PRESSRELEASE プレスリリース
外食産業14カテゴリー138業態の国内市場33兆9,416億円(0.5%増)
すし業態1兆7,094億円(1.1%増)、からあげ専門店197億円(49.2%増)
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋 清口正夫 代表取締役)は、14カテゴリー138業態の国内外食産業市場について現状を調査し、将来を予想した。その結果を「外食産業マーケティング便覧 2018 No.3」にまとめた。
この調査では、外食産業全体の市場動向に加えて、業態別成長性分析や注目外食企業事例、積極的に海外展開を進める日系企業の動向を捉えた。また、外食産業エリアマップでは全国10エリア別の外食市場規模、エリア別業態別市場規模、エリア別業態別企業シェアなどについても整理した。
◆調査結果の概要
外食産業14カテゴリー138業態の国内市場と店舗数/施設数
※棒グラフは国内市場、折れ線グラフは店舗数/施設数
2016年の市場は、市場規模の最も大きいテイクアウトが引き続き好調だったことに加え、ファストフードがハンバーガーの回復を受けプラスに転じたことにより、前年比0.8%増の33兆5,409億円となった。
2017年は、テイクアウトの堅調な需要や、ファストフードがハンバーガーや回転ずしの好調により伸びたため、料飲店などの縮小をカバーして、前年比0.7%増の33兆7,840億円となった。また、高齢者福祉施設給食が伸びている給食業態や、規模は小さいがエスニック料理や交通機関も好調だった。
2018年は、多くのカテゴリーが伸びるとみられ、前年比0.5%増の33兆9,416億円が見込まれる。ただし、料飲店やFR(ファミリーレストラン)、喫茶、日本料理などのカテゴリーは縮小するとみられる。
外食店舗数/施設数は、個人経営の店舗で後継者不足などの問題による廃業店も多いため、減少が続いている。
注目業態(すし業態、イタリアン業態、ステーキ業態)
1.すし業態
すし(テーブルサービス、カウンターサービス)、回転ずし、宅配ずし、テイクアウトずしを対象とする。全体の6割弱を占めるすしは縮小しているが、回転ずしが上位チェーンを中心とした積極的な出店により好調なため、市場は緩やかに拡大している。2017年は、すしは個人店の苦戦によりマイナスとなったが、回転ずしが上位チェーンによる積極的な出店により好調だったほか、宅配ずしが上位チェーンのメニュー改定による単価アップなどで回復し、市場は前年比1.3%増の1兆6,912億円となった。2018年は、回転ずしが引き続き好調であり、また、宅配ずしも上位チェーンが注力度を高め好調なことから、市場は前年を上回る見込みである。
2.イタリアン業態
イタリア料理、イタリアFR(ファミリーレストラン)、宅配ピザ、クイックパスタ・ピザを対象とする。2017年の市場は前年比0.6%増の6,242億円となった。イタリア料理店が積極的な出店攻勢により好調な上位チェーンがみられたものの下位チェーンの業績が低迷したためマイナスとなった。一方、イタリアFRや宅配ピザが上位チェーンを中心に好調で伸びたことにより、市場は拡大した。2018年は、引き続きイタリアFRや宅配ピザが上位チェーンの積極的な新規出店により伸びると予想されるため、市場拡大が見込まれる。
3.ステーキ業態
ステーキ・ハンバーグFR、ステーキ・ハンバーグレストラン、ステーキFF(ファストフード)を対象とする。牛肉の人気が続いており、市場は拡大している。2017年は、ステーキ・ハンバーグFRは、競合の激化から店舗の集約を進めるチェーンがみられたものの、上位チェーンが積極的な出店を進めたことにより伸長した。ステーキ・ハンバーグレストラン、ステーキ(FF)も上位チェーンの大量出店によりそれぞれ伸長しており、ステーキ業態市場の拡大に貢献した。2018年も上位チェーンによる新規出店の継続により、各業態の伸びが予想され、市場は前年比9.4%増の3,685億円が見込まれる。
◆注目成長市場 ※上記138業態には含まない
1.からあげ専門店
2017年 |
2018年見込 |
前年比 |
|
市場規模 |
132億円 |
197億円 |
149.2% |
からあげをメインに販売する店舗を対象とする。テイクアウトやデリバリー専門店は対象外とする。2013年頃までは、店内で食事ができるからあげ専門店は、特定エリアを除いてはみられなかったが、2014年以降に一部チェーンの積極的な出店が進み、2017年には各チェーンの出店攻勢により店舗数が増加し市場は前年比46.7%増の132億円となった。からあげは老若男女問わず人気メニューであり、加えて、家庭での揚げ物の調理頻度が減少していることから持ち帰りサービスを実施しているチェーンも多く市場拡大に貢献している。上位チェーンが積極的な新規出店を計画しており、2018年以降も市場拡大が予想される。
2.サラダ専門店
2017年 |
2018年見込 |
前年比 |
|
市場規模 |
21億円 |
24億円 |
114.3% |
オリジナルの定型サラダメニューだけでなく、豊富な野菜の中からカスタムオーダーができ、イートインスペースを設けている飲食店を対象とする。東京の人気エリアである六本木を中心に出店が進んでおり、メインターゲットは健康に気を遣うミドルクラス以上の消費者層とされている。サラダ専門店は以前からシンガポールやニューヨークでは健康志向を背景に話題になっていたが、国内では2016年に海外チェーンが参入を開始したことで市場が本格形成された。2017年は上位チェーンが旗艦店を持つに至り、六本木エリアでの出店を増やし、市場は前年比2.1倍の21億円となった。2018年は上位チェーンが積極的な新規出店よりも旗艦店を中心にした展開を進めているため、伸長率は落ち着く見込みである。今後の市場拡大の課題として、副菜の位置づけにあるサラダの概念を変えられるかがある。物足りなさを指摘する消費者も出てきており、マーケティング戦略に基づく話題作りが市場に影響を与えるとみられる。
◆調査対象
No.1収載業態 | ファストフード(20業態)、テイクアウト(16業態)、ホームデリバリー・ケータリング(8業態)、交通機関(5業態)、レジャー施設(9業態)、給食(7業態) |
No.2収載業態 | 料飲店(11業態)、ファミリーレストラン(9業態)、喫茶(10業態)、西洋料理(13業態) 、日本料理(15業態)、東洋料理(8業態)、.エスニック料理(3業態)、宿泊宴会場(4業態) |
注目成長市場 | からあげ専門店、サラダ専門店、台湾料理 |
注目外食企業事例 | 35社(リーディングカンパニー13社、ミドルステージカンパニー15社、アーリーステージカンパニー7社) |
海外における外食産業 | 日系企業4社 |
外食産業エリアマップ | 北海道、東北、関東、北陸信越、東海、関西、中国、四国、九州、沖縄 |
※一部の数字は四捨五入しています。このため合計と一致しない場合があります。