PRESSRELEASE プレスリリース
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋)は、2014年4月から6月にかけて、燃料電池車(FCV)などで利用される水素燃料と、水素ステーションをはじめとする水素供給インフラや関連機器といった水素燃料関連の国内市場を調査した。 その結果を報告書「2014年版 水素燃料関連市場の将来展望」にまとめた。
◆調査結果の概要
水素燃料関連国内市場
2015年度予測 |
2025年度予測 |
25/15年度比 |
|
金 額 |
291億円 |
5,228億円 |
18.0倍 |
2014年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画では水素が将来ガスや石油などのように、生活に密着する燃料の役割を担うことが期待されており、同年6月の水素・燃料電池戦略協議会によって、水素利用の具体的かつ着実な取り組みを進めるためのロードマップが示された。
水素ステーション建設が水素ビジネスの第一ステップとして進められており、これを利用する燃料電池車は、家庭用をはじめ普及が進む燃料電池の最大のアプリケーションとして、裾野の広い自動車産業の活性化と共に、日本経済への貢献が期待される。また、2020年の東京オリンピックでも定置用燃料電池や燃料電池車の活用が想定され、水素・燃料電池への注目は高まるとみられる。
市場としては燃料電池車の販売を前に、水素ステーションの建設が始まり、水素輸送用機器も含めインフラの市場が形成されている。2014年度中の燃料電池車販売開始により、車載用機器や水素燃料市場の拡大につながり、2018年度ごろから水素発電の市場が立ち上がることで、2020年度以降燃料電池車と水素発電の拡大と共に、水素燃料の需要が大きく増加し、市場は2025年度で5,228億円が予測される。
◆注目市場
1.水素ステーション
2015年度予測 |
2025年度予測 |
25/15年度比 |
|
数 量 |
47件 |
150件 |
3.2倍 |
金 額 |
141億円 |
401億円 |
2.8倍 |
水素ステーションは、ステーションにおいて水素の製造を行うオンサイトタイプと、ステーション以外で製造した水素を運搬しステーションで供給するオフサイトタイプ、オフサイトの中でも機能をパッケージ化しトレーラーに搭載した移動式に区分される。
2014年度の燃料電池車販売開始を前に、2013年度から3年にわたり100件を目標に商用水素ステーションの先行整備が、助成金交付と共に進められている。2015年度には新たに47件が建設され、累計で85件の水素ステーションが稼働する見通しである。しかし、燃料電池車の販売開始直後はユーザーが少なく水素ステーションの稼働率も低いことから、2016年度以降の市場は一時的ではあるものの縮小が予測される。
燃料電池車の量産モデルが投入され、年間の販売台数が10万台に達する2020年度以降、水素ステーションの整備が再び活発化し、2025年度には年間で150件(金額ベースでは401億円)が建設され、累計で950件の水素ステーションが稼働すると予想される。
なお、水素ステーションに関連する機器としては、水素製造装置、蓄圧器、水素コンプレッサ、水素ディスペンサ、プレクール装置、水素バルブ、水素センサなどがある。市場は水素ステーションの建設件数に連動し、2014年度から2015年度にかけて拡大し、2015年度で96億円、2025年度には15年度比3.1倍の298億円が予測される。
2.燃料電池車向け水素燃料
2015年度予測 |
2025年度予測 |
25/15年度比 |
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数 量 |
400万立米 |
11億8,400万立米 |
296.0倍 |
金 額 |
3.7億円 |
947億円 |
255.9倍 |
燃料電池車向け水素燃料の市場は、現状ではほとんど形成されていない。燃料電池車の市販化が始まる2014年度に市場が立ち上がり、量産モデルの投入により、2020年度以降大きく伸びると予想される。普及台数に比例して水素燃料の需要も高まり、2025年度の市場は数量ベースでは約12億立米、金額ベースでは947億円まで拡大すると予測される。
水素は非常に軽くエネルギー密度が低いことから高圧化して密度を高めるが、この高圧技術とそれに関わる機器のコストが高額となっている。水素ステーションなどでの水素燃料の販売価格を押し上げる要因となっており、今後の拡大には価格低減も必須となる。
なお、水素燃料市場の立ち上がりに際して、燃料電池車は重要なアプリケーションであるが、市場の規模拡大のためには、さらに有望な用途が必要となる。現在日本では原子力発電に代わるCO2排出量の少ない発電システムが求められており、水素発電が注目されている。水素発電は2017年度に実証用発電設備の建設が計画されており、徐々に拡大していくとみられる。2025年度には燃料電池車と水素発電向けを合わせた水素燃料市場は、19億立米、1,105億円が予測される。
3.水素輸送用・車載機器
2015年度予測 |
2025年度予測 |
25/15年度比 |
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| 水素輸送用機器 | 17億円 |
558億円 |
32.8倍 |
| 車載機器 | 39億円 |
2,115億円 |
54.2倍 |
水素輸送用機器は、輸送用容器がオフサイト式水素ステーションの増加に伴い、拡大が予測される。水素輸送船は海外から水素を輸入するパイロットプロジェクトの準備が進んでおり、スポット的ではあるものの市場を形成するとみられる。
載機器は、燃料電池車に採用される部品であり、燃料電池車の販売開始、需要増加によって市場が拡大するとみられる。水素センサは安全のために設置が義務付けられており、価格以上に信頼性への要求が高いことから単価の下落は起こりにくく、安定した伸びが期待できる。一方、高圧容器は2018年度以降の量産モデルの投入に伴い、関連部品も量産体制に入り、バルブなどの周辺機器の低コスト化が進むことで、大幅なコスト削減が期待される。
◆調査対象品目
水素燃料 関連市場 |
水素燃料 | 燃料電池車用、水素発電用 |
| 水素ステーション関連 | 水素ステーション、水素ステーション関連機器【水素製造装置(オンサイト)、蓄圧器、水素コンプレッサ、水素ディスペンサ、プレクール装置、水素バルブ、水素センサ(ステーション用)】 | |
| 水素輸送用機器 | 輸送用容器、水素輸送船 | |
| 車載機器 | 車載用高圧容器、水素センサ(車載用) | |
| 注目部品・技術 | 家庭用燃料電池改質装置、水素分離膜、水素発電 | |
その他 |
産業用水素、液体水素 | |
