PRESSRELEASE プレスリリース
●ヒューマノイドロボット(二足歩行型) 6兆円(92.3倍)
2035年頃から本格的に普及する見通し
人向けに設計された建物や設備など、既存のロボットが導入できない環境への導入に期待
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 代表取締役 菊地 弘幸 03-3241-3470)は、物理空間で自律的に動くフィジカルAI技術が進展し、ロボットに実装されることで飛躍的な市場拡大が期待されるヒューマノイドロボットやその注目構成部材の市場を調査した。その結果を「2026年版 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 ヒューマノイドロボット・部材編」にまとめた。
この調査では、ヒューマノイドロボット3品目(二足歩行型、四足歩行ロボット、車輪型)に加え、フィジカルAI実装が有望視されるFAロボット4品目、サービスロボット6品目の最新の動向を捉え、将来を展望した。また、ヒューマノイドロボット普及の要素として、精度や耐久性向上、専用品の開発などが求められている注目構成部材18品目についてもまとめた。
◆注目市場
●ヒューマノイドロボットの世界市場

ヒューマノイドロボットは、フィジカルAIの代表的な実装先と目され、労働力不足や高齢化、人件費上昇といった課題の解決手段の一つとして実用化の期待が高まっている。現状は、開発・実証やエンターテインメント用途での活用がメインであるが、将来的には、FA(Factory Automation)/サービス分野やレスキュー、一般家庭などシーンを超えた幅広い活躍が予想される。
一つのハードで様々な業務に対応できる究極の汎用ロボットともいわれるが、現状は、アプリケーションを絞って開発が進められている。汎用化や普及拡大に向けては、汎用AIの性能、歩行や制御の安定性、ロボットハンドの器用さといった性能面の向上が求められるほか、量産体制や部品供給網の確立、費用対効果の明確化なども課題である。
二足歩行型は、人向けに設計された既存の建物や設備、治具などを大きく改修する必要がなく、従来型ロボットでは作業が困難な領域への導入が期待される。現状は研究開発や実証段階にあり、本格的な普及は2030年以降とみられる。量産化により、工場や物流倉庫といった環境条件を限定しやすい用途から導入が始まり、中期的には医療・介護や一般家庭、将来的には複数作業に対応する汎用作業ロボットとして用途が広がることで市場をけん引すると予想される。
四足歩行ロボットは、軍事用途製品や6脚タイプは対象外とする。階段や段差、不整地、屋外・半屋外環境といった、車輪型で走行が難しい場所への導入が可能であるため、発電所やプラント、建設現場など人が巡回しにくい環境や危険環境での点検・監視での活用が期待される。市場は米国や欧州、中国のメーカーを中心に形成され、中国メーカーが低価格機の量産によって導入ハードルを下げて導入台数を増やしている。日本でも海外製品の導入が中心であったが、防災、公共インフラ、プラント点検といったセキュリティ性や保守対応が求められる用途で国産機のニーズが高まっている。将来的には自律走行性能の向上や遠隔監視、AI異常監視などの高度化により、屋外や不整地、危険環境での巡回・点検ロボットとして展開が広がるとみられる。
車輪型は、車輪による移動と双腕作業の組み合わせにより、搬送やピッキング、案内、軽作業などにおいて、従来型ロボットでは対応しにくい作業領域を担うことが期待される。段差への対応力は限定されるが、転倒リスクの低さや制御しやすさが利点となり、比較的早期に市場が確立するとみられる。工場や物流施設、商業施設といった走行環境を管理しやすい環境から導入が進み、2040年の市場は2兆円を超えると予測される。
●精密制御減速機【部材・駆動部】

主に産業用ロボット向けに使用され、停止と移動を制御する役割を持つ。日本や欧州メーカーのシェアが大きい市場であるが、近年はアジアの新興メーカーがコストと納期を強みに競争力を高めつつある。
ロボット市場のトレンドに左右されるため、2023年から2024年はコロナ禍後の需要急回復の反動や、世界的な景況感の悪化を受けて市場は低調であった。その後、日本や中国でのロボット需要回復や、生成AI需要に向けた半導体関連の設備投資の増加で工作機械、半導体製造装置といったセット機械向けの受注が上向き、2025年以降市場は拡大し短期的には安定成長が予想される。
現状、ヒューマノイドロボット向けの需要は限定的であるが、FAロボットに比べ駆動軸の数が非常に多いため、ヒューマノイドロボットの普及で市場成長が一気に加速すると期待される。メーカーにおいては、より人間的で複雑な動きに対応すべく、駆動方式の見直しや新機構の開発が進められている。
◆調査結果の概要
■フィジカルAI実装が有望視されるロボットの世界市場(対象13品目)

AIが物理空間で動くことができるフィジカルAIの普及により、ロボットの進化や市場拡大が期待されている。各ロボットの内、フィジカルAI実装が有望視されるロボット13品目を対象とした。現状、この市場の主体はサービスロボットとFAロボットであり、ヒューマノイドロボットの構成比は約10%に留まる。2030年以降、ヒューマノイドロボットが急速に普及し、3035年頃にはサービスロボットを逆転するとみられる。
FAロボットは、製造現場に広く導入されており、工場の自動化を目指す上では不可欠であるため今後も堅調な伸びが予想される。将来的にはフィジカルAIの実装で自律的に判断し作業することが可能になり、ヒューマノイドロボットとの共存・協働も期待される。
サービスロボットは、人手不足による省人化ニーズが高い領域を中心に導入が進んでおり、2026年時点では市場成長をけん引している。今後も、配膳や配送、警備、清掃など施設内サービスを中心に展開を広げ、市場拡大が続くとみられる。
普及に伴い従来型のFA/サービスロボットからの置き換わりや協働が進むと想定される。短期的・中期的にはヒューマノイドロボットが従来型ロボットを補完する形で共存し、将来的には設備改修が難しい施設や多品種生産といった、一部の領域で置き換わりが予想される。例として、配送ロボット(施設内)においては、荷物のピッキングやエレベーターのボタン操作ができる車輪型ロボットが登場しており、一連の配送業務を自動化することができるため、コストを睨みながら置き換えが検討されるとみられる。また、一部では配送ロボットと車輪型を連携させて一連の動作を自動化する事例がある。コミュニケーションロボットにおいては、従来型ロボットが案内や受付、見守りなど定型的なシーンで活用され、ヒューマノイドロボットは、豊かな感情表現や身体表現を活かして展示会や文化・観光イベントなどでの補完的な活用が期待される。
◆調査対象
ロボットヒューマノイドロボット
・ヒューマノイドロボット(二足歩行型)
・セミヒューマノイドロボット(車輪型)
・四足歩行ロボット
FAロボット
・垂直多関節ロボット
・スカラロボット
・協働ロボット
・アーム付AGV
サービスロボット
・AGV/AMR
・配膳ロボット
・配送ロボット(施設内)
・警備ロボット
・業務用清掃ロボット
・コミュニケーションロボット
ロボット向け注目部材
駆動部
・ACサーボモーター
・DCブラシレスモーター
・精密制御減速機
・ロボットハンド
・ロボット駆動用アクチュエーター(ロータリ/リニア)
・転がり軸受(小径)
センサー
・カメラ(2D/3D)
・力覚センサー
・触覚センサー
・ToFセンサー
・ロータリエンコーダー
・LiDAR
構成部品・材料
・リチウムイオン電池
・ケーブル
・ソフトアクチュエーター
・樹脂/複合材料
・エラストマー/ゴム
・金属
