PRESSRELEASE プレスリリース
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫 03-3664-5811)は、熱のコントールを背景に高性能化が進んでいる断熱材、遮熱材、蓄熱・吸着材の国内市場を調査した。その結果を「断熱・遮熱・蓄熱市場の現状と将来展望 2019」にまとめた。
この調査では断熱材(18品目)、遮熱材(4品目)、蓄熱・吸着材(2品目)の市場を住宅、非住宅、自動車、機器・システムなどの用途分野に分け調査・分析した。
◆調査結果の概要
■断熱材、遮熱材、蓄熱・吸着材の国内市場

2018年度の断熱材、遮熱材、蓄熱・吸着材市場は8,557億円となった。住宅分野、非住宅分野といった建築用途が市場の70%強を占めておりけん引している。断熱材、遮熱材を中心にZEHの普及や改正省エネ基準/建築物省エネ法への適合義務化などを背景に、今後も安定的に市場は成長するとみられるが、リフォームでの需要獲得は課題の一つとなっている。参入企業の中ではリフォーム向けの製品を投入する動きがみられ、現状、耐震リフォーム・水廻りリフォームと断熱リフォームとのセット提案や壁を剥がす必要のないリフォーム向け製品も登場しており、需要喚起に向けた積極的な動きがみられる。
蓄熱・吸着材は蓄熱式暖房機や蓄熱式床暖房の需要が縮小しているものの、2019年に発表された医薬品の適正流通ガイドライン(GDPガイドライン)により、医療分野における定温輸送資材で潜熱蓄熱材の採用が増加しており市場は拡大している。今後は定温輸送資材向けの採用がさらに増加するほか、建材向けで普及促進が予想される。また、吸着材は低温排熱の熱源機器で採用が想定されており市場の拡大が予想される。
■用途分野別市場
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2019年度見込 |
2018年度比 |
2025年度予測 |
2018年度比 |
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住宅分野 |
5,720億円 |
105.6% |
6,565億円 |
121.2% |
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非住宅分野 |
1,088億円 |
106.0% |
1,049億円 |
102.2% |
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自動車分野 |
244億円 |
100.0% |
241億円 |
98.8% |
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その他分野 |
1,919億円 |
101.5% |
2,095億円 |
110.8% |
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合 計 |
8,971億円 |
104.6% |
9,949億円 |
116.0% |
※市場データは四捨五入しているため必ずしも合計は一致しない
住宅分野は2020年の改正省エネ基準/建築物省エネ法の適合義務化が見送られたものの、依然として省エネニーズは高く断熱材、遮熱材、蓄熱・吸着材の高性能化が進み市場は拡大している。断熱材は新築住宅着工数の減少が予想されているなかで、ZEHやHEAT20のG1・G2相当の住宅の普及に伴い需要が増加しており、住宅1戸あたりの使用量も増え、市場は拡大している。遮熱材はガラスやサッシなどの窓製品の高機能化に伴い市場が拡大している。蓄熱・吸着材では2020年以降に潜熱蓄熱建材への本格採用が期待される。
非住宅分野は2019年度に東京五輪関連での需要増加、以降は大阪万博や統合型リゾート案件などで需要獲得が期待される。また、2017年度に施行された延べ床面積2,000m2以上の建築物に対する改正省エネ基準/建築物省エネ法への適合義務化に続き、2021年度には延べ床面積300m2以上の建築物へ適合義務化が拡大される予定であり、加えて、ZEB化の進展により高性能品の採用が増加するとみられる。しかし、建築件数自体が減少傾向にあるため市場は微減が予想される。
自動車分野は自動車の電装化や省エネ・快適性の向上を目的に熱対策にかかわるニーズが増加しているが、自動車生産台数の減少が予想されるため市場はほぼ横ばいとみられる。断熱材はxEVにおける需要増加により横ばい、遮熱材は遮熱フィルムの使用部位・採用が増加する一方、自動車生産台数の減少が影響し縮小、蓄熱材はアイドリングストップ車向けのエバポレータ用途で需要があるものの、今後も限定的な採用が続くと予想される。
その他分野は断熱材の市場構成比が高い。特にビーズ法ポリスチレンフォームやセラミックファイバーの比率が高い。一方、伸長率はカーボンファイバーやフュームドシリカが高い。蓄熱材は定温輸送資材で需要が増加するとみられる。今後は2019年に発表されたGDPガイドラインに伴い採用の増加が期待される。
◆注目市場
■硬質ポリウレタンフォーム
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2019年度見込 |
2018年度比 |
2025年度予測 |
2018年度比 |
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683億円 |
101.6% |
702億円 |
104.5% |
2018年度は東京五輪により非住宅需要が、また、省エネ意識の高まりにより住宅需要が増加し、市場は拡大した。2019年度は引き続き省エネ意識の高まりによる住宅需要が堅調なことや東京五輪特需がピークを迎えることから市場は拡大するとみられる。今後は新築住宅着工戸数の減少が予想されるものの、高断熱化を目的とした住宅1戸あたりの断熱材使用量の増加や、繊維系断熱材からの需要シフトによって市場は2025年度には702億円が予測される。
■エアロゲル
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2019年度見込 |
2018年度比 |
2025年度予測 |
2018年度比 |
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16億円 |
106.7% |
21億円 |
140.0% |
現状は工場やプラントなどの配管向けで市場が形成されている。今後、工場やプラントの新設や修理件数の減少が予想されるが、需要の中心は老朽化した配管向けとなっており影響は少ないとみられ、加えて住宅用断熱材や自動車、家電、電子機器での需要増加も期待されることから、安定的に市場は拡大していく。
■潜熱蓄熱建材
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2019年度見込 |
2018年度比 |
2025年度予測 |
2018年度比 |
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8千m2 |
133.3% |
700千m2 |
116.7倍 |
潜熱蓄熱建材は建材分野では新規商材に該当し、現在は市場形成の初期段階にあたる。2019年度は経済産業省が実施する「次世代省エネ建材支援事業」において2018年に続き補助対象となっていることから需要は増加するとみられる。なお、「次世代省エネ建材支援事業」は住宅リノベーション向けが対象となっていることから、新築住宅需要は限定的となっている。今後は日本潜熱蓄熱建材協会が潜熱蓄熱建材の効果測定可能な計算プログラムの実装や2021年3月までに潜熱蓄熱建材の評価方法のJIS化を目指しており、新築住宅を含めた普及活動が実施されるとみられる。
■高機能サッシ(樹脂サッシ・複合サッシ)
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2019年度見込 |
2018年度比 |
2025年度予測 |
2018年度比 |
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3,220億円 |
108.8% |
4,010億円 |
135.5% |
木造住宅用のアルミ+樹脂の複合サッシと樹脂サッシを対象とする。
2018年度の新築住宅着工戸数はほぼ横ばいであったものの、参入企業が省エネ化を推進するトップランナー制度への対応に向けて複合サッシや樹脂サッシのラインアップを拡充し、比較的低い価格設定の高機能サッシ製品を発売するなどエンドユーザーへの訴求が進み、採用率が上昇し市場は拡大した。特に新築住宅ではアルミサッシから複合サッシへ、また複合サッシから樹脂サッシへの切り替えも進んでいる。今後は共同アパートや中規模住宅もトップランナー制度の対象となることから市場の拡大が予想される。また、2019年に国土交通省が複合サッシと樹脂サッシを防火窓の一般仕様に追加したことから、今後は防火設備としての需要増加も期待される。
◆調査対象
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断熱材 |
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・硬質ポリウレタンフォーム |
・ポリカーボネートフォーム |
・カーボンファイバー |
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・フェノールフォーム |
・変性PPEフォーム |
・真空断熱材 |
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・押出法ポリスチレンフォーム |
・グラスウール |
・バーミキュライト |
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・ビーズ法ポリスチレンフォーム |
・ロックウール |
・フュームドシリカ(非晶質シリカ) |
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・低密度ポリエチレンフォーム |
・セルロースファイバー |
・けい酸カルシウム保温材 |
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・ポリプロピレンフォーム |
・セラミックファイバー |
・エアロゲル |
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遮熱材 |
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・遮熱フィルム |
・遮熱塗料 |
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・高機能ガラス(複層ガラス/Low‐Eガラス) |
・高機能サッシ(樹脂サッシ・複合サッシ) |
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蓄熱・吸着材 |
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・潜熱蓄熱材 |
・吸着材(ゼオライト・シリカゲル・ハスクレイ) |
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用途分野 |
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・住宅(戸建住宅・集合住宅) |
・冷蔵庫(家庭用/業務用) |
・蓄熱式暖房機 |
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・非住宅建築物 |
・自動販売機 |
・蓄熱式床暖房 |
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・自動車 |
・エアコン |
・潜熱蓄熱建材 |
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・電動自動車(xEV)用電池パック |
・工業炉 |
・蓄熱式空調 |
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・貯湯タンク(家庭用燃料電池用 |
・定温輸送資材 |
・蓄熱式蒸気発生器 |
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/ヒートポンプ式給湯器用) |
・吸着式冷凍機 |
・蓄熱コンテナ |
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