PRESSRELEASE プレスリリース

第26018号

xEV向け電池市場を調査
― 2025年のメーカーシェア見込 ―
◆駆動用液系LiB 中国系メーカー77.4%、韓国系17.7%、日系4.5%
韓国系、日系は主要顧客である北米市場での需要停滞を受け、引き続きシェア低下

― 2040年の世界市場予測(2024年比) ―
■xEV向け駆動用電池 47兆751億円(2.6倍)
短期的には関税政策の影響を受けるが、中長期的には生産拠点拡大が進展する
液系LiB(液系リチウムイオン二次電池)がけん引

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、世界的に実施・計画されているエンジン搭載車の販売規制などを背景にxEV需要の増加が予想されるなか、アジアや欧米など、各国・地域で積極的な投資や生産拡大が進む車載電池の世界市場を調査した。その結果を「xEV・車載電池・電池構成部材市場の現状と将来展望 2026」にまとめた。

この調査では、エリア別、種類別、メーカー別にxEVを含む自動車、車載電池、車載電池構成部材の市場を把握し、将来を展望した。車載液系LiB(液系リチウムイオン二次電池)、車載液系LiB用構成部材についてはコスト分析なども行った。また、各国の政策動向についても整理した。

◆注目市場

1.駆動用液系LiBのメーカーシェア(新車搭載容量ベース)

駆動用液系LiBのメーカーシェア(新車搭載容量ベース)

メーカーシェアをメーカーの本社所在地によって国別に集計した。2024年のxEV向け駆動用液系LiB市場における中国系メーカーのシェアは、前年から4.0ポイント増加した。一方、韓国系は2.5ポイント、日系は2.0ポイント減少した。2025年も韓国系、日系メーカーは主要顧客である北米市場での需要停滞を受けるなど、さらにシェアを落とすとみられる。

中国系メーカーは低コスト性に加え、近年は技術面でも日韓メーカーに先行する領域があり、従来に比べ信頼性も向上している。一方、安全保障上のリスクから中国系メーカーからの調達を不安視する自動車メーカーの方針もあり、各国政府による原産地規則強化に向けた政策も進展している。これにより、中長期的には日韓メーカーや欧米を中心としたメーカーによるシェア拡大も予想される。特に、複数の大手自動車メーカーが本社を置く日本、米国、ドイツやその周辺国は、既存・新規の液系LiBメーカーの事業拡大が想定される。

2.駆動用液系LiB正極活物質のメーカーシェア(新車搭載容量ベース)

駆動用液系LiB正極活物質のメーカーシェア(新車搭載容量ベース)

メーカーシェアをメーカーの本社所在地によって国別に集計した。正極活物質は液系LiB以上に中国系メーカーのシェアが高くなっている。特に、LFP(リン酸鉄リチウム)系正極活物質については、中国系メーカーの価格競争力や技術優位性が高い。

中国系メーカーがLFP系で先行できたのは、LiFePO4+C Licensingが保有する主要なLFPの基本特許を、中国国内での製造・販売にはライセンス料を支払わずに利用できたためである。2022年には主要な基本特許権存続期間が満了したことで、中国国外での製造・販売も解禁され、中国系メーカーのシェア拡大に拍車をかけている。マンガンリッチ系正極活物質などの対抗馬の開発も進められているものの、当面はLFP系が主流になるとみられことから、中国系メーカーは高いシェアを維持すると予想される。

3.LiB生産能力と駆動用液系LiB生産量

LiB生産能力と駆動用液系LiB生産量

※1:生産能力は主要メーカーの生産能力合計。2030年以降は、同一の値を採用。車載向け以外、固体電池を含む可能性あり。※2:生産量は需要量(新車搭載容量ベース)

2024年時点の液系LiB生産能力は、3,568.6GWh、対する生産量は899.4GWhであり、需要を大きく上回る生産能力が確保されている。2040年には、生産量は3,539.9GWhが予測されるが、生産能力を2030年と同一とした場合でも稼働率は32%(生産量/生産能力)と、生産能力過剰になるとみられる。

4.EV向け駆動用液系LiBコスト(パックコスト)の分析

EV向け駆動用液系LiBコスト(パックコスト)の分析

パックコストにおけるセルコスト比率は、セル積載効率の改善やセルサイズの大型化に伴う部品点数の削減などによって70%を超えている。今後もセルコスト比率は微増推移が想定される一方、三元系に比べ体積エネルギー密度が低いLFP系の採用比率上昇が進むため、市場平均のセルコスト比率としてはほぼ横ばいが予想される。

セルコストにおける液系LiBの材料コスト比率は、2024年で53.4%と過半を超える。今後、セル製造工程における高効率製造装置の採用に伴う組立コストの低下、人件費や地代の低いエリアでの生産拡大などが予想されることから、相対的に材料コスト比率が上昇するとみられる。

◆調査結果の概要

●xEV向け駆動用電池の世界市場

xEV向け駆動用電池の世界市場

2024年の液系LiB市場は、中国のPHV、EV市場の伸長を背景に拡大した。日本、欧州、ASEAN・東アジアではEV向けが停滞したものの、北米、インド、その他国・地域では増加した。中国では、電池搭載容量が大きいSUV型EVの需要が増加したこと、PHVにおいてEREV(PHVに分類される、発電用の小型エンジンを搭載したEV)化が進展したことなどが寄与した。今後市場は、短期的には関税政策の影響が拡大阻害要因になるとみられる。中長期的には北米や欧州などの自動車生産地における液系LiB生産拠点拡張の進展が市場拡大に寄与すると予想される。

NiMH(ニッケル水素電池)市場は、2023年以降、世界的なHV需要の増加に伴い拡大している。LiBより低密度ではあるものの、安価であり、需要が継続している。特に、低温時の放電性能が高いことから、寒冷地仕様の4WD系HVを中心に底堅い。市場は、日本や欧州、中国などで生産されるHVでの液系LiBの採用増加に伴い、2030年以降縮小に転じると予想される。特に、小型車などでは、エネルギー密度で優位な液系LiBの採用が増えるとみられる。一方、北米など中大型HV生産が中心のエリアでは2030年以降も一定の需要が期待される。また、コスト優位性や耐熱性能などの観点から、新興国などでも継続的な需要が予想される。

SiB(ナトリウムイオン電池)は、エネルギー密度が低いため、駆動用としては2025年時点では小型EVやPHVへの搭載がみられる。液系LiBと比較して低温での作動能力や急速充電能力に優れる。SiBと液系LiBの混合電池パックが開発されていることから、今後は高級車や寒冷地帯などへの展開のほか、急速充電ニーズに対応した展開が開始されるとみられる。

固体電池では、半固体LiB搭載車が2023年に中国で発売されて以降、複数車種に搭載されている。欧州では、高分子系全固体LiBがEVバスなどに搭載されている。全固体LiBは、自動車メーカーやLiBメーカーによる開発が中心である。量産開始およびEVへの本格的な搭載は2027年前後とみられる。液系LiBに比べ生産コストは高くなると想定されていることから、今後は小型EVで搭載容量を抑制した搭載や、価格受容性の高い高級EVへの搭載により市場形成が進むと予想される。

◆調査対象

1.自動車
1)xEV
・MHEV(マイルドハイブリッド自動車)
・HV(ハイブリッド自動車)
・PHV(プラグインハイブリッド自動車)
・EV(電気自動車)
・FCV(燃料電池自動車)
・xEVトラック
・xEVバス

2)その他
・ICEV/ISSV

2.車載電池
1)駆動用
・液系LiB(液系リチウムイオン二次電池)
・NiMH(ニッケル水素電池)
・SiB(ナトリウムイオン電池)
・固体電池(半固体LiB・全固体LiB)

2)始動用・補機用
・液系LiB(液系リチウムイオン二次電池)
・鉛電池
・EDLC(電気二重層キャパシタ)
・LiC(リチウムイオンキャパシタ)

3.車載電池構成部材
1)駆動用液系LiB向け
・正極活物質
・負極活物質
・電解液
・セパレータ
・正極集電体
・負極集電体
・正極バインダ
・負極バインダ
・導電助剤
・セル筐体

2)モジュール・パック構成部材
・バスバー材料
・バッテリーケース
・セル固定部材(エンドプレート・サイドプレート)


2026/2/20
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は富士経済グループ本社 広報部(TEL 03-3241-3473)までご連絡をお願いいたします。