PRESSRELEASE プレスリリース

第17125号

健康食品、医薬品などの成分・素材の国内市場を調査
−2022年予測−
生物由来有用成分・素材主要50品目2,572億円(2016年比21.0%増)

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、機能性表示食品制度の導入から2年が経ち、ますます注目されるサプリメントや健康食品および一般用医薬品、化粧品、医療用医薬品などの原料として使用される動植物由来などの天然成分を主体とした主要な有用成分・素材50品目の国内市場について調査した。その結果を報告書「生物由来有用成分・素材市場徹底調査 2018年」にまとめた。

この報告書では動物・植物由来の有用成分・素材について、今後ブレイクが期待される有望素材を新たに7品目を含む動物系12品目、植物系30品目、合成系8品目の国内市場の現状を分析し、将来を予想すると共に消費者の成分・素材の認知度や効果の体感性、美容健康機能に関する悩み・トラブルなどについてのアンケート調査を実施した。また調査した50成分・素材を機能性関与成分として届出受理されている機能性表示食品についてもまとめた。

◆調査結果の概要

1.生物由来有用成分・素材主要50品目市場



成長戦略のひとつとして国民の健康寿命の延伸が重点分野として掲げられている。健康を維持する手段として、生活習慣の改善や運動に加えてサプリメントで不足または必要とする成分を補給するスタイルが認知されてきていると共に、近年では日常の食生活においても機能性素材を摂取する意識が高まっており、機能性素材の需要はサプリメント向けだけでなく、徐々に一般加工食品に広がりつつあり、市場は拡大を続けている。市場を訴求機能・コンセプト別機能ごとにみると、今後成長が期待されるのは、「脳機能関連」「ロコモ・サルコペニア関連」「睡眠質向上・ストレスケア」「スポーツ関連」「抗疲労・滋養強壮」「美容関連」である。

2.注目の訴求機能・コンセプト別機能性成分・素材の動向

2017年見込
2022年予測
脳機能関連
247億円
303億円
ロコモ・サルコペニア関連
624億円
683億円
睡眠質向上・ストレスケア
35億円
48億円
スポーツ関連
125億円
148億円
抗疲労・滋養強壮
244億円
299億円
美容関連
553億円
605億円

「脳機能関連」「ロコモ・サルコペニア関連」は増加するシニア層のニーズに対応している。「脳機能関連」はDHA/EPAが市場の大半を占める。「ロコモ・サルコペニア対策」では、ヒアルロン酸やコンドロイチン、コラーゲン、BCAA、グルコサミンなどが市場をけん引している。また新たに注目が集まるHMB、エクオールなど素材市場の成長が期待される。

「睡眠質向上・ストレスケア」は複雑な現代社会を背景としたメンタルケア意識の高まりや、ストレスチェックの義務化により成長が期待される。機能性表示食品ではL-テアニンやGABA、アスパラガス抽出物で睡眠質改善、ストレスケアなどを訴求機能として受理されており、今後も需要は増加するとみられる。

「スポーツ関連」「抗疲労・滋養強壮」は、消費者におけるボディメイクや肉体強化、過労による疲労改善意識の高まりに加え、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを目前に、運動パフォーマンスの向上やリカバリーを訴求する素材としてサプライヤーが提案強化を進めていることから、伸長するとみられる。

美容関連では、価格以上に機能性を重視する女性やインバウンドなどの需要があり、特にヒアルロン酸やコラーゲン、プラセンタが市場をけん引してきた。しかしこれら素材の採用は一巡化していることから大幅な伸長は考えにくい。一方、セラミド、エラスチン、プロテオグリカンなどの素材は伸長が続くとみられる。

◆注目の市場

1.HMB

2017年見込
2022年予測
市場規模
14億円
27億円

HMBは必須アミノ酸であるロイシンの代謝産物であり、日本では2009年に食薬区分が改定され、一般食品として使用可能になったことでサプリメントをはじめとする食品での使用が増加している。2016年は肉体改造や体型を整える需要が増加し、ボディメイクサプリメント用途で市場が拡大した。2017年はタレントがプロデュースを手掛け、筋肉増加によるボディメイクを目的としたサプリメントがヒットし、市場は前年比4.7倍の14億円が見込まれる。しかし2016年から2017年にかけての伸長はブームによる一過性のものとみられ、今後市場の成長は徐々に落ち着くとみられる。

2.エクオール

2017年見込
2022年予測
市場規模
12億円
20億円

エクオールはスーパーイソフラボンと呼ばれ、大豆イソフラボンと同様に女性ホルモンに似た働きをし、更年期症状の改善や、メタボリック症候群の改善、コラーゲン生成促進など美容・健康に関する様々な機能を備えている。エクオールは市場の大半がサプリメント用途であり、更年期の女性をターゲットにした製品が多い。現在エクオールを扱う素材メーカーは大塚製薬とダイセルの2社であり、今後は素材メーカーがプロモーションを積極的に行い、素材の認知度が向上することで、市場は拡大するとみられる。

◆機能性成分・素材 消費者認知ランキング (n=10,000人)

順位
成分・素材
認知度
1位
コラーゲン
80.8%
2位
ポリフェノール
76.6%
3位
ローヤルゼリー
76.0%
4位
ヒアルロン酸
75.1%
5位
グルコサミン
73.7%

全国の18歳以上の男女1万人を対象に実施したアンケート調査による機能性成分・素材の認知度ランキングでは、100品目中、認知が過半数に達した成分・素材は24品目であった。機能性素材は、テレビや雑誌などのメディアの影響を受けやすく、特集が組まれることで認知度が一気に拡大する傾向がある。また最終製品メーカーにおける大規模広告も、消費者の認知度を左右している。

◆調査対象

動物系(12品目) イミダゾールジペプチド、エラスチン、肝臓加水分解物、機能性乳酸菌、グルコサミン、コラーゲン、コンドロイチン、DHA/EPA、ヒアルロン酸、プラセンタ、プロテオグリカン、ラクトフェリン
植物系(30品目) アスタキサンチン、アスパラガス抽出物、イチョウ葉、ウコン、エクオール、大麦若葉、オリーブ抽出物、ガルシニア、ギムネマ、GABA、桑葉、サラシア、セラミド、大豆イソフラボン、冬虫夏草、トコトリエノール、納豆菌培養エキス、ニンニク抽出物、ノコギリヤシ、ビルベリー、フコイダン、フコキサンチン、ホスファチジルセリン、ボタンボウフウ、マカ、ラフマ、リコピン、緑茶抽出物、ルテイン、レシチン
合成系(8品目) HMB、L-アルギニン、L-オルニチン、L-カルニチン、L-テアニン、クレアチン、コエンザイムQ10、BCAA

※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。


2017/12/25
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