESSRELEASE プレスリリース
■パワー半導体 13兆4,302億円(5.0倍)
~次世代パワー半導体は、自動車の電動化進展などにより需要が増加
SiCパワー半導体が市場をけん引し、5兆円突破~
●SiCパワー半導体 5兆3,300億円(31.2倍)
~再生可能エネルギーの普及や自動車の電動化の進展により高い伸びで推移~
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、電動化の進展により好調な自動車・電装分野をはじめ、様々な分野で需要増が期待されるパワー半導体の世界市場を調査した。その結果を「2023年版 次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」にまとめた。
この調査では、シリコンパワー半導体や次世代パワー半導体のほか、構成部材19品目、製造装置19品目の市場を捉えた。
◆調査結果の概要
●パワー半導体の世界市場
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2023年見込 |
2022年比 |
2035年予測 |
2022年比 |
シリコン |
2兆7,833億円 |
111.0% |
7兆9,817億円 |
3.2倍 |
次世代 |
2,354億円 |
134.5% |
5兆4,485億円 |
31.1倍 |
合 計 |
3兆 186億円 |
112.5% |
13兆4,302億円 |
5.0倍 |
※市場データは四捨五入している
シリコンパワー半導体と次世代パワー半導体(SiC、GaN、酸化ガリウム、ダイヤモンド)を対象とする。
シリコンパワー半導体は、自動車・電装分野の需要増加に加え、情報通信機器分野や産業分野の需要も堅調であったことから、2022年の市場は拡大した。民生機器分野の需要は落ち着きがみられるものの、自動車・電装分野がけん引し、2023年以降も高い伸びで市場は拡大するとみられる。
次世代パワー半導体は、SiCパワー半導体が大きく伸び、GaNパワー半導体の需要も堅調だったため、2022年の市場は前年比2.2倍と大きく拡大した。2023年も引き続き市場拡大が予想される。今後、酸化ガリウムパワー半導体の市場も立ち上がるとみられ、2035年に向けて市場は大きく拡大するとみられる。
●構成部材の世界市場
2023年見込 |
2022年比 |
2035年予測 |
2022年比 |
3,023億円 |
111.5% |
1兆2,020億円 |
4.4倍 |
2022年は、パワー半導体の市場拡大に伴いウエハー、前工程材料、後工程材料の需要が増加し、市場は前年比30.9%増の2,711億円となった。2023年は部材メーカー各社の生産能力に限界があることから伸びは鈍化するものの、引き続き市場は拡大が予想される。今後は自動車・電装分野の需要増加やSiCパワー半導体の伸びに伴うシンタリング接合材や窒化ケイ素回路基板などの採用増加が市場拡大に寄与するとみられる。
●製造装置の世界市場
2023年見込 |
2022年比 |
2035年予測 |
2022年比 |
4,124億円 |
121.4% |
8,180億円 |
2.4倍 |
2022年は、中国を中心とした海外パワー半導体メーカーの積極的な設備投資により、市場は前年比39.3%増と大きく伸長した。中国や他アジアでの設備投資に加えて、ウエハーの大口径化が進んでおり、SiCウエハーの8インチ対応ニーズが増えていることや、中国をはじめとする海外で積極的な設備投資が続くことから、2023年以降も市場拡大が続くとみられる。しかし、部材の調達難による納期の長期化などの影響から、市場の伸びは緩やかになるとみられる。
◆次世代パワー半導体注目市場
●SiCパワー半導体
2023年見込 |
2022年比 |
2035年予測 |
2022年比 |
2,293億円 |
134.3% |
5兆3,300億円 |
31.2倍 |
SiC-SBD、SiC-FET、SiCパワーモジュールを対象とする。
電力変換の高効率化を目的に中国や欧州を中心に急速に採用が進んでおり、市場は拡大している。データセンターのサーバー電源などの情報通信機器分野や太陽光発電などのエネルギー分野の需要増加に加えて、充電スタンド、電動車のトラクションインバーターをはじめとする自動車・電装分野が好調だったことから2022年の市場は拡大し、2023年も引き続き伸長すると予想される。
再生可能エネルギーの普及や自動車の電動化の進展により、今後も市場は高い伸びで推移するとみられる。設備投資による生産能力の増強やウエハーの大口径化対応、加工技術の向上などにより低価格化が進むことで、電動車のトラクションインバーターでSiCパワーモジュールの採用が本格化し、市場拡大が加速するとみられる。
●GaNパワー半導体
2023年見込 |
2022年比 |
2035年予測 |
2022年比 |
57億円 |
132.6% |
740億円 |
17.2倍 |
GaNパワー半導体は、電力変換の高効率化を目的にACアダプターなどの高速充電やデータセンターのサーバー電源で採用が進んでいることから市場は拡大しており、2023年は前年比32.6%増の57億円が見込まれる。今後もこれらのアプリケーションを中心に市場拡大が期待される。また、自動車・電装分野において、バッテリーの小型化や航続距離の延長を目的に、オンボードチャージャーやDC-DCコンバータなど電動車の補機系での採用が始まることが市場を押し上げるとみられ、2035年の市場は2022年比17.2倍の740億円が予測される。
●酸化ガリウムパワー半導体
2023年見込 |
2022年比 |
2035年予測 |
2022年比 |
4億円 |
- |
445億円 |
- |
量産化に向けたサンプル評価が継続的に行われている。SBDの量産が開始予定であることから、2023年の市場は4億円が見込まれる。また、2025年頃にFETの実用化が予定されており、シリコンパワー半導体やSiCパワー半導体からの置き換えによる市場拡大が期待される。今後は民生機器分野や情報通信機器分野が市場をけん引し、中長期的には産業分野やエネルギー分野の需要が増加するとみられる。また、将来的には自動車・電装分野への展開も期待される。
◆調査対象
パワー半導体 |
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シリコンパワー半導体 |
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SiCパワー半導体 |
・整流ダイオード |
・高耐圧パワーMOSFET |
・SiC-SBD |
・SBD |
・サイリスタ・トライアック |
・SiC-FET |
(ショットキー・バリア・ダイオード) |
・IGBTディスクリート |
・SiCパワーモジュール |
・FRD |
・IGBTモジュール |
GaNパワー半導体 |
(ファスト・リカバリー・ダイオード) |
・インテリジェント |
酸化ガリウムパワー半導体 |
・バイポーラパワートランジスタ |
パワーモジュール |
ダイヤモンドパワー半導体 |
・低耐圧パワーMOSFET |
・サイリスタモジュール |
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パワー半導体構成部材 |
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・SiCウエハー |
・CMPスラリー |
・窒化アルミニウム回路基板 |
・GaNウエハー |
・ダイボンディングペースト |
・アルミナ系回路基板 |
・酸化ガリウムウエハー |
・はんだ |
・窒化ケイ素回路基板・白板 |
・ダイヤモンドウエハー |
・シンタリング接合材 |
・金属放熱基板 |
・半導体レジスト |
・ボンディングワイヤー |
・放熱シート |
・バッファーコート膜 |
・封止材料 |
・放熱グリース |
・CMPパッド |
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パワー半導体製造装置 |
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・エピ膜成長装置 |
・レーザーアニール装置 |
・ダイボンダー |
・CMP装置 |
・ドライエッチング装置 |
・ワイヤボンダー |
・プラズマCVD |
・スパッタリング装置 |
・モールディング装置 |
・コータ/デベロッパ |
・洗浄装置 |
・ウエハー外観検査装置 |
・露光装置 |
・バックグラインダ |
・チップ外観検査装置 |
・イオン注入装置 |
・ダイシング装置 |
・電気テスタ装置 |
・熱処理装置 |
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