PRESSRELEASE プレスリリース

第19032号

Society 5.0関連の世界市場の調査

2025年予測(2017年比)
Society 5.0関連市場 16兆9,528億円(58.9%増)
通信デバイス関連市場 3兆2,505億円(2.7倍)
スマートフォンの5G対応により5G関連製品の大幅な伸長が期待される
LPWAチップ 6,300億円(572.7倍)
インフラモニタリングやスマートファクトリーの実現に向け、需要が増加

 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町 TEL:03-3664-5839 社長:田中 一志)は、新たな技術を取り入れ、経済発展や社会的課題の解決を両立していく社会「Society 5.0」の実現に関する電子部品の世界市場を調査した。

 その結果を「Society 5.0時代の注目電子部品 2019」にまとめた。

 この調査ではSociety 5.0関連市場として通信デバイス関連6品目、センサー関連9品目、給電/エナジーハーベスト関連5品目、受動部品関連7品目、基板関連8品目、制御デバイス関連4品目の電子部品を取り上げ、市場の現状を捉え、将来を展望した。

調査結果の概要
Society 5.0関連市場
Society 5.0時代の注目電子部品 2019:市場規模推移グラフ
 Society 5.0とは、2016年に内閣府で提唱された、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続き、日本が目指すべき超スマートな未来社会の姿である。これまでの情報社会は、人間が情報を解析することで価値を生んできたが、Society 5.0では、IoTで人とモノがつながることであらゆる情報を共有し、AIでの解析などにより必要な情報を見つけて分析し、ドローンや自動走行車・無人ロボットなどを自動制御することであらゆる課題の解決が期待される。今まさにIoTやロボット、AI、ビッグデータといった新たな技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立していくSociety 5.0の実現に向けて、準備が進められている。
 受動部品関連に続き、センサー関連と基板関連の市場はいずれも2018年に3兆円規模に達する見込みである。特に、センサー関連はスマートフォン、自動車、制御機器、AI関連機器で多く採用増が期待され、市場は拡大するとみられる。通信デバイス関連はこれらに次ぐ市場規模であり、スマートフォンの5G対応により5G関連製品の大幅な伸長が期待される。給電/エナジーハーベスト関連の市場は黎明期であることから規模は小さいが、今後ワイヤレス給電モジュール(電気自動車)の普及による急激な拡大が期待される。
注目市場
LPWA(Low Power Wide Area)チップ
 関連キーワード:ビッグデータ、超低消費電力無線、IoTモジュール、自立制御/スマートファクトリー

2018年見込2017年比2025年予測2017年比
80億円7.3倍6,300億円572.7倍
 LPWAは省電力で広域をカバーする無線通信技術であり、主にIoT用途で使用される。免許不要の周波数帯域を用いる規格(アンライセンスバンド)と、免許が必要な無線規格(ライセンスバンド)の2種類に大別される。
 LPWAは、超低消費電力無線を可能とするため、商用電源がない場所での使用や、通信データ量が小さく、低コストが求められるさまざまな用途において採用されている。インフラモニタリングやスマートファクトリーの実現のために、アンライセンスバンドを用いたLPWAチップを搭載するIoTモジュールの普及が進んでいる。また、このモジュールを医療機器や工場などに用いることで、得られるデータをビッグデータとして蓄積することができる。市場はアンライセンスバンドを用いたLPWAチップを中心に、急速に市場が拡大している。
 主な用途は電力利用状況の把握(スマートメーター向け)、物流やインフラのモニタリングである。スマートメーターはガスや水道事業において行政やガス会社が通信事業者と組んで実証実験を行うケースが増加している。物流は食品工場や輸送トラック、レストランなどの各拠点における食品温度の計測およびデータの集積などに活用される。インフラモニタリングは保守点検用途での需要が大きい。
5G RFモジュール 
関連キーワード:5G/高速通信、ビッグデータ、自動運転、AI機能、自立制御/スマートファクトリー

2018年見込2017年比2025年予測2017年比
6,437億円
 5Gは大容量通信、低遅延なネットワークの構築が可能な携帯電話の次世代規格で、RFモジュールは機器内の省スペース化や設計の簡素化、低コスト化を目的にデバイスを一体化した製品である。ここでは5G対応のRFモジュールを対象とする。
 製品開発が進められており、本格的に市場が立ち上がるのは2019年になるとみられる。スマートフォン向けを中心に市場は拡大し、主にハイエンド機種での採用が進むとみられる。そのほか、ノートPCやタブレット、モバイルルーター、ヘッドマウントディスプレイなどで採用が期待される。2021年頃からは自動車や産業機器で採用が始まるとみられる。自動車では自動運転レベル4以上に対応するため5G通信の搭載が進むとみられる。欧州の高級車を中心に採用が始まり、自動運転のレベルが上昇するにつれて、需要は増加するとみられる。
車載EthernetトランシーバーIC
 関連キーワード:5G/高速通信、自動運転、AI機能、低損失伝送

2018年見込2017年比2025年予測2017年比
43億円3.1倍511億円36.5倍
 車載ネットワークで使用されるEthernetトランシーバーICを対象とする。
 自動運転の高度化、ADASの増加、カメラやディスプレイ高解像度化により、車載ネットワークの高速化ニーズが高まっている。車載ネットワークは異なる車載LAN同士を変換制御するゲートウェイECUを中心に構成されており、今後はECU間の通信や協調制御などを行うDCU(ドメイン・コントロール・ユニット)の導入が進むとみられる。DCU間の相互通信を可能とし、協調動作を実現させる規格としてEthernetが注目されている。
 2018年の市場は前年比3.1倍と大幅な拡大が見込まれるが、車載ネットワークにおけるEthernetの使用率は低く、今後成長が期待される。2020〜2021年に最大10Gbpsの通信が可能なMulti-Gigが規格化され、同時に複数のDCUで協調動作するネットワークで使用が開始されるとみられる。コネクテッドカーやレベル3以上の自動運転車の増加に伴い、市場は拡大していくとみられる。
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