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電力小売全面自由化で新たな展開をみせる創エネ住宅とオール電化住宅の動向を調査

−創エネ住宅−
2013年度 太陽光発電システム導入の駆け込み需要で50万戸、累計では200万戸突破
2025年度予測 買取価格引き下げで伸びが鈍化も、太陽光発電システムは10戸に1戸普及


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、2016年度の電力小売完全自由化で電力会社が本格的に営業を再開させるオール電化住宅や太陽光発電システムがけん引役となり、普及の進む創エネ住宅の地域別の動向について調査を実施し、その結果を報告書「2014年版 住宅エネルギー・関連機器エリア別普及予測調査」にまとめた。

◆調査結果の概要

1.創エネ住宅 (太陽光発電システムもしくは家庭用CHPを設置する住宅)

2013年度
2025年度予測
単 年
51.2万戸
60.1万戸
累 計
211.2万戸
670.2万戸

創エネ住宅市場は太陽光発電システムが中心となっている。2013年度は消費税増税前の駆け込み需要と、太陽光発電の余剰電力買取制度の買取価格が2014年度から大幅に引き下げられるとみられていたことから2013年度末にかけて太陽光発電システム導入の駆け込み需要が発生し、前年度比20.8%増の51.2万戸となった。

結果的に2014年度は1円しか下がらなかったものの、2015年度以降は太陽光発電の買取価格が大きく引き下げられるとみられることや、電気料金の需要家負担(付加金)の拡大により、経済産業省が総量規制(電力会社の買取量の上限を設定し、それ以上は価格を自由に設定できる制度)の導入を検討していることから、売電によるメリットが大きく減少するとみられる。一方で、システム価格の低下により2013年度にグリッドパリティを到達したという試算もあり、売電収益が減少したとしても需要家におけるトータルコストメリットは一定水準確保されると考えられる。今後も創エネ住宅は変わらず太陽光発電システムが中心となるものの伸びは鈍化し、2025年度は2013年度比17.4%増の60.1万戸が予測される。

また、エネファーム、エコウィルなどの家庭用CHP(Combined Heat and Power)も着実に拡大し、創エネ住宅数に占める割合も2013年度の9%から2025年度には35%へ、その内太陽光発電システムと併設するW発電も4%から10%に拡大すると予測される。 なお、累計の創エネ住宅数は2013年度に200万戸を突破し、普及率は4%となった。2025年度には累計で670.2万戸、普及率は13%となり、創エネ住宅をけん引する太陽光発電システムは住宅の10戸に1戸の割合で搭載されるとみられる。

2.オール電化住宅 (厨房・給湯に電気機器を採用した住宅 北海道・東北では空調も含む)

2013年度
2025年度予測
単 年
38.1万戸
45.3万戸
累 計
562.8万戸
1,029.4万戸

オール電化住宅は、東日本大震災を契機に2011年度以降縮小が続いているが、2013年度は消費税増税前の駆け込み需要で新築着工件数が増加したことにより、前年度比2万戸減にとどまった。しかし、新築住宅に対するオール電化の構成比は25%と前年度より4ポイントマイナスとなっており、依然としてオール電化住宅の採用率は低下している。

今後、電力会社が営業を本格的に再開するためには、原子力発電所の再稼働による電力需給の安定が必要と考えられている。九州電力の川内原子力発電所2号機が国の安全審査を通過し、他の原子力発電所も安全審査中であることから、原子力発電所の稼働が近々再開するとみられる。原子力発電所の再稼働、電力会社による新メニュー設定などを追い風に、一部の電力会社による段階的なオール電化の営業活動再開が予想される。

オール電化住宅は、新築では2015年度以降24万戸前後で推移し、縮小の大きな要因であった既築でも2014年度の12万戸を底に2025年度には21万戸まで回復し、長期的には新築、既築合計で2014年度の34.6万戸から、2025年度には45.3万戸が予測される。 なお、累計のオール電化住宅数は2012年度に500万戸を突破した。2025年度には1,000万戸を突破すると予測され、普及率は20%と5戸に1戸がオール電化住宅になるとみられる。

◆電力小売り完全自由化後の市場環境の変化と見通し

2016年4月からの電力小売全面自由化に向け、電力会社は顧客の離脱抑制に向けた新料金メニューや付加価値サービスの提案を計画している。新料金メニューでは、スマートメーターを利用し、需要家ごとの電力消費量を元に、各戸の料金単価を30分や1時間単位で変動させるリアルタイムプライスを戦略メニューとして位置づける電力会社が多い。

これにより、住宅においても電力消費量の負荷平準化メリットが拡大し、蓄電池やエコキュートなどの採用が進むとみられる。また、太陽光発電システムも日中の需要ピーク時に発電することで導入メリットが創出される。さらには創エネや蓄エネ機器、日中と夜間の電力消費量をリアルタイムに調整するHEMSの受容性が明確化され、オール電化に加え創エネ・スマート機器の市場拡大に寄与するとみられる。

一方、電力自由化に向けて都市ガス、LPガス、通信事業者などが市場参入に向けて動いている。しかし、現実的には電源を確保し、燃料を安価に調達できるエネルギー事業者以外の参入障壁は高く、結果的には既存の電力会社と一部の新電力による競合が発生する程度とみられる。

電力だけでなく、ガスの小売自由化の議論が進められており、LNG調達力のある電力会社による参入も予想されるが、電力、ガス、水道、通信などのサービスをセットで提案できる総合ユーティリティサービス事業を展開するには多くの規制緩和や業界再編が必要となる。

◆調査対象

地域区分
都道府県
調査対象
北海道 北海道 北海道電力、北海道ガス、他
東北 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、新潟県 東北電力、仙台市ガス局、他
関東 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県 東京電力、東京ガス、他
北陸 富山県、石川県、福井県 北陸電力、日本海ガス、他
中部 長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 中部電力、東邦ガス、他
関西 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県 関西電力、大阪ガス、他
中国 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 中国電力、広島ガス、他
四国 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 四国電力、四国ガス、他
九州 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県 九州電力、西部ガス、他
沖縄 沖縄県 沖縄電力、沖縄ガス、他

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。

 


2014/10/28
       
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