PRESSRELEASE プレスリリース

第24086号

製造装置・工作機械の世界市場を調査
― 2028年予測(2023年比) ―
■製造装置・工作機械の世界市場 29兆5,195億円(154.5%)
工場などの自動化・業務効率化やEV生産の進展に向けた設備投資の増加
●ダイカストマシン 3,810億円(173.2%)
自動車部品の軽量化や複数部品の一体成型の動きは続くとみられ、ギガキャスト対応製品が増加

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、中国や韓国電池メーカーの設備投資による蓄電池や次世代電池向けが好調な二次電池製造装置や、需要回復が期待される半導体製造装置、中国やアジアで需要増加が続く工作機械などの世界市場を調査した。その結果を「2024年版 マシンツール&半導体・先端デバイス製造装置マーケット総調査」にまとめた。

この調査では半導体製造装置(前工程)9品目、半導体製造装置(後工程)9品目、鍛圧機械・成形機10品目、二次電池製造装置9品目、工作機械10品目の市場の現状を明らかにし、将来を展望した。

◆調査結果の概要

■製造装置・工作機械の世界市場

製造装置・工作機械の世界市場

製造装置・工作機械の世界市場は、2024年前半はEVや半導体市場の落ち着きによる設備投資控えを背景に半導体製造装置や工作機械の需要が低迷している。後半からは半導体市場の回復が予想され、設備投資も増加することで、市場拡大が予想される。

中長期的には、工場の自動化・業務効率化やEV普及に向けた設備投資の増加によって市場が拡大する。2028年には約30兆円規模が予想される。


半導体製造装置は、2024年は設備投資が停滞しているが、半導体市場が回復に向かうことで2025年以降は大きく伸びるとみられる。特に、前工程では露光装置やドライエッチング装置、後行程ではウェハー外観検査装置や電気テスター装置が大きく伸長すると予想される。


二次電池製造装置は、EV化による二次電池の需要増加に伴い市場は拡大してきた。中国における車載用電池の生産能力過多、EV化の軌道修正などが懸念されるものの、蓄電池や次世代電池向けは好調である。また、中国および韓国電池メーカーによるグローバル生産拠点への設備投資も続いており、2024年の市場は拡大が予想される。今後も、中国や韓国電池メーカーの設備投資は続くとみられ、2028年の市場は2023年比2.1倍が予測される。

エリア別では、大手電池メーカーの拠点が多数存在し、製造装置の国産化を進めている中国向けが最も多い。また、中国や韓国電池メーカーの設備投資を背景に、欧州や米州でも伸長している。また、日本は次世代電池向けの設備投資増加による伸びが期待される。


工作機械は、2024年の前半は、前年から続くEVや半導体市場の落ち着きによる影響がみられた。一方、後半からは半導体分野での需要回復により、市場は前年と同等程度になると予想される。2025年以降は、EVや半導体市場が回復に向かうとみられるほか、中国経済の回復やインドなど新興市場での需要増加を背景に、中長期的には市場拡大が予想される。

エリア別では、中国での需要が大きい。5軸加工機やターニングセンター、グライディングセンターなどは、日本や米州、欧州向けが大きい。また、多数の参入メーカーが新工場設立や販路の拡充を行っているためインドやその他アジアも伸長しており、今後も伸びが続くとみられる。

◆注目市場

●ダイカストマシン【鍛圧機械・成形機】

ダイカストマシン【鍛圧機械・成形機】

溶けた軽合金(アルミニウム合金)などを金型に充填し、自動車部品などの金属製品を成形する装置である。

EVを中心に自動車向けが8割弱を占め、複合部品やボディなどの一体成型を行うギガキャスト案件の増加により需要が増加しているため、2024年の市場は前年比11.8%増が見込まれる。

EV化の軌道修正による影響が懸念されるものの、部品の軽量化や複数部品の一体成型の動きは続くとみられ、引き続きグローバルでギガキャスト案件は増加すると予想される。ギガキャスト対応機は欧州メーカーや中国メーカーが先行しているが、日系メーカーでも取り組みがみられ、今後は、機種の増加とともに市場拡大が予想される。

●樹脂3Dプリンター、金属3Dプリンター【鍛圧機械・成形機】

樹脂3Dプリンター、金属3Dプリンター【鍛圧機械・成形機】

樹脂3Dプリンターは、熱可塑性樹脂やUV硬化樹脂などを材料とし、3D CADの設計データを基に、スライスされた2次元の層を1枚ずつ積み重ねていくことで立体モデルを製作する産業用製品である。自動車関連用途が最も多く3割程度を占める。

自動車の軽量化に加え生産体制やサプライチェーンの見直しなどにより、設計、製造プロセスの効率化が進み、部材変更が増えているため、対応がしやすいこの製品の需要が増加している。2024年の市場は、前年比11.3%増が見込まれる。

今後は、民生機器や医療機器向けの試作検証用途で導入が増加するほか、メーカー間のM&Aなどを背景とするアライアンスの活発化もみられ、比較的安価な小型機を中心に、引き続き市場は拡大するとみられる。


金属3Dプリンターは、金属素材を材料とし、3D CADの設計データを基に、スライスされた2次元の層を1枚ずつ積み重ねていくことで立体モデルを製作する産業用製品である。

2021年以降、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和され、設備投資の再開とともに、欧州や米国などで自動車や航空・宇宙向けが伸びている。また、義足や人工関節などの医療デバイスでも需要が大きいことから、2024年の市場は2,100億円が見込まれる。

今後は、電動車の普及とともに、合金パイプやバーナーなど自動車部品向けが伸長する。自動車や航空・宇宙、医療関連向けに加え、小型機の医療関連向けの大幅な需要増加が予想され、市場拡大に繋がるとみられる。日本は、従来の設計や製造プロセスが中心となり、3D設計への切り替えが遅れているものの、試作品や研究開発用途で利用が増加すると予想される。また、中国では、ローカルメーカーの参入によってデスクトップ型など小型機が増加するとみられる。

◆調査対象

半導体製造装置(前工程)
・エピ膜成長装置
・CMP装置
・成膜装置
・コーター/デベロッパー
・露光装置
・イオン注入装置
・ドライエッチング装置
・スパッタリング装置
・洗浄装置

半導体製造装置(後工程)
・バックグラインダー
・ダイシング装置
・ダイボンダ
・ワイヤボンダ
・フリップチップボンダ
・モールディング装置
・ウェハー外観検査装置
・ハンドラ
・電気テスター装置

鍛圧機械・成形機
・機械式プレス機
・タレットパンチングマシン
・ベンディングマシン
・パンチレーザー複合機
・造粒機
・押出成形機
・射出成形機
・ダイカストマシン
・樹脂3Dプリンター
・金属3Dプリンター

二次電池製造装置
・ミキシング装置
・コーター
・プレス装置
・スリッター
・巻回装置
・積層装置
・タブ溶接装置
・組立装置
・注液装置

工作機械
・マシニングセンター
・5軸加工機
・NC旋盤
・ターニングセンター
・NC研削盤
・グライディングセンター
・NC放電加工機
・板金レーザー加工機
・NC歯車加工機
・ハイブリッド複合加工機


2024/9/20
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