PRESSRELEASE プレスリリース

第25053号

ペットオーナーのコスト意識の高まりを受けた参入企業の対応が注目される
ペットフード・ペットケア/生活用品の国内市場を調査
― 2027年予測(2024年比) ― 
■ペットフード・ペットケア/生活用品の国内市場 6,660億円(5.2%増)
大部分を占めるペットフードが拡大をけん引するが、伸び率は年々低下
●ペット家電 63億円(21.2%増)
見守りカメラや自動給餌器/給水器、バリカン・グルーミング機器などを中心に伸びが続く

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 社長 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、ペットオーナーのコスト意識の高まりを受けて、参入企業による買い得感のあるマルチパック商品の展開や、高価格でも購入に結び付くオリジナリティのある付加価値商品開発への取り組みが活発化しているペットフード・ペットケア/生活用品の国内市場を調査した。その結果を「2025年 ペット関連市場マーケティング総覧」にまとめた。

この調査では、ペットフード10品目、ペットケア用品10品目、ペット生活用品10品目の市場について、現状を捉え、将来を予想した。また、ペット関連の注目市場として、ペット保険や糞処理袋、ペット用リビング用品、ペット家電を取り上げた。

◆調査結果の概要

■ペットフード・ペットケア/生活用品の国内市場

ペットフード・ペットケア/生活用品の国内市場

2024年の市場は、各カテゴリーの伸長により前年比3.7%増となった。前年の伸びは下回ったものの、ペットフードが、市場拡大をけん引し、ペットケア/生活用品も、堅調だった。2023年までは全般的な商品値上げをペットオーナーが許容する傾向にあったが、直近はコスト意識が高まっていることから、参入企業は買い得感のあるマルチパック商品の展開や付加価値商品の開発に注力している。2025年以降もプレミアムフードやスナックを中心としたペットフードの伸びや、ペットケア用品とペット生活用品の堅調な需要により、市場は小幅ながら拡大が続くとみられる。

ペットフードは、フードのほかスナックやサプリメント、療法食なども含む。2023年は各社による大幅値上げがプラスに働いたことから市場は前年比11.9%増となった。2024年の市場は価格改定が落ち着いたことにより伸びは鈍化したものの、キャットフードの堅調な需要がけん引し前年比4.5%増の4,931億円となった。
キャットフードは、スタンダードフードからプレミアムフードへのスイッチが続いており、単価上昇により好調である。2025年以降も市場をけん引するものの、スタンダードフードが安価なPB商品に一部需要流出していることなどから、伸び率の低下が予想される。ドッグフードはドライフードではプレミアムフードが好調であるが、ウェットフードやセミモイストフードが苦戦しているため、今後横ばいが続くとみられる。スナックはキャットスナックと犬用ガムの堅調な伸びが予想される。サプリメントは海のスーパーフードともいわれているモエギイガイ抽出物を配合した商品の好調や、動物病院ルートで医薬品と併せた商品の提案などにより、今後も伸びが期待される。
販売チャネルは、ホームセンターと通販で5割以上を占めている。ペットオーナーの節約志向により安価な商品を展開する総合ディスカウントストアでの販売も伸びている。

ペットケア用品は、猫砂とトイレ/トイレ用シーツで8割弱を占め、2024年の市場は前年比1.3%増の917億円となった。ペットオーナーの節約志向の高まりにより低価格商品やPB商品へのシフトがみられるが、一方で高額商品も一定の需要を獲得しているため、今後も市場はほぼ横ばいと予想される。好調なのはデンタルケア用品であり、参入メーカーによる啓発活動や製品ラインアップの充実化により、今後の伸びが期待される。
販売チャネルは、売り場面積の広いホームセンターや利便性の高い通販で6割以上を占める。また、しつけ剤やイヤークリーナーなどは、使用法の説明を受けるためペットショップで購入するケースも多い。

ペット生活用品は、2024年は飼育頭数の減少やペットオーナーの節約志向により耐久消費財である首輪や引紐、ブラシ/クシなどの買い控えがあったため苦戦した。また、暖冬の影響を受けてマットやヒーターなどの季節商材の需要が低迷した。一方、外出機会の増加によりキャリーが大きく伸び、また、ペットの家族化を受けて衣類が好調だった。今後も耐久消費財を中心に節約志向の影響を受けることから、市場は停滞するとみられる。
販売チャネルは、ホームセンターが主軸であるが、近年はキャリーや衣類、水槽などの品揃えが豊富な通販が伸びている。また、初めてのペット購入者によるペットショップの利用が多い。

◆注目市場

●ペット家電

ペット家電市場規模

ペット用見守りカメラ、自動給餌器・給水器、猫用自動トイレ、ペット用脱臭機、ペット用バリカン・グルーミング機器、ペット用ドライヤールーム、ペット用ヒーターを対象とする。
単身や共働き世帯のペット飼育率が上昇したことや、ペットの家族化によりペットへの支出額が増加していることから、飼育の際に利便性が高いペット家電の購入が増えて市場は拡大してきた。2024年は大手家電量販店や大手家具店の参入もあり、市場は前年比13.0%増となった。2025年以降も積極的な商品開発や、参入各社の販促活動により、堅調な拡大が予想される。

市場規模が大きいのは、ペット用見守りカメラや自動給餌器/給水器である。ペット用見守りカメラは、海外メーカー品を中心に比較的安価で展開されている商品が多く、普及が進んでいる。自動給餌器/給水器は、ペットの留守番が浸透したことにより需要が増えている。自動給餌器は犬、自動給水器は水分不足が病気に直結する猫の使用が多い。近年はペットに対するヘルスケア意識の高まりや、カメラや音声録音など様々な機能が付いた製品の展開も進んでいる。また、ペット用バリカン・グルーミング機器は、トリミング料金の上昇によりサロンでの手入れ回数を減らすペットオーナーが増加しているため伸びている。また、参入企業の積極的なプロモーション活動による認知度向上がユーザーの広がりに貢献している。

販売チャネルは、サイズが大きい製品もあるため、自宅へ配送され品揃えも豊富な通販が6割を占めている。また、家電量販店でペットの見守りカメラや自動給餌器などの取り扱いが増えており、新たな購入チャネルとして注目される。

●デンタルケア用品

デンタルケア用品市場規模

ホームセンターやペットショップなどの一般小売ルートで販売されているデンタルケア用品(歯磨きジェル、ペースト、歯磨きシート、歯ブラシ、口臭予防スプレー、飲水添加タイプなど)を対象とする。

ペットのデンタルケアへの関心度の高まりや、メーカーによる販促活動の強化、製品ラインアップの充実化が進んだことから、市場は拡大が続いており、2024年は前年比5.6%増となった。ペットのデンタルケア実施率はまだ低いため、市場拡大の余地は大きい。参入企業は実施率を高めるための啓発活動を積極的に進めており、また、デンタルケア訴求のスナックや玩具(ともに市場対象外)の購入増加に伴うデンタルケア意識向上が、ケア用品の購入につながる効果も期待されるため、今後も順調な市場拡大が予想される。

販売チャネルは、ペットショップとホームセンターの店頭販売が中心である。また、初回購入時にペットショップで説明を受けて、以降は通販で購入するケースも多く、通販は今後有望な販売チャネルである。

◆調査対象

ペットフード

・ドッグフード
・キャットフード
・プレミアムフード
・スナック
・観賞魚用フード
・小鳥観賞鳥用フード
・小動物用フード
・サプリメント
・ミルク
・療法食

ペットケア用品

・猫砂
・トイレ/トイレ用シーツ
・オムツ
・ペット用トイレタリー
・しつけ剤
・消臭剤/脱臭剤
・防虫剤/殺虫剤
・シャンプー類
・イヤークリーナー
・デンタルケア用品

ペット生活用品

・首輪/胴輪/引紐
・ベッド/マット/ヒーター
・ケージ/サークル/ゲート
・キャリー
・ブラシ/クシ
・食器/給水器
・玩具
・衣類
・水槽/周辺器具/水質調整剤
・家庭用ペットバリカン

ペット関連注目市場

・ペット保険
・糞処理袋
・ペット用リビング用品
・ペット家電


2025/5/23
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。