マーケット情報


新サービスの開発や海外事例の取り入れなど「ポストFIT」市場への対応が進む
再生可能エネルギー発電システムの国内市場を調査

−2020年度予測(2015年度比)−
再生可能エネルギー発電システム 1兆7,124億円(50.7%)、 風力発電システム 2,171億円(4.1倍)


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、再生可能エネルギー固定買取制度(FIT)により注目が集まる太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱発電システムの市場を調査した。その結果を報告書「FIT・再生可能エネルギー発電関連システム・サービス市場/参入企業実態調査 2016」にまとめた。

この報告書では再生可能エネルギーシステム関連の機器、サービスの市場も捉え、機器メーカー、サービス事業者、システムインテグレータなど、関連プレイヤーの取り組み事例を調査することで、FIT関連市場の全体像と将来動向を明らかにした。

2012年7月に始まったFIT以降、再生可能エネルギー発電システムの導入が急速なペースで進んできたが、設備認定を受けているほとんどが太陽光発電システムであり、市場には極端な偏りがみられる。こうした市場の偏りに対して、売電価格や制度運用の変更が繰り返され、2015年度以降、太陽光発電システムの新規設備認定が急激に減少している。

2017年度には新認定制度への移行が予定されており、運転開始済み、接続契約済み以外の案件は現行の固定価格買取制度に基づく認定が失効となるなど認定済み案件の事業化推進と未稼働案件の整理が進むとみられる。参入プレイヤー各社は新サービスの開発や日本より先行してFIT期間の終了を迎えた海外事例の取り入れなど、FITに変わる「ポストFIT」市場に向けた対応を進めている。

◆調査結果の概要

再生可能エネルギー発電システム市場


2016年度見込
2020年度予測
2015年度比
再生可能エネルギー
関連発電システム
3兆3,065億円
1兆7,124億円
50.7%
(太陽光発電システム)
2兆2,733億円
1兆0,583億円
35.3%
(風力発電システム)
1,003億円
2,171億円
4.1倍
(水力発電システム)
3,202億円
3,127億円
2.9倍

※太陽光発電、風力発電、水力発電は再生可能エネルギー発電システムの内数

2016年度の再生可能エネルギー発電システムの市場は5分野全体で3兆3,065億円が見込まれる。太陽光発電システムが市場の7割弱を占めているが、前年度より割合は減少した。2017年度より始まる新認定制度により、大型特別高圧案件を中心とした駆け込み着工が発生しており、2018年頃まではその竣工が続くとみられる。

太陽光発電システムは2014年度が市場のピークで、今後は縮小が続くとみられる。特に売電事業用の高圧/特別高圧案件が激減し、2020年度は2015年度比64.7%減の1兆583億円が予測される。

太陽光発電システムの市場縮小により、再生可能エネルギー発電システム市場は2016年度からマイナス成長が続くとみられるが、その他再生可能エネルギー発電システムでは、特に風力発電システムで中大型陸上風力発電システムの運転開始や、大規模な洋上風力発電所が複数計画されているなど、今後の市場拡大が期待される。水力発電システムは中小水力発電領域を中心に、2017年度まで市場が拡大するとみられる。また、バイオマス発電システムは2016年度から2018年度にかけて一般木質・農作物残さを主な燃料とする大型案件が予定されており市場拡大が期待されるが、その後縮小するとみられる。

未稼働案件(太陽光発電システム)の今後
未稼働案件の稼働可能性については、案件全体に対して稼働するのは多くとも4〜5割程度にとどまるとみられる。特に買取価格40円〜32円/kWhの低圧案件では、「事業計画が杜撰である」「地権者の同意が得られていない」などの要因で、電力会社との接続協議の見通しが立たず取り消しとなるが、高圧や特別高圧案件と比べると優先的に稼働が進むとみられる。

◆注目市場

1.太陽光発電併設蓄電池

2016年度見込
2020年度予測
2015年度比
市場規模
285億円
538億円
2.0倍

太陽光発電システムとの連携機能を有する鉛電池、リチウムイオン電池、NAS電池、レドックスフロー電池で、電力系統の安定化を目的として変電所などの系統側に設置される蓄電池以外を対象とする。太陽光発電併設蓄電池は、主に電力平準化や非常時のバックアップ電源として活用されている。近年は電力需要のピーク時に利用するピークカットや自家消費を目的とした製品も増加している。

住宅用蓄電池システムは当初新築戸建向けが大半を占めていたが、近年は太陽光発電システムを導入しているユーザーに対して集中的な販促が行われたことで、新築戸建以外の販路が開拓され、市場が拡大した。2016年度からは補助金制度が打ち切られたが、新たにZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の補助金が開始され、従来の補助金の代替となっている。今後太陽光発電による余剰電力の買取制度適用終了に伴う自家消費の広まりや、スマートメーター及びHEMSの普及や蓄電池システムのコスト低減などにより市場は拡大するとみられる。

公共・産業用蓄電システムは需要の大半がグリーンニューディール基金による補助金事業を介したものとなっており、出力10〜100kW程度の太陽光発電システムに併設されるピークカット、ピークシフトや停電対策を主目的とした10〜30kW程度の蓄電システムが中心となっている。補助事業が廃止・縮小する2016年度以降、市場は一時的に縮小するとみられる。今後、電力の自家消費用途を中心とした市場になるとみられるが、太陽光発電による電力や深夜電力を活用した負荷平準化や、ピークシフトについては住宅用以上にコストに対する要求水準が高いことから、大幅な導入拡大は難しいとみられる。

◆調査対象

太陽光発電
システム
関連機器 1.太陽光発電パネル、2.パワーコンディショナー、3.高圧/特別高圧受電設備、4.太陽光発電併設蓄電池
関連サービス 1.太陽光発電設備リース、2.屋根貸しサービス、3.太陽光発電遠隔監視サービス、4.太陽光発電メンテナンスサービス、5.太陽光発電保険サービス
SI/EPC 1.JFEエンジニアリング、2.三菱電機システムサービス、3.富士電機、4.明電舎、5.オムロンフィールドエンジニアリング、6.ネクストエナジー・アンド・リソース、7.新出光、8.九電工、9.日本ソーラーパワー、10.Looop
風力発電
システム
関連機器 1.風力発電機、2.風力発電併設蓄電池
関連サービス 1.風力発電保険サービス、2.風況調査・発電量予測サービス
SI/EPC 1.日立造船、2.日立製作所、3.三井造船
水力発電
システム
関連機器 1.水力発電機
SI/EPC 1.田中水力、2.八洲電機
バイオマス発電
システム
関連機器 1.バイオマス直接燃焼ボイラ、2.バイオマスボイラ用蒸気タービン、3.バイオガス発電機、4.木質バイオマスガス化発電装置
SI/EPC 1.タクマ、2.三井造船、3.月島機械
地熱発電
システム
関連機器 1.水蒸気発電プラント、2.バイナリー発電機
SI/EPC 1.コスモテック、2.第一実業

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2016/09/14
       
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