マーケット情報


電力は「関東」、ガスは「関西」が主戦場(家庭用など新規自由化領域)
電力・ガス自由化市場を調査

−新電力の販売電力量−
2017年度は2016年度から200億kWh弱の増加 低圧が特別高圧と同規模まで拡大
2025年度は2016年度比2.3倍の1,547.0億kWh 新電力シェア20%超え


総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、2016年度、2017年度と続けて全面自由化が進んだ電力・ガス市場における新規参入事業者各社の事業実績を集計・分析し、エネルギー自由化市場の全体像と将来動向を明らかにした。その結果を「電力・ガス・エネルギーサービス市場戦略総調査 2018 電力・ガス自由化市場総括編」にまとめた。

なお、主要新電力14社、注目新電力19社、新規ガス小売事業者(特定ガス導管事業者・ガス小売事業者)9社、旧一般ガス事業者7社の事業戦略など詳細な事例分析については、同時に発刊した「電力・ガス・エネルギーサービス市場戦略総調査 2018 電力・ガス自由化市場企業戦略編」でまとめている。

◆電力自由化市場の動向

電力の小売自由化は2000年度から特別高圧、2005年度から高圧と段階的に進み、2016年度に低圧が自由化されたことで、全面自由化が実現した。小売電気事業者の登録数は450件を超え、ガス、通信、小売、商社、住宅、鉄道、自治体、協同組合など、様々な業種の事業者が既存エネルギー事業者との連携などにより市場に参入している。

新電力販売電力量

※2013〜2016年度の販売電力量は電力統計調査(経済産業省)による

全面自由化初年度の2016年度は、低圧での新規獲得などにより、新電力販売電力量は前年度比65.1%増の664.0億kWhとなった。国内販売電力量に占める新電力の割合は7.8%となり、前年度から3ポイント上昇した。分野別には、新たに自由化された低圧では2.6%、既に自由化が進んでいた高圧では14.6%、特別高圧では5.9%の需要を新電力が獲得しており、特に高圧がのびた。2017年度は、前年度比27.8%増の848.7億kWhが見込まれ、国内販売電力量に占める新電力の割合は12%を超えるとみられる。

分野別には、特別高圧では旧一般電気事業者による大口需要家の取り返しや、新電力に対抗した安価な料金の提示などによる既存顧客の確保に注力していることから新電力が苦戦している。高圧では全面自由化に伴う認知度向上により、これまで電力会社の切り替えに関心のなかった小口需要家による切り替えが進んでおり、業務施設を中心に伸びが著しい。低圧では旧一般ガス事業者や通信事業者を中心に既存事業を活かした家庭向け顧客の囲い込みや業務施設を中心とした新規獲得が進んでいる。2017年度上半期は前年度同期比4倍以上の販売電力量を記録し、特別高圧と同規模まで需要が拡大している。

なお、エリア別には東名阪が8割程度(件数ベース)となっているものの、ほかのエリアでの需要獲得が進んでおり、3エリアの構成比は減少しつつある。

2025年度は、2016年度比2.3倍の1,547.0億kWhが予測される。これは2016年度の国内販売電力量(8,482.4億kWh)の18%にあたる。なお、国内電力販売量は人口の減少や省エネ機器・サービスの普及により今後も減少するとみられ、2025年度には新電力のシェアが20%を超えると予想される。

◆注目新電力の参入動向

1.旧一般電気事業者

グループ子会社を新電力として、もしくは参入エリアの旧一般ガス事業者と提携して域外参入するケースが多い。特に電力需要家が多い関東エリアへの参入が多く、低圧では沖縄電力以外の旧一般電気事業者が同エリアに参入している。また将来的な顧客獲得拡大に向けた域外での大規模電源開発を進める事業者も多い。

2.旧一般ガス事業者

自社供給エリアの顧客への電力とガスのセット売りが基本であり、自社供給エリアを越えた展開は想定していない事業者が多い。そのため、周囲の旧一般ガス事業者やLPガス事業者と提携する動きは一部にとどまる。ガス自由化に対する顧客の囲い込みという側面もあり、今後も積極的な営業提案が続くとみられる。

3.LPガス・石油製品販売事業者

自社グループの家庭用LPガス顧客をターゲットに、LPガス販売店網やガソリンスタンド網を活用して展開している。また、新電力の代理店となる事業者も多い。

4.地方自治体

民間企業との共同出資によって地域新電力を設立する事例が増えている。既存の新電力が設立や運営を支援していることが多く、伊藤忠エネクス、F-Power、NTTファシリティーズ、パシフィックパワーなどが挙げられる。事業スキームとしては太陽光発電を中心に廃棄物発電、小水力発電など近隣のFIT電力を調達し、公共施設向けに供給するケースが多いが、近年では家庭向けを展開する地域新電力も増えてきている。

5.生活協同組合

脱原発やエネルギー自給、CO2削減などの理念の下に再生可能エネルギー電力の普及と地産池消の推進を目的に、地域の生活協同組合が設立母体となり、グループ内で建設した太陽光や風力、バイオマスなどのFIT電力をグループ施設に供給するスキームが一般的である。また、組合員への提供サービスの一環として電力小売も行われている。電源規模は数千〜数万kW程度であるため、電力調達や需給管理を委託する事業者も多い。

◆ガス自由化市場の動向

ガスの小売自由化は1995年3月より段階的に対象範囲が拡大され、2017年4月に年間契約数量10万m3未満の需要家へのガス小売が自由化されたことで、全面自由化が実現した。なお、都市ガスのパイプラインは首都圏に集中していることから、東名阪などで競争が激化している。

家庭向けでの新規参入動向

旧一般電気事業者やLPガス事業者、一部の旧一般ガス事業者による越境参入などがみられるが、エネルギー事業者が中心である。家庭向けへの供給を行う・予定するガス小売事業者は15社程度にとどまっており、電力のような異業種からの参入の動きは鈍い。

1.旧一般電気事業者

2016年度の電力小売全面自由化により、ガス、石油をはじめとする異業種からの新規参入事業者に奪われた需要家を取り返すという意味でも積極的に顧客獲得を進めている。ガス小売事業者であるLPガス事業者などへの卸売、異業種事業者との代理販売契約など多角的なアプローチを進めている。

2.LPガス事業者

LPガス事業の継続という意向があるものの、長期的な人口減少により新規顧客の増加が期待しにくいことや、顧客の都市ガスや電化など他熱源へのシフトによる喪失を防ぐといった面から、参入する事業者が多い。

3.異業種からの参入

ガス小売事業者としてではなく、代理販売、取次販売などで参入するケースもみられる。

[参考]新規ガス小売事業者主要8社のガス販売量


◆調査対象

電力市場 小売電気事業者(新電力)、みなし小売電気事業者(旧一般電気事業者)
ガス市場 新規ガス小売事業者(特定ガス導管事業者、ガス小売事業者)、みなし小売事業者(旧一般ガス事業者)

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2018/01/31
       
上記の内容は弊社独自調査の結果に基づきます。 また、内容は予告なく変更される場合があります。 上記レポートのご購入および内容に関するご質問はお問い合わせフォームをご利用ください、 報道関係者の方は弊社グループ広報部(TEL 03-3664-5697)までご連絡をお願いいたします。