PRESSRELEASE プレスリリース
空調・給湯機器の世界市場を調査
空調機器8兆8,552億円(21.9%増)日系メーカーが強いVRFは9,000億円強
給湯機器1兆9,250億円(18.6%増)エコキュート国内需要が2015年を底に復調
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、冷媒規制が一段と強化されることにより新たな対応が必要となるヒートポンプ機器を中心に、空調・給湯機器の市場を調査した。その結果を報告書「ヒートポンプ 温水・空調市場の現状と将来展望 2017」にまとめた。
この報告書では、住宅用空調機器4品目、業務・産業用空調機器7品目、住宅用給湯機器3品目、業務・産業用給湯機器3品目に加え、冷凍・冷蔵機器2品目、輸送関連2品目、計21品目の市場の現状を調査・分析し、将来を予測した。特にヒートポンプ機器については、規制により代替が進む冷媒の変遷も充実させた。
◆調査結果の概要
空調・給湯機器関連世界市場

2016年の空調機器市場は7兆2,627億円となった。ルームエアコン、パッケージエアコン/ビル用マルチエアコンがけん引しており、中国は需要の伸びが鈍化しつつあるものの、インドや東南アジアなど新興国の旺盛な需要が続き、2025年には2016年比21.9%増の8兆8,552億円が予測される。
2016年の給湯機器市場は1兆6,234億円となった。住宅向け給湯機器が燃焼式では貯湯式から瞬間式へ、電気式では電気温水器からヒートポンプ式給湯機へ移行しており、熱源を問わず高効率機器への需要が高まっている。また、住宅向け、業務・産業向けを問わず、需要の中心となる中国で中流層以上の需要を獲得していることや、欧州で省エネ機器導入推進の政策が行われていることもありヒートポンプ機器の伸びが期待される。
この他、冷凍・冷蔵機器、輸送関連を加えた全体市場は2016年13兆4,031億円となり、2025年には2016年比18.7%増の15兆9,147億円が予測される。
◆ヒートポンプ機器注目世界市場
1.ビル用マルチエアコン(VRF)
2016年 |
2025年予測 |
2016年比 |
|
市場規模 |
7,024億円 |
9,082億円 |
129.3% |
日本では、東京五輪に向けた都市開発などによる新築需要に加え、セントラル空調から個別空調のVRFへの切替需要もあり、需要は成熟しながらも2020年までは微増が予想される。これまでセントラル空調とVRFの棲み分けは延床面積1万m2程度であったが、3万m2でもVRFを採用するケースが出てきており、VRFの対応面積が広がっている。
海外では、中国、東南アジアでオフィスビルや店舗、ホテルといった本来の需要に加え、富裕層住宅向け空調として小型VRFが効率の高さから採用され、需要が伸びている。また、更新需要が中心となる欧州でも温暖化への影響という観点からセントラル空調からVRFへの切替がみられており、2025年には2016年比29.3%増の9,082億円が予測される。なお、セントラル空調とVRFの棲み分けは延床面積3,000〜5,000m2程度であり、日本と比較するとセントラル空調が優位にある。
2.住宅向けヒートポンプ式給湯機
2016年 |
2025年予測 |
2016年比 |
|
世界 |
2,340億円 |
3,000億円 |
128.2% |
日本 |
1,640億円 |
1,840億円 |
112.2% |
エコキュートをはじめとするCO2冷媒製品に加え、非CO2冷媒製品、ガスとヒートポンプのハイブリッド給湯機を対象とする。ヒートポンプ式ではない電気温水器(2016年世界市場:4,260億円)、ガスや石油を熱源とする住宅向け燃焼式給湯器(2016年世界市場:6,234億円)などと競合する。
日本では、東日本大震災以降エコキュートの縮小が続いていたが、2015年を底に復調している。また、更新需要の本格化や、電力小売全面自由化を契機とした一部電力会社による電化提案の再開などから今後も拡大し2025年には2016年比12.2%増の1,840億円が予測される。
海外では政策による支援がある中国と欧州が市場をけん引しており、今後も拡大が予想される。欧州の中では、電気料金の安いフランスの需要が多い。もとより電気温水器が普及しており、高効率のヒートポンプ式給湯機への移行が進んでいる。
日本ではCO2冷媒製品(エコキュート)が主流である一方、海外では非CO2冷媒製品が主流で、採用される冷媒はR410A、R134a、R22が中心となる。この他、日本では風呂文化が根付いているため容量6kW、海外はシャワーが中心のため容量3kWが主流といった違いがみられる。
3.冷凍・冷蔵ショーケース
2016年 |
2025年予測 |
2016年比 |
|
市場規模 |
8,380億円 |
1兆3,065億円 |
155.9% |
日本、北米、欧州はリプレースを中心として需要は成熟しているが、中国、東南アジア、ブラジルなどがけん引役となり、2018年には1兆円を突破、これ以降も拡大を続け2025年には2016年比55.9%増の1兆3,065億円が予測される。
中国の経済成長は鈍化しているものの、一般消費者の購買力は依然として強く、冷凍・冷蔵ショーケースを大量に設置する大型のスーパーマーケットやコンビニの出店が今後も続くとみられることや、出店地域も沿岸部から内陸部まで広がっていることもあり、需要拡大が予想される。インドや東南アジアは所得向上により家庭用冷蔵庫が普及し、冷蔵を必要とする食品や飲料を取り扱う小売店の増加もあり、中国以上に拡大が期待されるエリアである。
◆冷媒の変遷
2016年10月にルワンダ キガリで開催されたモントリオール議定書の第28回締約国会合で、これまでオゾン破壊係数を基に設定されていた冷媒規制を、地球温暖化係数(GWP)を基に進めることが、先進国のみならず、途上国も含め全世界で合意された(キガリ改正)。
特定フロン(CFC/HCFC)から代替フロン(HFC)への移行は進んでいるが、キガリ改正では現在使用される代替フロンの一部も規制対象となる。今後、HFCの中でもGWPの低い冷媒の採用や、HC・自然冷媒・HFOなどの次世代冷媒への移行を見据えた開発が進むとみられる。
エアコン分野における採用冷媒の変化(台数ベース)

エアコン分野では、2016年時点でルームエアコン、パッケージエアコン(PAC)/ビル用マルチエアコン(VRF)、ガスヒートポンプ(GHP)全ての品目で代替フロンのR410Aが主流である。日系メーカーのルームエアコンを中心に低GWPであるR32への切替が進んでおり、2025年にはR32の比率が半数を超えるとみられる。
冷媒量の多いVRFやGHPでは、R32は微燃性を有することからまだ採用に至っておらず、R410Aの採用は今後も続くとみられる。なお、VRFとGHPは日系メーカーが高いシェアを有する市場でもあり、日系メーカーの動向によって今後の冷媒が左右されるとみられる。
なお、エアコンやカーエアコンなどは既に次世代の冷媒がみえつつある一方で、チリングユニットやターボ冷凍機などのアプライド分野、冷凍・冷蔵ショーケースなどコールドチェーン分野は代替となる冷媒が定まっておらず、模索が続いている。
◆調査対象
電気 |
燃焼 |
||
| 空調 | 住宅 | ルームエアコン 地中熱利用ヒートポンプ 住宅向けヒートポンプ式温水暖房機 |
住宅向け燃焼式温水暖房機 |
| 業務・産業 | パッケージエアコン(PAC) ビル用マルチエアコン(VRF) チリングユニット ターボ冷凍機 蒸気/熱風発生ヒートポンプ |
GHP(ガスエンジンヒートポンプ) 吸収式冷凍機(冷温水発生器) 蒸気ボイラ(貫流ボイラ) |
|
| 給湯 | 住宅 | 住宅向けヒートポンプ式給湯機 電気温水器(貯湯式/瞬間式) |
住宅向け燃焼式給湯器 |
| 業務・産業 | 業務用ヒートポンプ給湯機 排熱回収ヒートポンプ |
業務用温水ボイラ | |
| 冷凍・冷蔵 | 冷凍・冷蔵ショーケース 自動販売機 |
||
| 輸送 | カーエアコン 電動自動車用カーエアコン |
||
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。
